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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
閑話
183/322

緊急招集

 サンドアルバ教国へと帰国したリームスは、さっそく報告を行い、教皇の命令で緊急招集が開かれた。



 突然の招集であったものの、8名の12使徒が招集に応じ、早速報告の運びとなった。



「…それではリームス。報告を頼む。」



 ジオードがいつもの如く進行を勤め、リームスへと促した。



「…そうですねぇ……まず、今回ズーグを屠った者の名は『ノックス』。面白いことに、彼は魔族と人族のハーフでしてね。

 それ以上に面白いのは、彼は『魔王』の称号を所持している、ということです……ふふふ……」


「…魔王だと……!?」


「…本当に……!?」


「私の鑑定を信用していないので?」


「……鑑定で見たのなら、他のステータスについても分かっているわよね?」


「えぇ勿論ですよ…」



 リームスは懐から羊皮紙を取り出すと、皆にそれぞれ渡した。



 そこには鑑定で見たノックスの細かなステータスが記載されており、それを見た面々は様々な反応を見せていた。



「……これ……マジ……?……レベル2000超えって……」


「嘘は書いてませんよ…私が見た通りの内容ですよ……ふふふ……」


「とんでもないバケモンだねぇ……こりゃあの予言通りになっちゃうかもしれないねぇ……」


「それともう1つ。この教会を裏切り、このノックスに付いた者もいましたよ。」


「…なんだと……?」


「元はズーグと共にウィンディアへと侵攻した者ですがね、生き延びて教会を離反したようです。」


「……その者は?」


「マイナという女ですよ。」


「ハッ!!んならそいつら共々ぶっ殺してやりゃあいいじゃねぇか!!」


「ロウ。事はそう単純ではないのだぞ。」


「そりゃそうだろうけどよぉ?ここで皆でごちゃごちゃ言ったってしょうがねぇだろうがよ!」


「……やるにしても、1対1で勝てる見込みは0よねぇ。ここに居る何人かで戦えば何とかなるんじゃない?」


「これだけこのノックスが強大であれば、配下の者の実力も相当な物のはずだ。」



 室内は騒然となり、皆が口々に意見を交わす。



 そんな中、ノースだけは一人静かに羊皮紙を眺めていた。



「皆さん、冷静に考えてくださいよ。何もまともに正面からやり合う必要などありはしないでしょう。」



 白熱する議論を諌めるべく、リームスが制した。



「確かにその男ノックスは強大な力を有してます。そんな男がどこから現れたのか非常に興味がありますけどね……」


「…何かいい案でもあるのかリームス?」


「簡単な事ですよ……要は、『戦わなければよい』だけです。」


「はぁ!?戦わずして全面降伏するつもりだっつぅのか!!?」


「そうは言ってませんよ。」


「……まさか、封印術か?」


「えぇ、その通り。いくらノックスが強いと言えども、封印してしまえば何ら怖くはないでしょう。」


「しかし、そう簡単にいくのか?」


「さあ?そこまでは私にも分かりませんよ……ふふ……」


「…この男がどこまで我々の情報を掴んでいるのか……が、その方法は試してみる価値はあるだろう。」


「それまでは手出しは無用だな。分かったなロウ?」


「……チッ……わかったよ…」


「皆もそれでよいな?」



 ジオードが皆に了解を取る。


 それに無言で頷く面々だったが、突如ノースが立ち上がった。



「……この男は……俺がやろう。」



 突然の一言に皆が騒然とした。



「…なんだ突然……?」


「おいおいノース!!てめぇこの間は『他人のケツは拭きたくねぇ』ってほざいていただろうが!!」


「事情が変わった。この男は俺が殺る。」


「何か勝算があるのか?貴様がいくら『勇者』と言えど、この男は……」


「分かっている。自分の実力は俺自身が1番理解している。」


「……まさかてめぇも裏切ろうって腹積もりじゃねぇだろうなぁ…?」



 凄んだロウを一瞥したかと思うと、神速で剣を抜きロウの喉元へと突き立てた。



「…なっ……なにを……!!」


「今度同じことを言ってみろ…次はその首を切り落としてやる…!!」


「……てめぇ……!!」


「お前たち、そこまでだ。」



 ジオードが仲裁に入り、ノースは剣を収めた。



「…ノース。よかろう。お前がそこまで宣うならこの件は一旦お前に預ける。

 だが、念の為に我々の方でも方法を考えよう。

 それで良いな?ロウ、ノース?」


「……好きにしろ……」


「……チッ……分かったよ……」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「……『ノックス』……魔王の称号を持ち、尚且つこれだけの高レベル……ついに予言の時が来た、というわけですか……」


「リームスの報告によると、離反者もすでにそのノックスと合流している可能性が高いそうですな…」



 サンドアルバ教会の一室にて、ベスティロを含んだ4人の枢機卿が着席しており、その部屋の一番上座にももう一人、一際豪華な椅子に腰を下ろしている人物がいた。


 アズラエル教皇である。



 リームスが鑑定にて掴んだ情報により、緊急招集をかけたのだ。



「……それに地龍をも倒しておるとはな……これは殊更に厄介ですぞ。」


「……『ノックス』………」


「12使徒総動員させてでも討ち取らねばなりますまい。」


「だがあの予言があるのですぞ。その通りになるのだとしたら、いくら戦力を差し向けたとて……」


「そんな弱気では困りますな。」


「それもこれも、魔族共を根絶やしにしなかったツケが回ってきたのだ!」


「……今更それを嘆いたとて事態は変わりませんぞ、マーティン枢機卿。」


「しかしだな…」



 騒然としていた枢機卿らを諌めるため、教皇が手で制した。



「ベネット枢機卿の言う通りだ。今更嘆いたとて仕方あるまい。」


「…教皇聖下…」


「予言が全て正しいという訳でもあるまい。上に立つ我らが浮き足立ってどうするのだ。」


「…ですが、12使徒らだけで対処し切れるでしょうか?『魔王』の称号は、人から崇拝されればされる程に力を増すのです。」


「無論承知の上だ。現在12使徒らでも対策会議を開かせている。

 だが、ウィルソン枢機卿。念の為に生贄を用意しておけ。」


「御意。」


「それと離反者の目的については予想がつく。すぐにムエルテ島への警戒を強固にせよ。

 ベネット枢機卿は12使徒を何名か派遣させ、リコリスと共に警戒させろ。」


「御意。」


「マーティン枢機卿は属国に『ノックスという名のハーフデビルの討伐、及び、魔族の抹殺』の旨を通達。連携を強化させろ。」


「御意。」


「ベスティロ枢機卿は国内にいる戦闘員の中で可能な者から祝福を与え、強化を行え。

 それと、アニムスの準備をしておけ。」


「御意。」

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