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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第20章 開発
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原理と構造

 その後ノックスはセトに連れられて新兵器開発の進捗を確認する。



「まず大砲の出来から見てください!」



 確認すると、試作品である大砲には車輪が付けられており、発射時の衝撃を受け流す役割をしている。


 大砲の底の部分は円錐状になっており、砲弾が底に当たらないようになっている。


 横穴が作られ、火薬を叩くための撃針が通っていた。



「ふむ。構造としては問題なさそうだな。火薬については?」


「火薬を安定させるために魔力調整難しかったんですよ。とりあえずこれ、作ってみました。」



 セトはピンポン玉くらいの大きさの球体をいくつか取り出した。


 ノックスと同じく砂を混ぜ合わせ、砂ごと空気を圧縮させたようである。



「ほう。では早速試し打ちといこうか。」



 スライドを開け火薬を底に入れ、更に上から砲弾を固定する。


 スライドを閉め、撃針を通し、照準を定める。


 そして、ハンマーで撃針を叩く。



 ドガァァン!!という音と共に砲弾が射出し、岩壁に砲弾がめり込んだ。



「…ふむ。威力に関しては申し分ないな。」


「んで、このままだと火薬の砂が底に溜まったまんまになっちゃうんで、底から別の出口を作って砂が流れ出るようにしてます。」



 こちらから見えない位置に穴が空いており、火薬に含まれる砂をここから排除させていた。



「なるほどな。

 これを軽量化させることは可能か?」


「…軽量化……と言うと、持ち運び出来る程にってことですかい?」


「ああ。」


「機能自体は簡単ですからねぇ。耐久性も、魔鉄を使えば何とか出来そうではありますぜ。」


「取り掛かってみてくれ。それと、砲身なんだが、螺旋状に溝を掘ると砲弾に回転が加わってさらに安定性が増すだろう。」


「…溝…ですか。モロゾフさん、出来そうです?」


「任せてくだせぇ!」


「軽量化の仕組みについてはこんな感じだ。」



 ノックスは前世での知識をフルに活用しつつ、銃の仕組みについて説明するべく紙に図を書いて説明する。



 と言っても自動小銃のような複雑な構造は流石に説明が出来ないので、ボルトロック方式の銃の構造を説明した。



 大砲では横のスライドドアを開閉させて火薬や砲弾を装填する仕組みになっているが、こちらは銃身そのものがスライドし、火薬と銃弾を装填する仕組みである。


 窓の掛金と同様の仕組みを用いる、というわけである。


 銃身をスライドさせた際に一緒に撃鉄が後ろへと下がり、引き金の切っ掛けに引っかかって固定される。


 地球で使用されている銃の基本構造とまったく同じ構造である。




「これはまた効率的な仕組み……さすがはノックス様!!」


「頭の中どうなってるんです!?天才的すぎるでしょコレ……」


「問題は砂だな。砂無しでも火薬を作れるか?」


「……うーん……できなくはない、ですね。」


「やってみてくれ。だが、危険が伴うが。」


「こっちは任せてください!」


「こんなワクワクするような物を作れるなんて光栄です!!こりゃあジェルゾの親っさんもおったまげるだろうなあ…!」



 やる気満々の2人にこの場を任せ、続いてノックスはルミナの元へと訪れることにした。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ノックス様〜〜〜!!」



 ノックスの顔を見るなり抱きつこうとしてきたルミナをノックスはひょいと躱す。


 訪れた研究室には早速物資で溢れかえっており、机の上にはあらゆる資料が散乱していた。



 研究室には他にルナとジェラートがいた。



「んな!!ひどい!!第1夫人なのに!!」


「…え?お兄ちゃん、ルミナさんと結婚してたの…?」


「…違うと言ってるだろう……それよりも、早速始めるぞ。」


「…そ、そうだよね!うん!」


「…ククク……簡単には聞いてはいるが、楽しみだ……」


「冷たいなあ。んじゃま、取り掛かっちゃいますか!」



 ノックスらが作ろうとしているものは、遠くにいる者と会話をするもの。

 つまりは『電話』である。



「…んで、声をどうやって遠くに飛ばすわけ?」


「…『拡大』の固有魔法を使えば、もしかすると声を拡大させてたくさんの人に聞かせることはできるかもしれんな…」


「…んー、でもそれだと敵にも会話が筒抜けじゃない?」


「……確かに……」


「慌てるな。『電話』の仕組みはそう難しいものでも無い。声や音というのは空気の振動。その音波を電波に変え、発信させる。これが発進側の大雑把な仕組みだ。」


「…んえ?…振動…?」



 ノックスはそれを説明するため、あらかじめ用意していた紙と糸を用いて糸電話を作成し、皆に使わせた。



「んおお!!確かに聞こえるぞ!!」


「…すごい……!」


「……なるほど……振動が糸に伝わり、それで遠くに居ても声が聞こえる、という訳か…」


「んじゃあこの糸をめっちゃ伸ばしちゃえばいいってことか!」


「待て待て。糸はなるべくピンと張らせてないと伝わりづらいし、途中で断ち切れることもある。」


「…まあ、そだよね。」


「この振動を電波に変換させ、アンテナでもって発信する。それなら敵に聞かれる心配もない。」


「……音を電気に変えられるのか……?」


「微弱な電気だが可能だ。魔石に音で発生した電波を吸収させ、それを発信させる。」


「な、なるほど!!確かにそれなら音を電波に変えられるかも!!」


「…それで、ノックス様の仰ったアンテナというのは……?」


「それだけだと微弱すぎる電波だ。それを増幅させ、発信させる物だ。それで周囲に電波を放出し、受信側はそれを拾う。受信側は先とは逆の手順を踏まえれば音として聞こえる。」


「…ふーむ……理論的には可能な感じもするねぇ。

 よし!まずはやってみよう!!」



 ノックスの理論を元に、この世界で初めての電話作りに着手する。



 と言ってもすぐに完成できるわけもなく、4人であれやこれやと試行錯誤を繰り返すのであった。

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