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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第2章 ロンメア王国
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他種族

 ノックス一行はロンメア王国の城壁で現在入国審査を受けている。


 ナバル達がいたのと、ギルドカードの犯罪歴が無しであったため、すんなりと入国することができた。




 街に入って驚いたことがいくつかある。


 やはり、というべきか、この世界の建物は中世ヨーロッパ風であったこと。

 日本暮らししか経験していないノックスにとって新鮮なものだった。



 それと、種族。


 人族に加えて街中は色んな種族が暮らしている。

 猫や犬などの獣人族。

 体のサイズが少し小さく髭をふんだんに蓄えたドワーフ族。

 逆に体のサイズが2m超えの巨人族。

 耳が長く頭髪が緑なのがエルフ族。


 実に多種多様な種族がいた。


 ここには居ないが色街ではサキュバスやインキュバスもいるそうだ。

 彼らは色街では日本で言う水商売を生業としている。

 ナバルから聞くには、決して怪しげな風俗というわけではないそうだ。



 ここまで他種族が暮らすロンメア王国は他国と比べても珍しいのだという。



 種族間での諍いが無いわけでは無いが。




「時間が時間ですので、どこかで宿を取りましょうか。」


 ナバルの提案通り、宿へと向かった。



「本当にたくさんの種族が暮らしているんだな。彼らは種族によって何かしら適正があるのか?」


「えぇ。人族は基本的に何でもこなせますが、専門職となればそれらを得意とする種族には及びません。

 獣人族は戦闘や配達業などですかな。冒険者になるのも人族以外だと種族の中では獣人族が多いです。

 ドワーフ族は建築や鍛冶師、縫製職に就く者が多いです。

 巨人族はその巨体を活かし、建設工事や護衛、あとは冒険者ですな。見た目とは裏腹に粗暴なものは数少ないですぞ。

 あとは、エルフ族。彼らは魔法関連に秀でてます。それに耳がよくてそれを活かした者もいます。」


「ということはホランド殿はやはりエルフ族か。」


「そうです。私はあまり魔法を得意としないので、弓矢のほうが向いておりました。」


 ホランドがノックスに答えた。


(他の種族に関してはRPGのイメージとほぼ同じだな。)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「今日はこちらの宿で休憩致しましょう。」


 連れられたのは『コカトリス』と看板を掲げた宿屋だった。

 1階は食事処となっていて、2階以上が宿泊用になっている。


 食事処にはすでに他の宿泊客が酒を飲んだり食べ物を食べたりしているようだ。


 酒を見たノックスはゴクリと生唾を飲み込んだ。


 ノックスは前世ではビール党だった。


 酎ハイや焼酎、日本酒なども飲めたのだが、やはりビールの喉越しが一日の疲れを癒してくれた。



「後で我々も食事にしましょう。まずは荷物を置きに寝室へと参りましょうか。」


 できれば個室がよかったのだがそういう訳にもいかなかった。


 部屋割りを決める際、フェリスはノックスと同室がいいと言い出した時は焦った。


 フェリスとホランドが同室。ノックスはナバルとドランの同室ということで落ち着いた。


 ホランドとフェリスが同室でもいいのか気になったので確認したら、ホランドはフェリスをまず女として見ておらず、さらにはすでに結婚もしていて子どももいる。


 さらには見た目よりもホランドは実は50歳を超えているのだという。


 エルフ族は人間より長寿であり、平均寿命もおよそ200歳らしい。


 フェリスが女として見られていないのもどうかとは思うが。




 部屋に入り荷物を整理して、いざ晩飯を!と思ったのだがナバルに引き止められた。


「ノックス殿、少々よろしいでしょうか?」


「え!…なにか?」


「その、ノックス殿の昨夜の話のことです。」


「あぁ、そのことか。」


「まだ他の隊員には話してはおりません。」


 と話したところでドランのほうを見やった。


「なるほど。わざわざ配慮していただいたようだ。俺としてはそこまで隠し立てするつもりはないのだが、ナバル殿が信用している者であれば聞かせてくれても良かったが。」


「さすがにそうもいきますまい。」


「お、おれ、出てましょうか?」


 とドランが空気を読み部屋を退室しようとする。


「いや、聞いてもらったほうがいい。他のみなも。」


「ありがとうございます。ドラン、2人を呼んできてくれ。」



 一同が集まり、ナバルに聞かせた話を皆にも聞かせた。



 反応は実にさまざまで、ホランドは

「『悪魔の口』からの生還だと…!?」

 と驚愕。


 ドランは

「それであんなにも俺の料理に……」

 と哀れみの目を。


 フェリスは

「たった1人で生き抜いたからこその境地……」

 と今まで以上の尊敬の眼差し。



 だが思った以上に『魔族とのハーフ』であることに誰も過剰な反応を示さなかった。



「俺が魔族とのハーフと聞いて怖くないのか?」


 当たり前の事を聞いた。


 がしかし

「命の恩人を怖がるなど無礼にも程がありますよ!!」


「エルフや人族にも良い悪いがあるように、魔族も同じです。」


「そんなことよりノックス様!弟子にしてください!!…って隊長ーー!!いだいっ!!」



 フェリスはナバルによって首根っこを掴まれ引き戻された後、ゲンコツを食らって目に涙を浮かべている。



 それはさておき、ノックスは、『悪魔の口』から出てきて最初に出会ったのが彼らで本当に良かった、と密かに感激した。

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