17話 紅蓮隊
「なるほど転生か。そんなケースもあるんだ。」
「そっちは名前的に転移?もしくは年齢そのまま転生?」
「俺はね。転移能力。」
転移能力?
「なんと自由に世界を渡れちゃいます。」
「マジで?」
「ちなみに写真とかで風景が解れば行ったことないところにも行けちゃう。」
「チートじゃん。どうやって手に入れたの?」
「生まれつき。この力で異世界とか行けないかなって思ったらできた。」
「私は一緒に転移できる?」
「多分できる。けどあっちじゃ死んでるんだからすることなくない?」
「まあそうだね。未練も特にないし。強いて言えば未クリアのゲームくらい。」
「それくらい持って来よっか?」
「できるの?」
「転移の質量で消費魔力変わるから家とかはきついけど、俺の家には車あるし、それくらいぜんぜん。」
「強くない?あっちの商品売り捌いたら儲かるんじゃない?」
「いや俺商才ないし、どっちかってゆうと剣と魔法の方が才能あるし、できるだけあっちの世界と関わりたくないから。拠点もこっちにあるし。」
「ふーん。」
なんか前世で優介さんとおんなじような能力持つ人がうまく立ち回って金貨8万枚貯める話は読んだことあるけど………
ていうか転移に魔力使うってことは魔法の一種ってことだよね。興味深いな。
「それにしてもほんとに王女なんだな。こんな広い庭でお茶とか俺に似合わなすぎるだろ。」
「まあ、私も前世の常識引きずってるし、待遇の良さには万々歳だね。前世の家のほうが便利だったし家具の質も良かったけど。」
「これより良いって……結構金持ちの家に住んでたの?」
「年収2000万超。まあ流石に広さはこっちの方が圧倒的に上だけど。」
「年収高すぎだろ。前世おっさんじゃないよな?」
「違う。失礼な。女の外科医だよ。」
「へ~。ところで隊はどうするんだ?俺は唯一呼ばれた月影隊。」
「私はまあ、紅連隊かな。雷鳴隊でもいいんだけど、男女比率的にこっちの方が気楽そう。月影隊は母上の隊だけど、母上とはいつも会ってるから、好奇心的に会ったことない人の方を選んだ。」
「どうでもいいけど、ナチュラルに敬語からタメ語に変わってるよな。」
「よく考えたら前世含めて私の方が年上だし、君より強いし、身分も上だし、こっちの方が頭いいし、敬語使う理由が無いと思って。」
「まあいいか。ゲーム機一台2万Gね。」
「ぼったくりすぎでしょ。まあいいけど。」
◆◇◆◇
――紅連隊本部。
「……日本家屋?」
この世界には偶に和風なものがある。
【凱旋門】を通って行ける【紅蓮】の世界はTHE・和風の世界が広がっているらしい。機会があれば行ってみたい。
紅連隊本部はデカかった。具体的には私の母校くらい。大学。
「君は新入り?」
後ろから声。全く気付かなかった。気配の消し方半端ない。
「はい。エリリア・グリーンです。よろしくお願いします。」
「よろしく。私はウィズ。ささ、入って。」
「はい。」
ウィズさんに案内してもらって本部を探索。
感想、ホワイトが過ぎる。
寮もあるが望むなら自宅通勤も可。充実した訓練設備に広場、疑似世界はもちろん、指南書や魔導書、まさかの温泉や卓球もあった。
恐らく父上作と思われる転移魔法応用の、一瞬で隊服に着替えれる魔導具や、仲間と連絡が取れる魔導具、凱旋門や城などへの転移ポータルも多々あった。
あとウィズさんいい人!ふわっとした人で優しい。なんでも副隊長らしい。
解析眼で見てみよ。
名前:ウィズ
種族:人間だった
職業:グリーン王国魔法騎士団3番隊副隊長
年齢:ヒ・ミ・ツ
魔力残量:100%
魔力総量:2388493
魔法属性:〈闇〉〈命〉
状態:〈ねえ、今見てるよね〉〈興味津々〉〈先輩風〉
加護:〈鬼神の加護・LV2〉
称号:〈聖女〉〈博愛〉〈愛と云う呪〉〈狂愛者〉〈I LOVE EVERYONE〉
………〈ねえ、今見てるよね〉?
恐る恐る顔を見ると満面の笑みでこちらを見ている。
「それであんまり女の子を見ないほうがいいよ♪」
「あ、はい。さーせん。」
うん。見てはいけないものを見た。忘れよ。
◆◇◆◇
「はい。みんなに自己紹介して。」
「はい。エリリアです。獲物は槍か大鎌。属性は〈死滅〉。よろしくお願いします。」
「私はレル。よろ。」
「俺はレイン。よろしくね。」
「僕はシルフィード・フォン・ドリエル。君可愛いね。後でお茶でもどう?」
「何口説こうとしてるんだよ。あ、俺はシン。よろしく。」
「私はサクラだ。よろしく頼む。」
「〈死滅〉って固有属性じゃん。強いんだな?強いんだろ?あ、俺はリュウね。」
(フィル。)←念話
紅蓮隊は全部で9人(私を入れると10人)って言ってたけど、癖強そう。
ていうか隊長は?
―――炎転移
突如、広場の天井近くに紅く輝く火の玉。
それが膨らみ中から炎に包まれた美少女。
黒い艶のある長髪ハーフアップに紅い瞳。超絶美少女。見た目高校生くらい?
「ホムラちゃん、降・臨!!」