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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第15章 一時帰国(ウィンディア編)
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固有魔法と祝福

 次の日。

 早速ローシュたちやマイナたちが作戦会議のために集まった。


 ベリアルは話し合いは退屈だと言いつつも、ノックスに促され渋々参加していたが。



「集まってもらったのは他でもない。今後のことについてだ。」



 開口一番、ローシュが早速切り出した。



「ここから先はアステル島での拠点作り班と、ムエルテ島での救出班の二手に別れる。

 救出班にはノックス様、ノエル、アイン、リドル、ナタリア、モズ。それにベリアル殿とノアだ。

 非戦闘員の魔族らはワシと共にアステル島での拠点作りとなる。

 ただ、ノックス様。スケルトンはどのように配置を?」


「あいつらも二手に別れさせる。救出班には騎士と格闘と弓、それと魔術師だ。それ以外はアステル島にて護衛、及び、モンスターの討伐を任せたい。

 それと、この国からシリュウとメローネが我々と同行する。」


「了解だ。

 して、マイナ殿らは全員救出班で構わないのか?」


「無論、私たちは救出班でお願いします。」


「了解だ。」


「いくつかマイナたちに確認したい。」



 ノックスは間に入ってマイナたちに質問を投げかけた。



「まず、固有魔法についてだ。この固有魔法は1人につき1つまでしか保有できないのか?」


「そうね。固有魔法は教会が独自に編み出した技術で、保有のためには特殊な魔法陣により許されるの。

 昔、固有魔法を2つ所有しようとした馬鹿な若者がその力に耐えきれなくて死んだって聞いているわ。」


「でも、人それぞれ違うんッスよね?」


「そんな複雑な術式を組み込んだ魔法陣なんて、一体どうやって編み出したんですか?」


「魔法陣を編み出したのはニコラウス・ヘンダーソンという人物で、勇魔大戦の時の教皇よ。

 人それぞれ違うのは、その人の性格や戦闘スタイルに合わせた固有魔法が付く、と言われているわね。」


「次の質問だ。『祝福』とはなんだ?」


「祝福は、教会曰く『神から与えられた試練を乗り越えた者にのみ与えられる啓示』とされているわ。

 儀式を乗り越えた者にのみ与えられ、その結果として称号が付与されるの。」


「……儀式……?」


「私たちに聞かせられているのはその程度なの。」


「誰にでも与えられるもんじゃないって事ッスか?」


「その儀式を乗り越えるためには器である肉体が強くあらねばならん、と言われている。

 分かりやすく言えば、レベル500を超えた者、ということだ。」



 マイナに代わってハイゼルが答えた。


 その後もアインやモズは称号や固有魔法について色々と尋ねていたが、ノックスはその説明に違和感を覚えていた。



 というのも、ノックスが『悪魔の口』で称号を得たのは地龍を倒した直後の事である。


 その間に何かしら儀式をした覚えもなく、特に『魔王格』の称号に関しては、ある日ステータスを確認したら知らない間に付与されていたのだ。



 が、その事を今詰めていても仕方がないと割り切り、ノックスは思考を切り上げた。



「…次の質問だ。お前たちが知りうる限り、危険な称号や固有魔法はなんだ?」


「固有魔法は人によって色々と捉え方があるけど、称号に関しては断トツで『処刑人』ね。

 あなたにとっては『勇者』が一番気がかりかもしれないけど。」


「……え!?…それってやっぱりノックス様が『魔王』だからッスか!?」


「…なんと……!」


「……やっぱり『魔王』の称号を……!」


「あっ……!……ご、ごめんなさいノックス様……」


「構わん。俺のステータスはすでにリームスに知られている。」


「…あ……そういえばそうッスね…」


「…私たちも安心したわ。やはりあなたが『魔王』の称号持ちで。」


「そんなことより、なぜ12使徒だけここまで称号が明らかにされているんだ?」


「司教や枢機卿とは違って、彼らは主に戦闘専門のトップだからよ。基本的に12使徒は戦闘により成果があがり、12使徒へと成り上がるの。

