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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第13章 アステル島
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継承

 戦いが終わったことを確認したノエルらがノックスの元へと近づいていたが、火龍が人間に変身した光景に驚きを隠せなかった。



「なっ!?ノ、ノックス様、一体これは!?」


「俺も驚いている。人間の姿になれるのか?」


「知らんのか?ワシら龍族は人型にもなれるもんじゃ。」


「…だ…大丈夫……なんッスよね……?」


「貴様らも見ておったじゃろうが!此奴の反則とも呼べるほどの強さを。あれを知ってまでもう戦おうなどせんわ!!」


「…それにしても……暴れすぎだな。」



 元々瓦礫の山と化していた旧エトワール王国は、火龍の火により至る所がマグマと化し、最後の攻撃により辛うじて残っていた廃墟すらをも吹き飛ばしていた。



「それで?聞きたいこととはなんじゃ?」


「さっきの称号についてだ。継承、と言ったな?」


「なんじゃ?ジジイから聞いておらんのか?」


「一方的だったんで聞く暇も無かった。」


「全くあのジジイめ……仕方ない。いいじゃろう。さしずめ、お主の称号に地龍に関することでも書かれておるのじゃろう?」


「あぁ。俺のステータスには、『地龍殺し』と書かれてある。」


「…ほう……地龍殺し…か。お主ら、神龍については知っておるのか?」


「大昔にいた神龍が力を8匹の龍に力を分け与えた、とかだったか?」


「その通りじゃ。年老いた神龍の大ジジイは大きすぎる自身の力を支え切れなくなってしまったんじゃ。

 このまま肉体が滅びれば、自身の力が世界を滅ぼすと危惧しておってな。

 そこで、8人の龍族に力をそれぞれ分けて継承させたんじゃ。」


「…ふむ……それで?」


「八龍も同じく、自身がその力を持ったまま死ねば、世界を混沌に陥れるのじゃ。だから、死ぬ前に継承を行っておく必要がある。

 地龍のジジイは自分の力より上回ったお主に対し、尊敬と畏怖を込め、『地龍殺し』という名目で継承させたんじゃろう。」


「ちょ、ちょっと待ってください!!それでは…ノックス様はまさか…」


「お主は理解が早いのう!その通りじゃ。このノックスはすでに、八龍の仲間入りという事じゃ。」


「…なるほど。それで地魔術だけが格段にレベルアップした、というわけか。」


「…ノックス様が地龍……」


「恩恵はそれだけじゃない。八龍の力は、持つ者に悠久の時を与える。」


「…悠久の時?」


「平たく言えば、ほぼ不老に近い状態という事じゃ。ワシがこんな若い姿なのも、その力による恩恵じゃ。人間らの10年が1年ほどじゃ。」


「じゅ!じゅじゅ、10年が1年!!?」


「聞きたいことはそれだけか?」


「まだだ。お前は人間に変身したが、本来の姿はどっちだ?」


「その質問は少し困るのう。どう言っていいのやら……言うなれば、ワシらはどちらも本来の姿じゃ。」


「どちらも?」


「個人にもよるがのう。古い世代のジジイらは龍形態を好んでおったんじゃが、金龍なんかの頑固ジジイは人形態を好んどる。

 ワシは戦闘の時は龍形態のほうがド派手じゃし格好ええから好きじゃ!!」


「……そうか。」


「聞きたいことはそれだけか?」


「最後にもう1つ。お前はこの先どうするつもりだ?」


「ワシか?…うーーん…今さら龍族の谷に帰るのものう……」


「行く宛てが無いのなら、俺たちと共に来ないか?」


「む!?お主と…?」


「え!?」


「ノックス様!?」


「俺たちは今後、もしかすると教会との戦争になる。戦力が多いに越したことはない。」


「…………」



 火龍は腕を組んで考えつつ、ノックスの事を見やっていた。



「ノックス様、本気ですか!?」


「冗談でそんな事は言わん。」


「良し!分かった!!いいじゃろう!!戦争というのも面白そうじゃ!!」


「えぇぇ!!?マジッスか!!?」


「ならば宜しくな。火龍…と言うのはなんだから、名前は無いのか?」


「無い。ワシら龍族は名を持たぬ。」


「ならば俺が名付けようか。」


「おぉ、そうしてくれ。お主はノックス、で、お主らは?」


「ノ…ノエル…です…」


「アイン…ッス……こっちはノアッス…」


「ミャウ!!」


「ほう!ノエルにアイン、それにノアか!!」


「よし。お前の名は『ベリアル』だ。」


「おぉ!『ベリアル』か!ええ名じゃのう!ガハハハハ!!改めて宜しくのう!!」


「ではベリアル。仲間となったからには早速働いてもらうぞ。」


「む?…うーむ…まあ面倒じゃが良いじゃろう。」


「この辺り一帯がお前の攻撃のせいでマグマになったり裂けていたりしている。どうせならもうここは平地にしてしまいたい。」


「なるほどのう…ここに新たに拠点を作るということか?」


「それがいい。ベリアルの気配のせいか、近くに動物もモンスターもいないことだしな。」


「よかろう。ならば、お主らは少し離れておれ。ノックスはワシの背に乗るが良い。」



 火龍に促され、ノエルらは史跡から距離を取る。


 それを確認した火龍は再度、龍形態へと変身し、ノックスを背に乗せた。



『ガハハハハ!!!!ではお望み通り、この辺りを焼き払うぞ!!!!』



 火龍がそう言い口から火を放った。


 残っていた瓦礫は忽ち溶け出し、続けて大地がマグマと化す。



 旧エトワール王国は見る影もなく全てマグマに飲み込まれた。



『それで、あとは冷やせばよいのか?』


「もちろんだ。」


『よかろう!!』



 火龍は大きく息を吐いた後、スゥーっと細く息を吸い込んだ。


 それによりマグマの熱を吸収し、冷ましているようだ。



 何度かの熱吸収により、マグマは完全に冷えて固まった。



『ガハハハハ!!ワシにかかればこんなものよ!!』


「では次は俺の仕事だ。」



 ノックスが冷えて固まったマグマの中心へと降り立ち、右手を大地に翳した。


 やがて大地がボコボコと波打ち、マグマにより形成された岩が次々に破砕されていく。


 ノックスの地魔術により、大地はならされた。



『…うーーむ………やはりお主は規格外じゃのう……』


「……俺自身もベリアルと戦って気づいたが、レベルアップしていないにも関わらず、力が増している。もしかすると、魔王の称号のせいかもしれんな。」


『ガハハハハ!!魔王とは恐れ入るわい!!ワシに勝つほどの男ならば、それぐらいでなくてはつまらぬわ!!ガハハハハハハ!!!!』




━━━━━━━━━━━━━━━


【名前】ベリアル

【種族】龍族

【年齢】612

【性別】男

【レベル】1418

【HP】334658/334658

【MP】267412/267412

【力】13147

【すばやさ】11009

【スタミナ】13946

【魔力】30245

【スキル】斬撃耐性7 衝撃耐性10 自然治癒8 槍術6 格闘9 飛行能力10 毒耐性8 麻痺耐性8 精神耐性6 恐怖耐性10 暗視10 威圧10 隠密2 灼熱耐性10 極寒耐性7 雷撃耐性8 魔力制御5 詠唱破棄 魔力感知8 気配感知7

【称号】火龍


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