ノックスv.s地龍 2
地龍は自身の力を解放した。
地龍を中心に衝撃波が襲い、近くの岩を粉砕する。
その衝撃は凄まじく、地響きを引き起こし天井からもパラパラと欠片くずが落ちる。
ノックスもまた、力を解放した。
が、地龍のように衝撃波を生じさせたりはしなかった。
両者共に改めて戦闘態勢に入る。
今度はノックスから仕掛けた。
「燃え上がれ!!」
拳大の火魔術を地龍へと放つ。
地龍はそれを巨体に似つかわしくない速度で躱した。
躱された火魔術であるが、その後、拳大の大きさから一気に膨れ上って地龍を巻き込もうとする。
あまりの超高温により、大地はたちまち融解した。
地龍は翻り、大地に向かって飛び込んだ。
30メートルはある地龍は音もなく、まるで水に潜ったかのように大地へと沈んだのだ。
すぐさま感知スキルで地龍を探すも、地中を高速で移動する地龍を正確に捉えることができない。
そうこうしていると、ノックスの背後から音もなく地龍が現れ爪で引き裂きにかかる。
寸前でそれに気づき、跳躍して躱す。
地龍は勢いそのまま再度大地へと潜り込む。
その後も地龍は上から下から高速で攻撃を見舞う。
躱しきれずに刀で攻撃を受け止めたが、吹き飛ばされる。
受身を取るも体勢を整える前に地龍から攻撃が飛んでくる。
地龍の猛攻により徐々にダメージを負うノックス。
重力魔法を行使するも、地龍は気にもしていない。
『無駄だ!!我は地龍!!貴様の地魔法はすでに相殺しておる!!』
「くっ…!!」
斬撃を見舞うためには地龍の動きを止めるか見極める必要がある。
だが地龍は決してそれを許さない。
音もなく、どこからともなく高速で襲いかかる地龍に完全に翻弄されていた。
ノックスはふぅぅと息を吐いた後、水魔術を行使し、辺り一面深い霧を立ち込めさせ、抜いていた刀を鞘に収めて目を瞑る。
地龍もノックスの行動に警戒し、大地を泳ぎ回りながら様子を伺っていた。
この霧の魔法は攻撃魔法ではない。
この霧に触れた者の位置を即座に把握するための感知系魔法である。
先程までとは打って変わり、辺りを静寂が包み込む。
やがてその静寂を打ち破るかのように地龍が音もなく大地から現れ、最大速度でもってノックスの正面から襲いかかった。
ノックスも地龍の気配を感じ取り、抜刀。
一閃
地龍の爪攻撃によりノックスは左肩から先を抉り取られた。
鞘を握っていた左腕が虚しく地面に転げ落ちる。
「うぐっ…!!」
ノックスは激痛により顔をゆがめ、左膝を地面につけた。
『……見事だ………人間……』
地龍がそう言い放つと、地龍は胴体が両断され、崩れ落ちた。
神速の居合いにより、地龍を真っ二つに両断せしめたのだ。