 その過程で称号が得られるから、大々的にも知られているわ。

 ただし、その中のハデスだけは少し違って、彼は教皇によりいきなり12使徒へと格上げになったのよ。」


「……なるほどな……」


「他に質問は?」


「……セトとホークに質問だ。」


「え?」


「俺たちに?」


「お前たちは確か『保存』と『交換』の固有魔法持ちだったな。一体どういう効果があるんだ?」


「お、俺のはあんま大した事ないって言うか……俺の『保存』は物が腐ったりせずに長期保存できる固有魔法ってだけです。」


「……長期保存か。ホークは?」


「俺のは人と人を入れ替えられるって魔法さ。見える範囲であれば、だけどね。」


「……ほう……」


「人と人とを交換、か……使い方によっては面白そうな魔法だな。」


「長期保存というのも、兵糧が腐る心配が無くなりますね。」


「ならホークはリドルと組んでくれ。リドルの視野があれば、ホークの魔法を活かせられる。」


「了解致しました。」


「んじゃ、リドルさん、よろしく。」


「……やっぱ俺の固有魔法……ハズレだよなぁ……」


「『保存』の対象は無生物だけ、だったな?」


「え?…まあ、そうですけど…」


「……例えば、落下中の物に保存を行うとどうなる?」


「…落下の衝撃で砕けないか?ってことなら、砕けないですね。

 って言っても役に立つのは皿を落としそうになった時とかですけど。」


「……その後解除しても物は壊れないのか?」


「……?……ま、まぁ、壊れないですね…」


「………ふむ………」



 ノックスはやや黙考した後話を進めた。



「物体の状態を『保存』する、というのは理解できる。食べ物が腐ったり金属が腐食するのは外部から何らかの干渉があるせいだ。干渉させないよう防げばよい。

 だが、衝撃の場合など、無理やり外部からエネルギーを加えられても状態が『保存』される、というのならば、そのエネルギーはどこへ行く?」


「……え?……な、なんな難しそうな話ッスね…」


「……それは……俺にも分からないです……

 ただ、あまり強い衝撃を与えると保存の効果が無くなっちゃいますけど…」


「……なるほどな……だがもし、『保存』が俺の考えている通りの能力を有するのならば、かなり有益な魔法になりうるかもしれん。」


「えぇ!?ハズレもハズレ、大ハズレの固有魔法ですよ!?」


「まだどうなのかは分からんがな。とにかく話を進めよう。」



 話が逸れてしまったが、要約すると2日後の午前10時にウィンディアを出航。



 拠点作り班は物資と共にマーメイド号でアステル島へと上陸。

 旧エトワール王国跡地にて拠点を作る。



 救出班は、セイレーン号に乗り込み、ノックス、ノエル、アイン、リドル、ナタリア、モズ、ノア、ベリアル、マイナ、ハイゼル、セト、キリト、ヨハンナ、ホーク。

 そこに、騎士、格闘、弓、魔術師のスケルトンを同行させる。

 さらにウィンディアからはシリュウとメローネも同行する。

 乗組員16名と合わせて35名と1匹となった。



 考えられる敵対戦力は、司祭である『リコリス・グランデ』を筆頭に数多くの部下を相手取ることになるだろうとの事だ。


 特にリームスによりマイナたちの離反が露見している以上、戦力を傾けてくる可能性は大いにあると想定した。




 作戦会議が終わり解散となったところへ、ヨハンナがおずおずとノックスの所へとやってきた。



「あ……あの………」


「…ん?ヨハンナか。どうした?」


「…えっと、その……あなたが治療してくれたって聞いて……毒のせいで瀕死だったアタシを…」


「あぁ、そんなことか。気にするな。それよりちょうど良かった、ヨハンナ。」


「…え?」


「お前の『透明』の固有魔法、もしかするとだが、向こうで使わせてもらえるか?」


「そ、それくらいは別にいい…です。」


「助かる。まぁ、使わせてもらうかどうかは向こうに着いてからだがな。」


「ア、アタシで役に立てんならなんだってするよ!

 それより…その……ありがとう……助けてくれて。」



 顔を真っ赤にしながらヨハンナはぺこりと頭を下げ、その後走って去っていった。

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