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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第14章 一時帰国(ロンメア編)
164/322

合流

 ロンメア王国の外れ。


 スラムに位置するこの場所にはローシュたちを含めた魔族が暮らしている。


 当初ノエルたちを含めた14名しかいなかったが、ローシュの呼び掛けにより各地よりさらに魔族が増え、今では30人を超える大所帯となっていた。



「なんかここは辛気臭い場所じゃのう。」



 初めてスラムを目にしたベリアルが呟いた。



「スラムは大体こんなものだ。

 ………しかしながらこれは………」



 ノックスが言い淀んだ先には、ノエルとアイン、ノアまでもが斬り伏せられていた。



 その傍らには、斬り伏せた張本人と思しき者が剣を片手に佇んでいた。



「……ノ……ノックス……さま………」


「……く……くそぅ………」


「……グゥゥ……」



 3名ともまだ息はあった。



 斬り伏せた張本人には見覚えがあり、ノックスが驚いている所へ、ガシャガシャと音を立てて走りよってくる者が、そのままノックスの胸元に飛びついた。


 続いて外にいた他のスケルトンらが、ノックスの前で整列し、膝を着いて頭を垂れた。



「……お前たち……『悪魔の口』から出てきたのか……」



 ノックスに抱きついてきたのは、『悪魔の口』にいた姫スケルトンであり、ノエルらを斬り伏せていたのは騎士スケルトンであった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「よもやスケルトンまで配下にいれるとはのう!!ガハハハハハハ!!」


「…まさか俺を追って『悪魔の口』から這い出たとはな……」


「ちょっと!!姫ちゃん!!ノックス様に擦り寄りすぎですよ!!」


「そうですわ!!そこは私のポジションですのよ!!」


「そうよ!!…って違うわよナタリアさん!!あたしの場所ですぅ!!」


「…まーた始まった……はぁ……」


「……お前たち……よさぬか……ノックス様の前で……」


「久しぶりだな、ローシュ、ナタリア、モズ。それにリドルも。元気そうでなによりだ。」


「ノックス様こそよくぞ戻られた。」


「で、なぜノエルらは斬り伏せられていたんだ?」


「…い、いや、それがッスね……」




 説明によると、ノエル、アイン、ノアの3名はノックスの指示通りスラムへと戻り、ローシュと合流しようとしたらしい。


 が、拠点近くにスケルトンが屯しており、国内に入り込んだモンスターだと勘違いしてすぐさま戦闘になったそうだ。


 リドルが止めに入ろうとしたもののローシュに止められ、そのまま戦闘が継続された。


 ローシュによると、スケルトンらの力を思い知るいい機会になるのと、ノエルらの力量がどれ程上がったか確認するにちょうど良いと判断したとの事。


 連携虚しく、騎士スケルトンの巧みな剣術に翻弄され、斬り伏せられた。というのが顛末のようだ。




「…ほう?そんなに強いのか!このスケルトンらは!」


「超強すぎッス!!てかそれ知ってたんなら止めて欲しかったッスよぉ!!」


「ハッハッハッ!いやぁすまんすまん。だが、感心したぞ。もはやワシなどではお前たちには到底敵わんまでに成長したようだのう。」


「…へ?…そ、そうッスか?」


「ニヤニヤするなアイン。まだ我らはノックス様の足元にも及ばん。」


「ミャウ……」


「して、こちらの方は?」


「紹介が遅れたな。火龍のベリアルだ。」


「おう!ワシがベリアルじゃ!!」


「……ん?…今…なんと……?」


「火龍のベリアルだ。」


「よろしくのう!此奴に着いていけば何かと面白そうだったんでの!!」


「「「「………………」」」」



 この反応も大分と見慣れてきていた。


 あまりの衝撃的な事実に皆、直ぐには飲み込めなくなっていた。




 その後、ノックスとローシュの間でお互いのこれまでの状況を報告し合う。


 ローシュの方はと言うと、まずは同族を集めたこと。


 ギルドでクエストをこなし、レベルとスキルを上げたこと。


 スケルトンが現れ、ノックスの配下だと知り仲間になったこと。


 そのスケルトンからナタリア、モズ、リドルの3人は訓練を受けたこと。


 ローシュはその間、他の仲間と共に情報をかき集め、拠点作りに必要な物を買い集めていたこと、などなど。




「ロンメア国王の計らいで船も1艘作ってもらいましてな。積み込みにはもう少し掛かるがのう。」


「あとどれ位かかるんだ?」


「まぁ、1週間もあれば、と。」


「分かった。そういえばシャロンは?」


「お陰様で元気にしておる。」


「呼んできましょうか?」


「ああ、頼む。」



 やがてナタリアに連れられシャロンがノックスたちの部屋へとやって来た。



 髪飾りとして花の飾りがついた髪留めをしており、やや気恥しそうにしていた。



「シャロン。土産だ。俺とノエル、アイン、ノアからのな。」



 そう言い、ノックスはしゃがんでシャロンの手を取り、薬指に指輪をはめた。


 キラキラと輝く指輪には、『自動防御』の付与宝石であるダイヤが輝いていた。


 シャロンはその美しい宝石に目を輝かかせていたが、やがて顔を赤らめた。



「気に入ってくれたか?」



 ノックスの問いかけにシャロンは無言で頷く。



 そして、か細いような、それでいて透き通るような声で


「………あ………あり……が……とう…………」


 と声を出した。



「シャ……シャロン………声が……!?」


「…話せるようになったんッスね…!?……良かった……良かった………!!」



 その驚きはノエルやアインだけでなく、ローシュらまでもが驚いていた。



「…み……みんな…も……あり……がどう……」



 シャロンは大粒の涙を流し、皆に精一杯の感謝の気持ちを伝えた。



 その場にいた全員が涙を流し、ナタリアはシャロンを抱きしめていた。

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