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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第14章 一時帰国(ロンメア編)
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魔道具店ジェスター・再び

 ノックスはこの日、『魔道具店ジェスター』へとやってきていた。



 借りっぱなしになっているマジックバックを返却と、魔石の買取とために来たのである。



 店の雰囲気は相変わらずだが、中からは何か騒がしい声や物音が漏れていた。


 訝しんでいた所へ、突如として扉が開いたかと思うと、店主のマーリンが冒険者と思われる一団の首根っこを掴んで店外へと放り出していた。



「何しやがるこのクソババア!!」


「俺たちゃ客だぞ!!」


「お前ぇらみたいなもんに何も売るつもりは無いさね!!さっさと出ておゆき!!」


「んだと!?俺たちを誰だと思ってやがる!!」


「誰だろうと関係ないさね!!お前ぇらみたいなもんに物売るくらいなら便所虫にでも食わせた方がいくらかマシってもんさ!!」


「…な…なんだとこの………!!」



 冒険者が剣に手をかけた時、ノックスが後ろからその冒険者の肩に手を置いた。



「あん!?なんだてめぇ!!」


「この店に用がある。それに、冒険者であろう者がみだりに剣を抜こうとするな。」


「てめぇにゃ関係ねぇだろうが!!」


「アニキを誰だと思ってやがんだ!!」


「そんなに死にたきゃあそのババアと一緒に……」


「分かりやすく言おうか?邪魔だ。」



 ノックスは隠密レベルを下げ、男たちに凄む。


 その気迫に気圧されたのか、男たちは後ずさり、捨て台詞を吐いて消え去った。



「…まったく……」


「…フンッ!!近頃の若ぇモンは……にしても助かったよあんた……って、あんたは…」


「マーリン殿、久しぶりだな。色々と手土産を持ってきた。入店しても構わないか?」


「ヒッヒッヒッ!お前さんなら大歓迎さね!さ、お入り。」



 マーリンに促され、ノックスが店内へと足を運んだ。



「…にしても、さっきの輩は?」


「魔石の鑑定に来ていてねぇ、あたしの鑑定額が気に入らなかったのか、もっと値を付けろってうるさくってねぇ……クソみたいな純度でひび割れたような魔石に…」


「…なるほど…ああいう連中はたまに来るのか?」


「…まぁ、たまに、ね。それよりホレ!お前さんも魔石を持ってきてんだろ?」



 ノックスはマジックバックから魔石を取り出し机の上に並べた。


 それと、エレメンタルリザードの爪や角、ウロコも取り出して同じく並べた。



 マーリンは早速虫眼鏡で魔石を鑑定を始めたが、見てわかるように表情から笑みが溢れていた。



「…ヒッヒッヒッ…こりゃあたまげたねぇ…!ここまで上等な魔石なんてそう滅多とお目にかかれないさね……

 …それにこの爪やら角も……

 お前さん、これは何のモンスターから取った魔石じゃ?」


「エレメンタルリザードとかいうモンスターの物だ。」


「……エレメンタル…リザード……じゃと……?」


「そうだ。」


「…お前さん…龍種を倒したというのか……?」


「正確に言えば、それはノエル、アイン、ノアという俺の部下らが倒したんだがな。というか、エレメンタルリザードは龍種だったのか。」


「……そんなことも知らんで………なるほどのう。」



 その後、マーリンは査定額をはじき出す。


 とは言えこれほどまでの魔石や素材の査定となると、かなり時間がかかるようだ。



「……待たせたね……買取希望価格は、216万ダリルだよ。」


「…そんなに?」


「当然さね!!これだけ純度の高い魔石、それに角や爪にウロコ。どれを取っても1級品さね!!詳細な内訳が欲しいか?」


「いや、内訳はいい。

 …そうだな……ならば、こちらの買取希望価格は200万ダリルだ。」


「……は?」


「マジックバックの礼だ。かなり汚してしまったが、いよいよこの国を出てアステル島に拠点を作る。これは、その礼だ。」


「…いいのかい…?そんなマジックバックなぞ、どこにでもあるような代物じゃぞ?」


「本来孫へと買った物だったのだろう?これを受け取った時の約束だ。」


「……なら、約束は変更する。その鞄はお前さんにやる。」


「……いいのか?」


「それはこっちのセリフさね。これだけの代物を200万ダリルでいいなぞ……

 お前さんは義理堅いようさねぇ…

 あたしがもう少し若けりゃあ旦那にしたいところだよ…」


「そ…そうか……なら有難くこの鞄は戴こう。」


「……そういやさっき、お前さん、アステル島に拠点をとか言うておらんかったか…?」


「あぁ。火龍の事ならご心配なく。彼は俺の仲間になった。」


「…へ……へぇ……火龍をねぇ……」



 マーリンはノックスがあまりにも規格外であることを改めて認識した。



「拠点を作るんなら、餞別としてこれをお前さんにやるさね。」



 マーリンは小さな包みをノックスへと手渡した。



「これは?」


「その中にゃあいくつかスクロールが入っとる。攻撃用に迎撃用、他には転移もね。」


「…スクロールが…ありがとう。マーリン殿。大いに活用させてもらう。」


「ヒッヒッヒッ…もしまたこの国に戻ってくることがあるんなら、いつでもここへおいで。」


「分かった。マーリン殿も、それまでお達者に。」



 ノックスは200万ダリルとスクロールの入った包みをマジックバックに入れ、魔道具店ジェスターを後にした。

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