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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第8章 ウィンディア王国
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意趣返し

「おい!!お前ら!!」


 ノックスたちのもとに先程の鳥人族の女が声を荒らげて話しかけてきた。


「…なんだ?」


「てめぇらがあのホワイトウルフどもを引き連れて来たんじゃねぇのか!!」


「何を馬鹿なことを。我らがそんな事する訳が無いだろう。」


「ふざけんじゃねぇ!!ホワイトウルフなんざ普通はこの辺りに来るような魔物じゃねぇ!!絶対てめぇらが引き連れてきたに違ぇねぇ!!」


「我らとあのホワイトウルフ共とは無関係だ!勝手に奴らがここへ押し寄せてるだけだ。」


「しらばっくれんな!!あのホワイトウルフ、てめぇらが戦え!!引き連れてきた責任を取りやがれ!!」


「大人しく聞いていれば貴様…!!」


「待てノエル。」


「しかしノックス様!!」


「鳥人族の女。」


「なんだ!!」


「この領に来て教えてもらった言葉がある。」


「……?」


「『根拠のない決めつけはやめろ』だそうだ。」


「て…てめぇ…!!」


「この言葉は(もっと)もだ。それに俺たちがここでホワイトウルフ共と戦闘する義理も何もない。」


「くそっ…!!覚えてやがれ!!」


 鳥人族の女はアテが外れ、捨て台詞を吐いて去っていった。




 やがてホワイトウルフとウィンディア王国兵との戦闘が開始された。




 ホワイトウルフは当初、門より手前にいたノックスたちに攻撃しようとしてきたが、ノックスが展開した魔障壁が全く破れる気配がなく、諦めて門兵のもとへと駆けたのだが。



 それはともかく、門兵の戦闘は連携も何もあったものではなく、かなり杜撰なものであった。



 ホワイトウルフはハウンドほどの統率の取れた連携を繰り出してくるわけではないが、スピードはややホワイトウルフに軍配が上がる程度であった。



 巨人族は棍棒をやたら滅多に振り回し、鳥人族は空からチクチクと攻撃する。


 通常ならこの戦闘法で対処出来たのだろうが、ホワイトウルフのスピード相手では巨人族の繰り出す攻撃は悉く空を斬り、鳥人族の攻撃もさほどホワイトウルフに当てられてすらいない。



 反対にホワイトウルフの攻撃により巨人族、鳥人族共に手痛い反撃を食らっていた。



「うがぁぁぁあああああ!!!!」



 巨人族が咆哮し、我を忘れて棍棒を振り回した。


 激高した巨人族はもはや敵味方関係なく棍棒を振り回した。


 その攻撃はノックスのいる場所にまで及んだが、魔障壁により完全にガードされていた。



「おいてめぇ!!アタシらがいることを忘れんな!!!!」


 鳥人族が前線に出てきた巨人族に恫喝するも、聞こえてはいない。



 こうなるともはや敵味方関係なく乱戦となっていた。



「酷いものだ。」


「あちゃー。完全に我を忘れちゃってるッスねぇ。」


「鳥人族も決定打に欠けていますね。」


「兄さんらは呑気ですなぁ…にしてもこの魔障壁、巨人族の攻撃すら防ぐとは……」


「当然です。ノックス様に敵う者などこの世に存在し得ません。」




 門兵がホワイトウルフを数匹仕留めることは出来たものの、やがて巨人族は累積したダメージにより膝を着き、上空を飛んでいた鳥人族は巨人族を踏み台にして上空にいる鳥人族に噛みついて引きずりおろしていた。



 やがてウィンディア王国内から援軍がやってきて加勢に入ったが、その頃にはすでに門兵たちは惨憺たる状況であった。



 援軍によりなんとかホワイトウルフを仕留めることが出来たが、単にそれは数の暴力で上回ったにすぎなかった。



「辛うじて全滅だけは免れたようですね。」


「それにしてもロンメアに比べて質が悪すぎるな。いや、ロンメアの質が良かっただけなのかもしれんが。」


「あ、なんか偉そうな奴がこっちに来るッスよ。」


「あれは部隊長のグルーガさんですわ。こう言っちゃなんやけど、アインさんの言うようにホンマに偉そうな奴ですよ。あ、このことは内緒で頼みます。」



 グルーガと言う名の犬の獣人族の者がやがてノックスたちのいる場所までやってきた。



「貴様ら、これはなんだ?」


「なんだ?と唐突に聞かれても分からん。」


「部下たちが奮戦しているというのに貴様らはここで悠長にお茶会か?」


「貴様の部下が戦ってるからなんだという?俺達には関係ない。」


「ふざけるな!!下等な魔族共め!!」


「下等…か。……ふふ………はっはっはっ!!」


「何がおかしい!!」


「連携も取れず、ホワイトウルフ如きにこのような体たらく。極めつけには俺たちを散々見下しておいて王兵でもない俺たちに危なくなったら戦えだと?……ふふ………貴様の頭は俺たちよりよっぽど上等なのだな。」


「貴様……俺を侮辱したな……!!」


「侮辱などしていない。その『上等』な頭で俺の言った事を理解しろ。」


「ノックス様。ここは我らに。」


「ホント。かなりカチンと来たッス。」


「魔族風情が調子に乗るな!!それに貴様は行商人か。貴様も同罪だ!」


「ワイはノックスさんにたまたまここで鉢合って匿ってもろたんですけどね。居合わせただけで同罪ですか?」


「黙れ人族風情が!!」


「なんや、言うてくれますなあ。ワイは戦いが専門とちゃいますけど?」


「屁理屈を捏ねるな!!」


「はぁ…屁理屈はどっちですかね?今まで下手(したて)に出てやらせてもらいましたけど、おたくらとの取引は打ち切らせてもらいます。」


「貴様らそこを動くな!!おい!!こいつらを連行しろ!!今さら許しを乞うても遅い!!」


「悪いが大人しく従うつもりなどない。」


「さっさと連行しろ!!」


「…いや、どうやらそれどころじゃないようだぞ?」


「ノックス様、これは…」


「この数、ちょっとヤバくないッスか?」


「何をコソコソと話している!!さっさと立て!!」


「グルーガとやら、ここにモンスターの大群が押し寄せてくるぞ。数は…100以上だ。」


「…何?」


「多少悪趣味ではあるが、貴様らがのたうち回る醜態でも見届けさせてもらうか。」

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