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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第13章 アステル島
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マジックパウダー

「ノックス様ーーー!!!!」



 ノックスの部屋に突如として声を上げながらルミナが入ってきた。



「ついに完成したよー!!!!」


「あん?なんじゃこの女は?」


「……ルミナ殿だ。それにしてもいきなり入ってくるな。」


「そんな!妻のあたしが入ってくるくらいいいじゃーん!」


「なんじゃお主、結婚しておったのか?…それにしてもこんなチンチクリンとはな……」


「チ!チンチクリン!?」


「…誤解だ。娶ったつもりはない。」


「ひ、ひどい!!一緒の布団で寝たってのに…」


「…お前が勝手に俺の布団で寝ていただけだ。」


「ってかこの人誰!?」


「ワシは火龍のベリアルじゃ。」


「あ、どうも初めまして。そんなことよりノックス様!ついに完成したよ!」


「騒がしい女じゃ。」


「…何がだ?」


「前に貰ったベヒーモスホーンってあったじゃん?アレをベースに色んな魔石に、カラワイ草やサイコウモリの脳、シクラの種、それに…」


「…詳しく言われても分からん。分かりやすく言ってくれ。」


「…仕方ないなあ。んじゃまあ、とくと見よ!!天才美少女ルミナ様が発明した、その名も『魔道術式簡略型蓄積魔力兼発動任意式汎用角粒粉』だーー!!」


「………………」


「………………」


「……あれ?聞こえなかった?『魔道術式簡略型蓄積魔力兼発動任意式汎用角粒粉』だー!!!!」


「……………」


「……………」


「……ん?ではもう1回言うよー!」


「…待て。もういい。というか何だその名は……全部盛りみたいな……」


「…人間のセンスはワシには分からんのう。」


「え?そう?」


「…それで、その何とかというヤツは何に使うんだ?」


「『魔道術式簡略型蓄積魔力兼発動任意式汎用角粒粉』ね。この粉に放った魔法を蓄積させて、任意のタイミングで発動させる事ができるの。」


「…ほう……」


「…む?…放った魔法そのものを蓄積させることができるのか?」


「そのとーーり!!しかも、発動にわざわざ詠唱する必要が無いっていうね!!」


「……ならば、少し検証してみるか。」



 ノックスらはその粉の威力を確認すべく、甲板へと出てきた。



 他の船員含めノエルとアインもそこに現れ、実験を見守っていた。



「よし。それでルミナ殿。この粉に直接魔法を当てればいいのか?」


「そそ!ノックス様の魔法ドカーンと当てちゃってー!!」


「いやいや、それで船が大変なことになったらどうするんッスか!!」


「んな!あたしを信用してないのー!?」


「うん。」


「うん、じゃねーし!!」


「とにかく、威力を絞って確認する。」



 ノックスはまず、小さめの火魔術を粉に向けて撃ち放った。


 放たれた火魔術は粉に当たると一瞬の内に消えてしまった。



「これで、ノックス様の火魔術が粉に蓄積されたよ。あとは、任意のタイミングで放って!」


「放って、と言われてもどうするんだ?」


「この粉には今ノックス様の魔力が紐付けされてるから、頭の中でさっきの魔法を念じてみて。」



 ノックスは言われるがまま、頭の中で火魔術をイメージし、念じる。


 すると粉が発光したかと思うと、ノックスが放った火魔術が現れた。



「………ほう………」


「んね!すごいでしょコレ!!」


「威力はどこまで再現できるんだ?」


「さすがに最大出力と同程度は無理かも。正確には分かんないけど、多分60~80%くらいじゃないかな?粉をバラけさせすぎると拡散しちゃうから、使う時はある程度の質量は必要かな。」


