捕獲
厳戒態勢で関所を警戒していた所へ、とある一団がやってきた。
冒険者パーティのようだが、2人の黒いフードの者が担がれている。
そしてそのパーティの中に、見知った顔の者がいた。
「あ、あなたは!」
ホランドがノックスに気づき話しかけた。
「彼らを保護した。それと、ついでに襲撃者の一味の2人は捕まえた。」
「ノ、ノックス殿!?なぜあなたがそちらに!?」
「あなた方が山賊たちと戦闘している間に飛び越えたんだ。それより…」
「え、えぇ、そうですね。おい!この者たちを!!」
ホランドが先導し襲撃者の黒フードたちを縛り上げる。
黒フードを剥ぐと2人とも、首には聖印のネックレスを掛けていた。
「やはり教会の手の者か…!」
「そのようだな。」
「あの…俺たちは…どうすれば…?」
捕まっていた冒険者パーティのリーダー格の男がホランドへ話しかけた。
「君たちには事情を聞かねばならない。もうじき中隊長が戻ってくるまでここで待機していてくれ。
ノックス殿もよろしいですか?」
「あぁ。構わない。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しばらくするとナバル達が帰ってきた。
山賊たちの亡骸をそのままにしておく訳にもいかず、また、急ぎ報告も兼ねて他の関所の状況を確認していたようである。
「しかしなぜノックス殿が?」
「どうにもあの連中が気になってな。出しゃばった真似をして済まなかった。」
「いえ、ノックス殿のおかげで更なる被害が出るのを防げたようですから。」
「他の関所での被害は?」
「今のところ確認できませんでした。これから奴らに取り調べを行います。
ノックス殿もご一緒いただけますか?」
「あぁ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
黒フード2名に水を浴びせて目を覚まさせた。
「うぅ……」
「目を覚ませ!抵抗はするなよ。」
黒フードは脱がされ、中年のアガルトと呼ばれた男と、魔術師の者が後ろ手に縛り付けられている。
魔術師の者は30代ほどの男であった。
「貴様ら、教会の者共だな。何故こんなことを?」
2人は辺りを見回し、その後にナバルを睨みつけた。
「呑気な平和ボケ共に何を言ったところで理解はできませんよ…」
「どういう意味だ?」
「言葉通りですよ…あなた方は魔族を容認している愚かな国です…いずれ破滅が起きるとも知らずにねぇ……」
「だからと言って山賊たちを狂戦士化させたと言うのか?」
「おろかな罪人共でも人の役に立てる。素晴らしいことではありませんか…」
「なら冒険者たちはどうするつもりだったのだ?」
「魔族を擁護する国民も同じく罪人。どうなろうと構いませんよ…」
「ナバル殿、少しいいか?」
陰から取り調べを聞いていたノックスが部屋へと入ってきた。
すると襲撃者2人の顔から冷や汗が流れ出した。
「ノックス殿、どうぞ。」
「ノースという名の者を知っているか?」