今後の方針
部屋に戻ったノックスとナバルとドラン。
ドランは部屋に入るなりベッドに転がり、すぐさまイビキをかいて眠ってしまった。
ノックスはエールをそれなりに飲んだはずなのだが、まったく酔う気配がなかった。
なぜなのか考えた時に、スキルの毒耐性のせいかと思い耐性を弱くしようとしたのだが、その時には既にお開きとなってしまった。
ドランが寝息を立てる中、ナバルと話をする。
「ノックス殿はこれからはどうされるおつもりで?」
「とりあえずはこの国で情報集めとギルドランク上げかと。」
「妹殿の件でしたな。微力ながら我らも協力は惜しみませぬ。」
「助かる。」
「拠点が決まっておらぬのならば、ここロンメアを拠点に活動するのはいかがか?」
「それについてはもう少し様子を見たい。だがこの国は俺たちのような種族にとって暮らしやすい国であろうことはホランド殿から聞いている。」
「…彼もこの国に来るまではいろいろありましたからな。」
「他種族が迎合される国は少ないので?」
「はい。とりわけ獣人族やエルフ族は能力や容姿で奴隷にされる者が多いのです。」
「魔族もこの国にいると聞いたが。」
「いるにはいます、が、本当に極小数です。……それに……」
「それに?」
「…やはり魔族は恐ろしいと考えている者も多く、それはこの国でも同じです。ノックス殿からすれば面白くない話ですが…。」
会話を終え床に就く。
ベッドに入りながら少し考えた。
(ナバルの言うようにこの国に拠点を作るのは確かに良いかもしれない。
すぐに決めることでもないが。
……それにしても今後…か。
ホランドの話によると妹を攫った連中は人族至上主義か勇者至上主義の連中のどちらかだろう。
魔族の父を襲撃したことから察するにおそらくは勇者至上主義か。
となるとバックには教会がついているだろう。
俺が今後教会とやり合うとなった時、この国との繋がりがあれば下手をすれば戦争になるかもしれないな。
…いや、とりあえずはこの件は保留だ。
まずは妹の所在。
あの時ノース達が言ってたな。
『魔族と人族のハーフなら高く売れる。』
と。
その言葉通りならば既に奴隷となり、誰かの手に渡っているだろう。
手がかりも何も無いが、人族と魔族のハーフとなれば奴隷商などなら噂になっていたかもしれないな。
………
待っていろよルナ……)
ノックスは思考をやめて眠りについた。