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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第4章 魔族との対面
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5人のレベル

 ノックスにより治療を施され、生死の境を彷徨っていた3名は程なくして意識を取り戻した。


 とはいえ3人とも失った血の量が多く、何処かまだ夢心地のようでもあり、体が重そうである。



「…気がついたか!?」


「おぉ!!アイン!!モズ!!それにリドル!!」


「……うぅ……おれ…たち……なんで……?」


「まだ安静にしてろ!……それにしても…本当に……本当に………!!!!」


 3名が少し落ち着くまでしばらく時間が必要のようだ。



 回復させて分かったのだが、モズという名の者は女性であった。

 体が半分焼けただれていた者である。


 3名はローシュから経緯を聞き、無理やりにでも体を起こしてはノックスに感謝した。


「寝ていてかまわん。血が回復していない以上、無理に体を起こすと貧血で倒れるぞ。」


「…本当に……感謝…いたし…ます…」


「…ここが…あの世じゃないなんて……」


「…わたしの…からだ……あんなに焼かれたのに……」


 3名とも人目も憚らず涙を流した。



「…おまえも…治してもらえたんだな……シャロン…」


とアインがノックスの足元を見やる。



 シャロンと呼ばれたのはあの時、最初に治療を施された少女である。


 シャロンはノックスのズボンをギュッと掴んで、3人が意識を取り戻したことにまた涙をポロポロと流している。


 恐怖により感情を破壊されたこの少女は、ノックスの治療のおかげで感情を取り戻しつつあった。



 3名については今後もまだ安静にする必要がある。



 ノエルはもう1人、ナタリアという女性と共にノックスと話をする。


 ナタリアはシャロンを同伴していた女だった。


「ノックス様、改めまして私の名はノエル。こちらはナタリアにございます。」


「先程は誠に感謝致します。」


 2人とも膝を着いて頭を垂れている。


「それは構わない。それより何か話があったのでは?」


 ノックスは気まずいので早く2人に立ち上がってもらいたかった。


「はっ。既にノックス様には申し伝えてあります通り、伏せていた3名と我ら、それとローシュが戦闘職となります。

 アインとモズが魔道士であり、ローシュとナタリアとリドルは剣士、私めが斥候でございます。

 ですが、我らではまだまだノックス様の足元にも及ばず、同行したとて足でまといにしかならぬというのも重々承知しております。

 なので我らは早速修練を積ませて頂き、あの3名も回復次第我らに合流させようと考えております。

 不躾ではございますが、その際には是非ともノックス様にもご教示を願えれば有難く存じ上げます!」


 ノックスの思惑とは裏腹に2人は膝をついたまま、再度頭を垂れた。



 だがノックスにはまだ『悪魔の口』から生還して日が浅い。

 ノエルとは少し剣を混じえたものの、その強さがどれほどの物かが分からない。



 レベル2000を超えるノックスからすれば、レベル100やら200やらは対して差がなく感じてしまうのだ。



「…2人に確認したい。言いたくないならば別に構わないが。」


「ぜひとも!」


「なんでもお答えします!!」


「2人はレベルはいくつあるのだ?」


「はっ。私めは170であります。」


「私は138であります。」


 2人は躊躇うことなく答えた。


「他の4人ですが、私の知る限りでは、ローシュは230、アインは120、モズは110、リドルは160くらいだったかと存じております。」


 これが高いのかどうかが分からない。


「ちなみに聞くが、一般的なレベルはどれくらいなのだ?」



 この質問には少しノエルは考えた。


「…他族の平均は、残念ながら私めには分かりかねます…ですが、魔族の者は平均は90〜100の者が多いかと。」


「…なるほど…」


(やはり俺は上げすぎたのか…?)


「過去に勇魔大戦があったらしいが、当時の勇者、もしくは魔王でどれほどのレベルがあったか知っているか?」


「…ウワサではありますが、おおよそ1000は軽く超えていた、とも。

 何よりその大戦においては、大地に巨大なクレーターをいくつも作り上げた痕跡もございます。」


「…なるほど…」



 2人は顔を見合わせてどうしようか困惑している。



「どうした?レベルを聞かれたのが不満か?」


「いえ!そういうことではありません!!

 …その、ノックス様はあれほどの手練でしたので、どれほどのレベルなのか、と。」


「なんだ、そんなことか。だが妹を保護するまでは信用している者以外への口外することを禁ずる。」


「「…!!はっ!!」」


「俺のレベルは2000を超えている。」



「……………は……?……に、2000……?」



「そうだ。」



「「………………」」




 2人は驚きのあまりなのか、表情筋が全て緩みだらしなく口をポカーンとしている。



 実はノエルはある程度ノックスのレベルを予想していた。


 自分の攻撃を苦もなく躱しきったノックスのレベルは500はあるだろう、と。


 

 だが実際は違う。



 言葉通り、桁外れなのだ。




「あ、『悪魔の口』とは、そこまで過酷な場所だったのですね……」


 ノエル達2人はノックスに出会え、そして仕えることを許されたことに心から喜ぶには少し時間が必要なのだった。

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