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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第17章 救出作戦
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ノックスv.sノース

 ノックスが先にベスティロ邸宅内に侵入してからしばらくした後、ヨハンナは『透明』になり遅れて邸宅内へと侵入する。


 さすがにジェラートはそこまでの体力もなく、いざ戦闘となると足でまといになると考え、地下通路を戻り元の空き家へと戻って行った。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ノックスが邸宅に侵入するよりすこし前、ノックスとヨハンナは事前に打ち合わせを行っていた。



「ノースが目立って警備しているということは100%俺を待ち構えてのことだ。ということはおそらく、あの屋敷にはベスティロはいない可能性が高い。」


「…それでも、予定通り行かれるのですよね?」


「あぁ。邸宅内の衛兵を粗方片付けた後、わざと奴に見つかる。その隙にヨハンナは周囲の捜索を頼む。」


「わかりました。ノースは12使徒の中で【勇者】の称号を持っていますので、どうかお気をつけて…!」


「確か、【勇者】は自身のステータスを上昇させるだけでなく、周囲にもその影響を与える、だったな。」


「はい。それと、固有魔法『刻印』も。」


「マーキングした者を的確に捉える魔法、だったか。」


「もしもノースを捉え損ねた場合、『刻印』されているなら『透明』であろうと見破られてしまいます。」


「その点なら安心しろ。俺には奴を生かすという選択肢は無い。」


「了解しました。」


「それよりもベスティロだ。」


「…ちなみに、どう探し出せば良いので…?…それに、近くにいるかどうかも……」


「どこかに潜伏しているにしろ、必ず傍に衛兵を置くはずだ。」


「それでも、もし見つからなければ…?」


「それならそれで構わん。奴に俺とルナの関係性を知られた以上、それを利用してこないはずがない。

 その時に備え、ヨハンナは潜伏していてほしい。」


「……!!……了解しました…!」



 ノックスの言う『その時』の意味を咄嗟に理解したヨハンナはすぐに了解した。



 ノックスとルナの関係性が露見してしまった以上、必ず教会側は利用する。


 ノックスの強大な力を知った今、彼と真正面からやり合うなど愚かな事はしないだろう、ということだ。


 今はどこに潜んでいるかは謎だが、ベスティロの近くにはその為のルナがいるはずだ。


 なぜなら、ベスティロは最終手段としてルナを人質にノックスの動きを封じてくる可能性が大いに高い。



 その時、『透明』で身を隠しているヨハンナがある『目的』を達する、という策である。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ノースがノックスの居場所を特定したためか、屋外からも衛兵たちが駆け込んでくる。


 それと入れ違いになる形でヨハンナは屋敷の外へと飛び出し、念の為に周囲の索敵を行った。


 が、この騒ぎを聞きつけた野次馬や外から慌ただしく衛兵がこの邸宅を取り囲んでいるのが分かるだけで、この中からベスティロを特定するのは不可能であった。



 その時、ヨハンナはいきなり背筋が凍りつくかのような悪寒に囚われる。


 冷や汗を流しつつ確認すると、その悪寒の元凶は邸宅内から発生している。



 どうやらノックスが隠密を解除し、ノースと本格的に戦闘が開始されたようであった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「…凄まじい気迫だな……さすがは『魔王』、と言いたい所だ。」



 不敵な笑みを零すノースに、ノックスは気にも留めずに一瞬で間合いを詰め寄り、袈裟斬りを見舞う。


 即座にノースは床を蹴って回避するも、ノックスから火魔術により追撃が行われる。


 魔障壁では防げぬと即座に判断したノースは更に床を蹴って回避する。


 ノックスから放たれた火魔術はそのまま壁を貫き、部屋の外で待機していた衛兵もろとも消失させた。


 火はそのままの勢いで外壁を消失させ、一直線に外と中を繋ぐ。



「今度はコチラからだ!!」



 ノースが称号の力で自身の力を増幅させ、目にも止まらぬ速度でノックスに剣戟を浴びせる。


 ノックスは鞘で剣戟を凌ぐも、ノースはさらに剣速を速めて追撃する。



 激しい斬撃がベスティロの寝室のあちこちを斬り、部屋の中は斬りつけられたベッドから羽毛が舞い散る。



 一方的に剣戟を浴びせかけてくるノースの顔が卑しく歪む。


 反撃する暇も与えない自身の剣術にでも酔っているのだろうか。


 ノースの斬撃を処理していたノックスだが、そんなノースの表情を見た途端、過去の思い出がフラッシュバックし、胸に刺すような痛みが(ほとばし)る。



 その緩んだ隙を逃さず、ノースが無数の斬撃をノックスに見舞い、トドメと言わんばかりにノックスの胸を刺し貫いた。



 ノースの剣はノックスの胸に深々と刺さり、血が滴る。



「ハハハハハハ!!まさに、あの時と同じだな!あの時もこうして貴様の胸を刺し貫いてやった!

 レベルが2000超えと聞いていたが、ハッキリ言ってそこまで大した事は無いようだな!!

 今回はあの時とは違い、貴様の息の根が止まるのを見送ってやる!!」



 ノースはグリグリと貫いた剣を捻り、卑しく歪んだ表情のまま続けた。



「そういえば貴様の母親…旦那の生首を見せたら泣いていたな!!」



 ノースが剣を引き抜くと、ノックスの胸から血が溢れる。



「そこからはまさに見ものだったぞ…貴様を『悪魔の口』に放り込んでから、妹に両親の生首を見せつけてやった。

 盛大に泣き喚くかと思いきや、小便を垂らしながら命乞いをしてきたなぁ…!!

 そしてこれから貴様の首を見せたら一体どんな表情を見せてくれるか楽しみだ!!

 ハハハハハハハハ!!!!」



 ノックスは胸が激しく痛む。


 この痛みは、決して今受けた剣戟のせいでは無い。


 少年ノックスの『魂』が、叫んでいる。


 少年ノックスの『魂』が、泣いている。



「さて、そろそろ終わりにしよう。たとえ【魔王】といえど、【勇者】の俺には敵わなかったようだな…!」



 ノースはノックスの首に狙いを定め、両断せしめるべく剣を振り下ろした。

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