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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第20章 開発
224/322

無線通信機

 電話作りに着手して5日目。



 あれから他の職人らも含め、ああでもないこうでもないなどと試行錯誤しながらも電話を作っていた。


 なかなか思うような出来では無いものの、原型となる電話がある程度は完成した。


 と言ってもあらゆる場所に魔石を用意し、そのせいでかなり不格好な電話となったのだが。



 後はここから改良に改良を加え、長距離でも通話を可能にしつつ、小型化していく必要がある。



 一対一での通話というよりも一対多数での通話用となるので、電話というより無線通信機である。



 ある程度の目処が立った所で、ノックスはルナに呼び出されていた。



「…それにしても、この電話ってやつ。本当にこっちの世界でも作れちゃうなんて。」


「電話というより無線だがな。まだまだ改良の余地はある。」


「…それにしてもさ、大丈夫なの?」


「…何がだ…?」


「お兄ちゃんの元いた世界の物を作るってことはさ、もしこの世界に同じように転生してきた人らにも知られちゃうってことだよね?」


「それについては織り込み済みだ。むしろ無線に関してはデメリットよりメリットの方が大きい。」


「…んまあ、遠くの人とやり取りできるってのは確かに凄いけど……」


「ここに転生してきた者の知識がどれ程かによるが、転生者なら無線や銃の知識を元にすでに作成していてもおかしくはない。

 通信技術は必ず役に立つはずだ。」


「……それにしたって、あんまり先走っちゃうと変に思われちゃうよ。お兄ちゃんが転生してきたことは、他の人には言ってないんでしょ?」


「……そうだな……気をつける。」


「それじゃあさ、たまにでいいから、お兄ちゃんの前世の世界のこと、あたしに聞かせてよ。」


「…ふっ……分かった。好きなだけ聞かせてやるさ。」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 それから数日後、通信機作りは難航したりしたものの、なんとか小型化に成功し、通信できる代物がようやっと出来上がった。



 が、受信する側は総重量30キロを超える端末を持ち運ぶ必要があるのだが。



 今日は通信テストを行うため、ノックスらは王城の作戦会議室で待機し、リドルとナタリアらがスケルトンと一緒に外へ出る。



 作戦会議室には真新しい通信機材を目にするべく大勢の人で溢れていた。



 ノックスは通信機の通話ボタンを押し、話しかける。



『もしもし、こちらはノックス。聞こえるか?』


『……うおっ!?ほ、ほんとに聞こえた!!?……ああすいません!!聞こえてます!リドルです!』



 その瞬間、作戦会議室に歓声があがる。



『感度に関しては問題ないな。』


『っていうかノックス様!?これどういう仕組みなんです!!?なんで遠くにいるノックス様の声が…!!?』


『今それを説明してもな……とりあえず距離を測っておきたいから、もう少し離れてみてくれ。』


『了解しました!!』



「…本当にこんな事が……信じられん……!!」


「……これさえあれば、諜報活動も効率化できる……ククク……」


「どうして!?なんで!?」


「ノックスお兄ちゃんすごい!!」



 作戦会議室は興奮が冷めやまないでいた。



 その後、リドルは距離を取りながら時折通信を試みる。


 幾度かのテストで分かったのは、通信範囲はせいぜい半径5キロ圏内であること。


 テストの際、近くで雷魔術を行使させるとノイズが入り、まともに通信が出来なくなってしまうことなど問題も生じた。



「なぜ雷で雑音が入って使えなくなるのだ?」


「会話と同じだ。周りがうるさいと聞こえないだろう?雷が電波をかき消してしまう。」


「……なるほど……では距離はせいぜい5キロが限界、ということか?」


「いや、中継器をいくつか設置すれば問題ない。大型のアンテナも設置が必要だな。ただ、自然災害やモンスターに中継器を壊される心配があるが。」


「すげぇや……これが実用化されれば、情報戦に優位なんてもんじゃない……戦局そのものがひっくり返るレベルじゃん……」


「テストは概ね終了だな。まだ問題も山積みだが、一先ずご苦労だった。ジェラート、ルミナ、そしてルナ。他の職人たちも。俺のワガママに付き合ってくれて助かった。」


「…いえいえ、お易い御用ですよ。俺としても、まさかこんな世紀の大発明に関われたなんて、光栄の極みです…」


「トーゼンじゃーん!天才美少女発明家ルミナ様にかかればこんなもんよー!!」


「理論を形にするのって面白いね!またなんか思いついたら何でも言ってよ!」



 その後、城の尖塔を利用して無線用の増幅器を設置する。


 更には島の中央にある山の山頂にも増幅器を設置させ、遠距離通信の際はこちらも併用する形を取れるようにした。



 早速船にも無線機を設置し、回線チェックを行うと、距離にして数十キロほどまで無線が行えるほどに距離が伸びていた。



 さすがに地球でこれほどまでの高出力の無線機を使えば即電波法違反に引っかかる代物である。



 アステル島の調査を行うために、ジェラートが主導して早速この無線が使われ、大いに役立っていた。

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