「…なるほど……」


「む?これの何が凄いんじゃ?」


「んえ!?これの凄さが分かんない!?これ作んのにめっちゃ苦労したってのにー!!」


「…そうは言われてもワシには分からん。こんな物で魔法を使うより、自ら撃ち放ったほうが威力も高いんじゃろう?」


「い、いや、確かにそうだけどー!!」


「遠隔魔法みたいなもんッスね…考えようによっては色々使えそうではあるんッスけど……ルミナさん、これって有効範囲はどこまでッスか?」


「分からん!」


「……えぇ………」


「だって実験しようにも船の中じゃ限界だし?」


「…まぁ、そりゃそうッスけど…」


「なら今試せばいい。」



 ノックスは粉を指で1摘みし、火魔術を放つ。


 そしてそれを布で包み、海へと放り投げた。



 目測で100メートル以上離れたことを確認し、今度は先と同様に頭の中で念じる。



 すると、後方から火柱が上がった。



 その瞬間、船員たちから感嘆の声が溢れた。



「んね!凄いでしょ!!」


「まだだ。次はもう少し距離を取る。」



 そうして今度はさらに距離を取るため、鳥人族に頼んで遥か後方へと包みを落とし、再度念じた。



 すると、先と同様に火柱が上がったことが見て取れた。



「んね!!んね!!すんごいでしょー!!」



 ルミナは満足げにぴょんぴょんと飛び跳ねていた。



「……うーむ。ワシには一体何が凄いのか分からんな。」


「…これ……凄いッスよ…!」


「もしも、これにノックス様や火龍でもあるベリアル殿のような高威力魔法を封じ込め、敵に投げつけ魔法を発動すれば、とんでもない殺戮兵器となり得ます。」


「ほんとそれッス!!敵に直接投げるだけじゃなく、地面にでも埋めて、敵が通る際に発動させたり……

 …ただのうるさくて臭い女じゃなかったッスね……」


「ハーッハッハッハッ!!さすがにそこの2人はこの粉のヤバさをよく分かっているねぇ!!

 火龍なら?自分でやっちゃえばいいかもだけど?これを使えば敵陣に放り込みさえすれば?一気に魔法攻撃を仕掛ける事ができる?的なね!!

 …………ん?………火…龍……?」


「ん?なんじゃ?」



 ルミナはジロジロとベリアルを見たかと思うと、一気に汗をかいて顔を青ざめ

「ぎぃぇえええぇぇぇぇええええ!!!!?火龍ーーー!!!!???」

 と叫び声を上げて腰を抜かした。


「え?今さら?」



 ルミナの遅すぎる反応に皆呆れてしまっていた。




 その騒動を他所に、ノックスはこの粉の有用性に改めて感嘆していた。



 この粉を使えば、いとも簡単に魔法爆弾が出来上がる。


 その点についてはノエルとアインが考えた通りではあるものの、ノックスは違う角度からこの粉の有用性を図っていた。




「…それにしても名前が長すぎるし、覚えられん。もっと簡単な名前にしてくれ。」



 騒動が落ち着いたところで、ノックスがルミナに話しかけた。



「『魔道術式簡略型蓄積魔力兼発動任意式汎用角粒粉』でも簡単だと思うけどなぁ…」


「どこでも魔法を発動できる粉、だから、『どこでもこな』とかどうッスか?」


「……却下。」


「え。」


「…簡素に、というならば、『マジックパウダー』というのはいかがでしょうか?」


「…ふむ……ではそれでいこう。」


「んな!!発明したのあたしなのにーー!!」


「ルミナ殿。このマジックパウダーをさらに増やす事は可能か?」


「魔道術式簡略型……」


「マジックパウダーだ。」


「……分かったよ!んもう!んで、量産だっけ?ベヒーモスホーンはまだあるけど、その他の素材が足りないから、それさえあれば出来るかな。」


「了解だ。ならロンメアでその素材を集めよう。それにしても見直したぞルミナ殿。オーウェン殿が紹介しただけのことはある。」


「へっへーん!!この天才美少女ルミナ様にかかればこんなもんよ!!」

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