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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
閑話
148/322

潜入調査1

 ストール大陸の南。


 かつて勇魔大戦において、勇者一行が『祝福』を授かった聖地として、サントアルバ教会の総本山がある。




 マイナはノックスによりここへ『ルナ』に関わる情報の調査を命じられ、潜入・調査を行っている。



「マイナ…本当に大丈夫なんだろうな…?」



 5人の男女がマイナを取り囲むように立っていた。



「えぇ。私が実際にその強さを見せつけられたわ。私たちの悲願を達成するためには、彼の元に付かなければ、おそらくこの先一生有り得ない。」


「アンタがそこまで言うなんてね。けど、その『ルナ』って子、聞いたことないけど?」


 『ヨハンナ』は怪訝そうにマイナに聞いた。




 マイナが人を集めたのには理由がある。



 1つは『ルナ』の捜索にあたっては、人手が多い方がいいこと。


 2つ目は、ここにいる5人は『同じ目的』を持っていること。



 マイナは国内に潜入した後、地下室で同志らと密会していた。




「しっかしなぁ、人族と魔族のハーフなんて、珍しいどころじゃないだろ?そんなのが『売り』に出されてんなら見世物として吊し上げられててもいいんじゃねえかな?」


 この中で1番若い『セト』が疑問を口にした。


「だからこそ、あなたたちに協力をお願いしてるの。」


「…他に手がかりは…?」


 逆に1番年上の『ハイゼル』は顎髭を触りつつ問いただす。



「そんな珍しい奴隷を買えるのは、貴族の連中っていうくらいかしらね。」


「貴族…ねぇ…」



 『貴族』と聞いた一同の顔がやや険しくなっていた。



「そういえば………」


「ん?『キリト』、何か知っているのか?」


「結構前の話なんだけど、ノース様が使徒入りした大きな理由は、教皇様への多額の献金だったって聞いたことが。」


「献金…?…それがなんだ…?」


「いや、噂だけど、当時のノース様はかなりの浪費家らしくって、そんな金どこから湧いて出たんだって話になったんだよ。」


「ほう…」


「もしもだよ?ノース様がそのハーフデビルを捕まえて奴隷市場に売り出したってんなら、色々と辻褄が合う気がしてさ。」


「…ふむ……ありえるな……が、問題は、誰が買い、そして今どこにいるか、だ。ノース様にでも聞くつもりか?」


「そんなに過去の話なら帳簿が残ってるかも怪しいとこよね。ま、あたしの固有魔法なら盗み出せるかもしれないけど。」


「ならそっちはヨハンナ、あなたに任せるわ。」


「…貴族が買い付けた、として、その後貴族が見せびらかしたようなこと、俺の耳には入っていないな……」


「『ホーク』ですらも聞いたことが無いのか…」


「普通ならもっと騒がれててもいいはずだよなぁ…」



 色々と考えてみたものの、結局答えが出ないまま、とりあえずはヨハンナが盗み出してくる帳簿を見てから、という事でこの日はお開きになった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 あれから3日後。



 再度6人が集まった。



「もう盗んだとは…仕事が早いなヨハンナ。」


「本当はもっと早くに盗んで来たけどね。少し調べ事をしてたの。あと、なんかね、有り難い事に上がバタバタしててね。」


「それは俺んとこもだ。」


「あ、みんなもなのか。」


「…多分、ズーグ様が殺された件でバタバタなのね。それよりヨハンナ。」


「分かってるわよ。……でも、みんなびっくりするわよ。」



 ヨハンナはそう言い、机の上にカバンから帳簿を取り出して広げてみせた。



「かなり昔の帳簿も残ってたわ。それで、ここよ。」



 ヨハンナが帳簿のとある部分を指差した。



「今から13年前、確かに『ルナ』っていう子が売りに出されてんの。しかも、8千7百万ダリルなんていうとんでもない金額での落札よ。」


「は、8千7百万ダリル!!?」


「……落札者は…?」


「……えっ……これって……」


「落札者はシェイマス・ジェファーソン。莫大な資産家の貴族よ。そして、当時の枢機卿。」


「けど確かこの人って……」


「…結構前に何者かによって暗殺された枢機卿、か……」


「…それ…知ってる…!!殺害犯がまだ捕まんないまんまこの前捜査の打ち切りが発表されたとかって!!」


「帳簿によると、落札日が5月22日。殺害されたのが5月23日の明朝。これを調べるのに少し時間がかかったの。」


「ち、ちょっと待った!!なんだよそれ!!じゃあ奴隷は!?」


「当時の新聞記事には死亡したとは載っていなかったわ。」


「……腑に落ちないわね……」



 マイナが神妙な面持ちで言い放つ。



「…何が腑に落ちないんだ?」


「ジェファーソン枢機卿が殺されたのは私も昔聞いて驚いたわ。そして最近になって捜査の打ち切りの発表。一般市民ならともかく、枢機卿が殺されたってのに早すぎやしない?」


「……陰謀……と考えているのか?」


「その可能性が高いかなあって。」


「…い…陰謀って……相手は枢機卿だぜ…?」


「あくまでも可能性の話ってだけ。」


「…目的を忘れるなよ…問題はルナがどこへ行ったか、だ。」


「遺族はいないのか?奥さんとか子供とか。」


「枢機卿殺害の際、妻も殺されてるわ。子供もいたらしいけど、そっちは運良く外出してて殺されてはないみたい。」


「ならその子供に会ってみるしかないわね。誰なの?」


「えーっと、確か『ジェラート・ジェファーソン』って名前よ。今も生きてるなら年齢は40くらいかしらね。」


「…知ってるといいんだけどなぁ…ルナの行方を…」



 一旦議論を終え、一団はジェラート・ジェファーソンを探し出し、情報を聞き出すことにした。

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