表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第24章 イブリース v.s 連合国
271/322

黄泉がえり組

 ルナの血で魔法陣が染まる。



 すると、魔法陣から瘴気のような(もや)が立ち上り始める。



「……おぉ………これぞまさに………!!」



 靄は次第にアズラエルの体へと吸い込まれてゆく。



「……ふ………はは…………ふははははは!!!!素晴らしい!!

 ………力が…………溢れる…………!!!!」



 部屋全体が地響きを起こす。



 黒い靄はその後もアズラエルの体にどんどん吸収され続け、アズラエルを中心にとてつもない魔力が膨れ上がった。



 やがて、魔法陣から現れていた靄が収まり、その全てはアズラエルの体内へと吸収された。



「はははははは!!!!素晴らしい!!!!これが……これが悪魔の力!!!!

 ………この力さえあれば……ははははははは!!!!」


「……おぉ……アズラエル教皇猊下………なんと素晴らしお力でしょうか……!!」


「良くやったぞリームスよ。貴様にはたんまりと褒美をくれてやる。

 ……だが、その前にまずこの忌まわしきイブリース国を滅ぼしてくれる!!!!」



 アズラエルが魔力を練り上げたかと思うと、部屋が先ほどとは桁違いの地響きが巻き起こる。



 どうやらアズラエルは部屋ごと上昇させていたようであり、部屋は地表を突き破って地上へと躍り出た。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



『……む………な、なんじゃこの気配は……!?』



 海上にいる敵艦隊を上空から攻撃していたベリアルであったが、突如発生した禍々しい魔力を感知してイブリース国内を見やる。



 どうやらそれにはレヴィアや他スケルトンだけでなく、敵艦隊の乗組員までもが戦いの手をやめて見やっていた。



『姉上よ!!この気配は只事では無いぞ……!!』



 ベリアルが上空から大声でレヴィアへと語りかける。



「ベリアル!!上から何が見える!!」


『分からぬ!!じゃがこの気配は、ノックスのものとは違う!!』


「それくらい貴様に言われんでも分かっている!ここは妾らに任せ、貴様はさっさとこの気配の出処を確認してくるのじゃ!!」


『……むう………では姉上、ここは任せたぞ!!』



 ベリアルは体を反転させてイブリース王国側から発せられている異様な気配について確認に向かった。



「……さて……どうしたものかのう……此奴らの攻撃の手まで止まったということは、此奴らでも知り得ない何かが起こっているということじゃが…………いや、妾の知ったことではない、か。

 スケルトンよ!!さっさと此奴らを駆逐してイブリースへと急ぐぞ!!」



 エドワードらは「了解!!」と言わんばかりにすぐさま行動に移し、呆然としていた敵艦隊を容赦なく沈めに回っていった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「……こ、これは一体……!!?」


「な、なんかちょーやべぇッス………これ!!なんなんッスか!!!!?」


「落ち着けアイン!!リドル!!気配の出処を確認だ!!」


「……どうやらこれか……!!?……この王城より少し北に……見たこともない物が……ってあれは……ノックス様!!!!」



 『遠視』により確認したリドルは、慌てつつも現在の状況を簡単に説明した。



「……!?……ひ、姫ちゃん!!?」



 リドルの説明を聞いていたフィオナは真っ先に飛び出してゆく。



「私たちも急ぐぞ!!」


「「「了解!!!!」」」


「了解!!……ってノエル!?」


「…俺は少し調べ物がある。お前たちは先に行っててくれ。後から追いつく。」


「そんな悠長な事言ってる場合ッスか!!早くしないとルナ様とシャロンが……!」


「分かっている。だが、どうしても調べなければならん。」


「アイン、ノエル、何をしている!!」



 先を急ごうとするナタリアがアインらを急かす。



「……分かったッス。みんなには言っとくッス!!」


「悪いなアイン。そちらは任せたぞ。」



 アインはノエル1人を残し、ナタリアたちと合流して外へと駆け出して行った。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「はははははは!!見よこの力を……!!素晴らしい……素晴らしい!!!!」


