山羊
おぉ……
偉大なる我らが神、ゼディウスよ……
我の罪をお赦しください……
今、あなた様の元へ憐れな山羊が参ります……
何卒、その慈愛に満ちた手で、その山羊らをお救いください………
我らが神、ゼディウスよ………
我らをお赦しください………
またもやこの世界に【魔王】の出現を許してしまいました……
あなた様のために、立派な山羊を贈りましょう……
そしてどうか、我らをお赦しください………
我らはあなた様の忠実なる下僕にございます……
あぁ、我らが神よ………
彼らの血肉は、我の糧となることをお赦しください………
そして、これからも、あなた様のために山羊を捧げましょう………
どうか、罪深き我をお赦しください………
「……様、もうよろしいでしょうか?」
「………待ちたまえ………まだ、祈りが終わっておらぬ………」
「……了解しました。」
「………………」
あぁ我らが神よ!!!!
罪深き我をお赦しください!!!!
あなた様に捧げる祈りの途中で、邪魔が入ったことをお赦しください!!!!
我はあなた様の従順なる下僕にございます!!!!
どうか…どうか……!!
罪深き我をお赦しください……!!!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「…まだ終わらんのか?」
「はい。まだ、祈りの途中だと。」
2人の男が建物の外で祈りが終わるのを待ちわびていた。
「……全く……狂信者め。」
「…ここんとこずっとこうですよね。祈りだかなんだか知らないけど、急がされるこっちの身にもなって欲しいもんですよ。」
「……そうは言っても仕方ないだろうが。12使徒ってのは全員こんなやつらばっかりかよ。」
「……はぁ〜……めんどくさいですよねぇ……しかもこんな陰鬱な場所に何時間もお祈りとか、馬鹿馬鹿しいったらねぇ……
……って、聞いてます?」
「んん」
「…え?なんですその声は……って……!!?」
振り返ると、そこには後ろから手で口を抑えられ、背中から刀をズブリと刺し貫かれていた。
声を出すことも許されないまま、男は無慈悲にも祈りをしていた男により殺された。
「我が神を侮辱するとは許されん………!」
「……ハ……ハデス…様……!!?」
「貴様も我が神の元へと誘ってやろう………」
「……や……やめ…………」
あぁ、我らが偉大なる神よ………
今また我は罪を犯したことをお赦しください………
慈愛に満ちたあなた様なら、罪深き2匹の山羊もきっとお救いくださるでしょう…………
我らが神、ゼディウスよ………
どうかお赦しください…………




