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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第4章 魔族との対面
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魔道具店『ジェスター』

 ノックスはまずは服屋へと赴いた。


 色んな服を見定めても結局どれにするのか決めかねていた。


 ノックスが求めているのはデザイン。それと耐久性。魔法防御力や物理防御力が無くてもいい訳では無いが、そこまでこだわりはない。


 そもそもノックスに攻撃を当てられる者がいるかどうかだが。


 耐久性については、ノックスの動きにより服が破けたりしないかどうか、である。



 色々と決めかねているノックスに

「いらっしゃいませ!どういった服をお探しですか?」

 と女性の店員が声をかけてきた。


 探している服の特徴を伝えたところ、様々な服を何着か持ってきては

「お客様の要望だとこういう服はどうですか?

 それか、思い切ってこちらのデザインも良いかと思います。

 もしくは………」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 思った以上に長くなってしまった。

 前世でも服を選んでいる時に店員が話しかけてきてはあれやこれやと勧められたのを思い出していた。


(破れたらまた買い換えればいいか。)

 と割り切り、デザインをベースに何着か選んで購入することにした。



 マジックバックもこの店で取り扱いされていたが保留にした。

 服とは違い、こちらは破れたらすぐ買い換える、というような値段でもない。


 購入した服を紙袋に入れてもらい店を後にした。



 続いては魔石の買取り。


 といっても知識があまりないのでとりあえずはギルドに寄ることに。


 ギルドの受付員は昨日と同じ女性が対応した。

 女性はノックスの顔を見るなり「あっ!」といった顔を浮かべていた。



「本日はどういったご要件でしょうか?」


「魔石の買取りを行っている所を教えてもらえれば、と。」


「魔石の買取りですか。ではここから5ブロック先にある魔道具店『ジェスター』がオススメです。店主は少し変わってますが…」


「『ジェスター』か。わかった。」



 「少し変わっている」という所に少し引っかかったが、とりあえずは『ジェスター』に向かうことにした。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「…ここで、間違いない…よな…?」


 ノックスは『ジェスター』と掲げられた看板を見上げ、店の前にいる。


 ノックスが躊躇っているのも無理は無い。

なぜなら店の景観が異様なのだ。



 木製の店であるが相当に年季が入っている。

 店の前には毒々しい色をした液体が入った瓶がいくつも並んでいる。

 植木鉢にも怪しげな花が生えており、花は醜悪な顔のようにも見える。しかも気味の悪いことにその花はノックスが近づくと、顔を向けてニヤリと笑みを浮かべたようにも見えたのだ。


 他にも逆さ吊りにされているコウモリやカラスの死骸。剥製ではなく本物のようである。

 不思議なのはハエが1匹たりとも集っていない。



 ノックスが店内に入るのを躊躇っていると突然店の扉がガチャリと開き、思わずビクリとした。



「……いらっしゃい……なんのようだね……?」


 ノックスよりも頭2つ分ほど背の低い老婆が扉から顔をのぞかせてノックスを睨みつけるような目で話しかけてきた。



「……ま、魔石の買取りを…」


「…ほう……魔石かね……ヒッヒッヒッ。中へお入り……」



 ノックスは老婆について行き店内へと恐る恐る足を踏み入れた。




 外の景観が異様だったのだが、中はさらに異様であった。


 床はギシギシと今にも踏み抜けそうな音で軋んでいる。


 本棚には怪しげな書物が収められており、その本棚の両脇には店の外に置いてあったような花がいくつもこちらを睨みつけている。

 調合台と思しき机があるほうから臭気が立ち込めて思わず顔を顰める。

 その机の横には何かの目玉やら舌やら、果ては何か分からないブヨブヨの物がホルマリンに付けられて瓶に収められている。



 気味悪がっているノックスのことなど意にも介さず老婆は中央のテーブルへとノックスを招いた。


「……それで…買い取って欲しい魔石を見せてごらん……」


「…あぁ、こ、これだ…」


 ノックスは昨日入手したオーガ達の魔石をテーブルの上へと並べていく。



 老婆はその様子を黙って見ていたが、

「…これが最後。オーガナイトの魔石だ。」

 と最後に出した魔石を見るや否や無言でノックスの顔と魔石を交互に見つめた。



「……お前さん、こりゃ本当にオーガナイトの物かえ…?」


「あぁ。本当だ。」



 老婆はどこから出したのか、ルーペを取り出し魔石を鑑定する。


「…こりゃたまげた……ここまでの純度は……ってことはこの小ぶりのも……」


 と言ってさっきまでは興味すら示さなかった砕けた魔石をルーペで鑑定している。


 ノックスはしばらくその様子を見守っていた。




 一通り鑑定し終えたのか老婆は


「……お前さん、名は…?」


「ノックスだ。」


「そうかい。ノックスだね…覚えとくよ………そういや買取りだったね……」


 そう言うと老婆はまたもどこから出したのか算盤を出して指で弾いていく。


「…買取額は6730ダリルだ…」


 想像していた以上の買取額に驚いた。



「…そんな高額で買取りしてくれるのか?」


「当たり前さね!これだけ純度が高い魔石なんてそう拝めるもんじゃないよ……そうだねえ…この小ぶりの魔石はお前さんが砕いちまったんだろ…?勿体ないねえ……これが元の大きさのままなら、全部で8000ダリルはあったろうに……」


 老婆は粉々になってしまった魔石たちを愛おしく撫でている。


「…今度からは注意する…」


「そうしとくれ……して、お前さんは見かけない顔だねぇ…この辺りにゃあ最近来たのかえ?」


「先日入国したばかりだ。」


「そうかえ…んで、ここでしばらく活動を…?」


「そのつもりだが。」


「…それならもし魔石をまた取ってきたらあたしのとこにおいで…お前さんなら高く買い取ってやるさね…ヒッヒッヒッ…」


「…た、たすかる。」

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