11話 災厄 二 ー青嵐ーのフウリ
そいつは大屶を2本持ち、でかい図体に似合わないスピードでラッシュしてくる、かなり強いミノタウロスだった。私が負ける訳も無いが。
「輝氷塊閃!」
28連撃。全て躱す。氷属性、光属性が乗っていた。
「強撃嶄崖!」
大地が削れるほどの一撃。バックステップで躱し、反撃
「暴嵐双剣術・旋風」
間一髪で躱され、角を斬るだけとなった。
「ほんとに人間かよお前、、、」
「できるだけ周りに被害が出ないように手加減してるつもりだけど?」
「はっ。出し惜しみしてられないな。《秘力覚醒》!!」
その直後、毛は黒く染まり、大屶は緋色に染まり、2回りほど大きくなった。
「禁忌魔術!!《冥府の王》!!」
天から大量の手。それに包み込まれたミノタウロスは、腕が8本ほどに増え、身長は10mくらいになって、咆哮を上げた。
「まじか。」
あれでは持って3時間。その後彼は勝手に死ぬだろう。自我も失い、暴れ続けた後。
だがあの様子、そこまでの覚悟を決めるほどでは無かったと思う。
デメリットを回避する方法を知っているのか、もしくは、、、
、、、どっちにしろ、放おって置くわけにはいかない。
「暴嵐弓術・貫矢天千雨」
全てを貫く矢の雨。周りの雑魚を掃除しながら巨体に十数箇所穴を開ける。
少し苦しんだが、一瞬で再生。
ミノタウロスは何か叫びながら口から光線を発射し、周りの建物や木々を焼き尽くす。
私はそれを躱しながら、腕を一本落とし、アッパーで意識を落とす。
追撃しようとしたが、0,2秒程で意識が戻り、その後腕が再生した。
「ウオオオオオオオオオオ!」
彼が咆哮を上げると、周りから大量の氷の槍が現れ、地を覆う。
私はそれを回避しながら、高く跳び上がる。
再生は、意識を落としている時は起こらなかった。つまり、、、
「即死させれば死ぬはず!暴嵐双剣術・凩青嵐!」
回転しながら風の刃を纏った状態で突進。腕で止めようとしたが、腕ごと斬って突き進む。
刃が首に達しようとしたその時。
「やメロ!俺ガ死ンだラ家族ガ・・・」
・・・やはり、この魔法を教えた奴、デメリットを知らせていなかったか・・・
禁忌魔術のデメリット回避は超高等技術だ。戦いぶりから、そこまでの魔術の技量があるとは思えなかった。
だが、禁忌魔法を発動させた以上、助かる術はない。彼の魂はもう冥府の王に喰われている。
直後に私を襲ったのは、ミノタウロスの首を斬る、嫌な感触だった。
「・・・嫌な終わり方。」