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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第13章 アステル島
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新たな課題

 エレメンタルリザードから角や皮や肉、魔石を取り出し、一行はさらに森の奥深くへと進んでいた。



 魔力感知で確認すると、どれもこれもストール大陸にいるモンスターよりも強敵な気配を感じ取る。



 火龍がこの島を根城としたことで、誰もこの島に立ち入る者がおらず、そのせいで生息するモンスターの強さが跳ね上がっていた。



 先のエレメンタルリザードほどでは無いにしろ、ノックスらはいくらか会敵し、戦闘となっていた。



 連戦に継ぐ連戦によりノエルもアインも疲れ果てていた。




「とりあえず今日はこの辺りで休息するか。」



 日も沈み始めた頃にようやく川を見つけ、アインは川に顔ごと突っ込んで喉の乾きを潤していた。



「…ぷはーーー!!生き返ったーーー!!!!」


「あまり騒ぎ立てるなアイン……またモンスターがやって来るぞ……」


「…そ、それもそうッスね……」



 アインに続いてノエルやノア、ノックスも川の水で喉を潤す。



 その後ノエルとアインで手際よくテントの設営を行っていた。



 ノックスはノアと共に枯れ木を集め、その後火魔術で火を起こし、鉄板を取り出してその上にエレメンタルリザードの肉を起き、塩コショウを振り掛けつつ満遍なく焼いていた。



 忽ち辺りに肉の焼ける匂いが充満し、ノアは目を爛々と輝かせ、焼けるのを今か今かと待ちわびていた。


 目をやると、テントの設営を終えたアインも生唾をゴクリと飲み込みながら肉が焼ける光景に目を輝かせていた。


 程よく火が通ったところで、全員分の皿に載せ、早めの夕食が始まった。



「今日の功労者はノアだ。ノアから先に食べろ。」


「ミャウ!!」



 ノアはガブリとかぶりついたかと思うと、目をハッとさせ、その後我を忘れたかの如くむしゃむしゃと一心不乱に肉を食べていた。



「ノアちゃん…そんな夢中で食べるくらいなんッスか…?」


「こいつの肉は美味い。さあ、俺たちも戴こう。」



 ノエルとアインも続いて肉を頬張ると、あまりの美味しさに我を忘れて夢中で食べていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「…ひゃ〜〜……めちゃくちゃ美味かったッス〜〜」


「美味かったのは認めるが、アイン。俺たちの反省会だ。」


「げ。早速ッスか。」



 ノエルとアインがアステル島に来てからの戦闘についての反省会を始めた。



「やはりなんと言っても、人が出入りしていない分、森に生えている木や、地を這う根のせいでまともに戦闘するのが困難だな…」


「ホントそれッスよ!それにここにいるモンスター、ストール大陸にいるのより格段に強いし。」


「強さに関しては俺たちも相応に強くはなっている。相手に地の利があるのがここまで厄介だとはな…」


「…そういや、ノックス様は『悪魔の口』でもあのモンスターらと戦ったんッスよね?」


「あぁ。それがどうした?」


「いや、こういう森の中での戦闘で、しかもあんなに早い動きをする相手にどうやって戦ったのかなーって。」


「そうだな…」



 ノックスは顎に手を当てつつ考えた。



「…お前たち、今日のノアの動きを見てどう思った?」


「え?ノアちゃんッスか?…んー、なんというか、縦横無尽に立ち回ってたような…」


「木々を上手く足場にし、相手の死角を取るよう立ち回っていましたね。」


「ノアは森の中での戦闘自体初めてという訳では無いが、ここまで鬱蒼な森での戦闘は初めてだ。それなのにも関わらず、ここまで動き回れたのには理由がある。」


「…理由ッスか…?」


「『空間認識能力』だ。」


「え?く、くうかん…?」


「『空間認識能力』。簡単に言えば、物がどこにあるかを即座に把握する能力だ。」


「スキルのような物でしょうか?」


「いや、スキルとは違うだろう。俺自身も鍛えてはいるが、ステータスには表示されない。」


「物がどこにあるか、なんて、俺らもすぐ分かるッスけどそれとは違うんッスか?」


「例えば、あそこにある木々、手前側にあるのはどういう順で並んでいるか。そこから、その木々を伝ってどういう道順でさらに奥へと伝えるか。」


「…うーーん…」



 ノエルとアインはノックスに指さされた木々を眺めつつ、頭の中でシミュレーションを行う。



「『空間認識能力』に長けていれば、それを即座に把握できる。」


「訓練でその能力を得られる、という事でしょうか?」


「もちろんだ。」


「ええ!?ど、どうやるんッスか!?」


「ふむ…」



 ノックスは顎に手を当てつつ考えた。



「…よし。ならこうしよう。

 明日から森の中では、『地面に足を付けない』を心掛けろ。」


「ええ!!?じ、地面に足つけちゃいけない!?」


「それは戦闘でも、でしょうか?」


「当然、戦闘の時もだ。『普段の移動も、戦闘時も、地面に足を付けない』ようにする。

 更に課題として、森の中でノアと追いかけっこをしろ。」


「ノアとですか…?」


「そうだ。逃げ回るノアをお前たち2人で捕まえろ。ノアはこの2人から本気で逃げろ。ただし、お互い攻撃は無しだ。できるかノア?」


「ミャウ!!」


「よし。」


「…それって、ノアちゃんを捕まえられれば何かご褒美が…?」


「無い。」


「よっしゃーー…って、えーーー!!無いんッスかー!?」


「当然だ。」


「そんなぁ……」


「当たり前だアイン。それにここはすでに火龍の住処。こんな場所でご褒美も何も無いだろう。」


「ノアにとっても訓練となる。明日から訓練開始だ。今夜はゆっくり休め。」


「畏まりました。」


「ミャウ!!」


「了解ッス……」



 アインとノアは疲れによりすぐさま眠ってしまい、ノエルには今日は休んでおけと先に眠らせた。



 外で火を見つめながら、ノックスは少し考えていた。




 こうしてアステル島での長い一日が終わろうとしていた。

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