「……お…にい……ちゃん…………」



 ノックスは封印用の魔法陣に囚われ、指1本動かすことすら出来ず、死に体のルナとシャロンを目の前に何も出来ずにいた。


 なんとか封印術を破ろうにも、この魔法陣はノックスの魔力を源泉とする以上、内側からの破壊は不可能であった。


 仮に外側から破ろうにも、魔法陣はノックスの驚異的な魔力により保たれているため、外側からの破壊も期待はできない。



「……さて、リームスよ。貴様に褒美をくれてやる。」


「有り難き幸せです…!」



 アズラエルはリームスの頭に手を翳すと、アズラエルから禍々しい魔力がリームスを包み込んだ。



「……おぉ………!!………これは素晴らしい………ふふふ……教皇猊下………誠に感謝を申し上げます……!!」


「さてノックスよ。貴様の妹は大いに役に立ってもらった。褒美に貴様にはこの国の終焉を見せてやろう。」



 アズラエルはふわりと宙に浮かび上がり、イブリース王国を眼下に見据える。



 アズラエルは魔力を練り上げると、手のひらから禍々しい魔術が現れる。


 それをそのまま大地に向けて落とすと、空中で弾けてあちこちに散らばる。



 途端に大地からボコボコと岩が現れ、人型となって動き始めた。



 全身が岩で形成されている巨大なゴーレムである。



 ゴーレムはその後も周囲の岩を引き寄せ続け、巨大化する。



「『ロックゴーレム』よ!我らに楯突く輩を一掃せよ!!」



 アズラエルが命令を下すと、ゴーレムらの目が怪しく光る。



 ラインハルトはゴーレムに駆け寄り腕を斬り飛ばす。


 さらにアルフェウスが火魔術をゴーレムに向かって撃ち放った。



 しかし、ゴーレムは斬られた腕や火魔術で破壊された部位を立ち所に再生させ、活動を再開させた。



 ゴーレムはその巨大な腕を振り回し、周囲の建造物を尽く破壊し始めた。



 イブリース国内に複数体のゴーレムが出現した事を皮切りに、沿岸部から続々と連合軍が乗り込む。



『なんじゃあの岩は!!……いや、今はそれ所ではない!』



 上空を飛行していたベリアルは突如現れたゴーレムに驚くも、レヴィアに言われた通りアズラエルの元へと向かう。


 それを許さんとばかりにゴーレムは自身の体の一部を剥ぎ取り、ベリアルに向けて投げつけた。



 ベリアルはすんでのところでそれを回避したが、幾つも投げつけられる岩が体を掠めた。


 岩を投げつけてくるゴーレムらを一瞥し、一旦地上へと舞い降りる。



「……岩の分際で調子に乗りおって………消し炭にしてくれるわ!!」



 地上で人形態となったベリアルは火の槍を出現させてゴーレムらを切り刻んでは焼き払う。


 それによりゴーレムの体の大部分がマグマと化して溶けていった。



 しかし、ゴーレムは修復不可能な傷を負わされたとて、大地から岩を補充しては再生を続ける。



「…ちぃっ!!教会で会ったあの人形女と同じか!!」



 ベリアルは、『滅氣怒火炎(メギドフレイム)』にて焼き払おうも、ゴーレムは大地がある限り再生を続けてしまう。



 幾度となく再生を続けてしまうゴーレムは、決定打こそ無いものの、それはお互いに同じである。



 ゴーレムの出現によりベリアル、ラインハルト、アルフェウスは完全に足止めを喰らってしまった。



「ちぃっ!!何度も何度も再生しおって……!!」



 ベリアルは、何度も再生を続けるゴーレムに嫌気が差してきた。



「はいはーーい、俺らもいること忘れてもらっちゃ困りますねえ。」



 その時、何者かがベリアルの背後から声を掛けてきたと思いきや、突如ベリアルに向けて雷魔術が放たれた。



 虚をつかれたベリアルは咄嗟に回避したももの、左肩に雷魔術を受けてしまった。



「……なんじゃあ、お主らは……!!」


「お〜怖い怖い。天下の火龍に睨まれるなんて。」


「……ってか、本当に火龍って人形態になれるのね。」


「スパイからの情報は確かのようだな。お前たち、ゴーレムの攻撃には十分気をつけろよ。」


「うぃーっす!!」



 そこに居たのは、デュバル以下、コウスケ、ミサ、タクト、リョウヤの姿であり、ベリアルに対して敵意をむき出しにしていた。



「…スパイじゃと……!?」


「ここで死ぬ貴様には過ぎた話だ。」


「余所見してんじゃねぇぞ!っと!!」



 タクトがベリアルの死角から突如現れて攻撃を仕掛ける。


 さらにミサがそれに合わせるように氷柱を出現させ、挟み撃ちとなるようベリアルに向けて撃ち出した。



「……甘いわ……!」



 ベリアルはそう呟くと、自身を中心に火柱を展開させ、タクトと氷柱の両方を同時にかき消しにかかる。


 ベリアルの反撃により氷柱は瞬時に蒸発し、タクトと思われる焼死体がゴロリと転がる。



「この程度でワシを殺せると思うておるとは、随分と舐められたものじゃ。」


「……くくっ……舐めてんのは………そっちのほうだろ!!」



 焼死体になったはずのタクトが再度動き出したかと思うと、油断していたベリアルの背後からナイフで刺し貫いた。



「……なっ………貴様………何故生きておる……!?」


「コユーマホーに決まってるだろぉ!俺が死んだとでも思って油断するなんざ、八龍も大した事無ぇなぁ!!」



 タクトはナイフを引き抜き、回し蹴りでベリアルを蹴り飛ばす。


 そこへゴーレムがベリアルを踏み潰すべく、巨大な足をベリアル目掛けて踏みつけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