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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第12章 リームス
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「…任務完了。」



 リームスの目の前からガタイの良い男が突如として現れた。



「モーロック、ご苦労さまです。首尾は問題ありませんねぇ?」


「…順風満帆。」


「それは結構。」


「…本当にこれで奴らが来るのでしょうか…?」


「ええええ衛兵がおおお押し寄せてきたり、しししないんですかぁ?」


「その時はクーロ、あなたの出番ですよ。」


「ええぇぇ!!ぼぼぼぼ、僕がですかぁ!!?」


「もちろん正面から戦えという訳ではありませんよ。モーロックやエンリもいる訳ですから。」


「むしろクーロ、お前は戦闘要員として連れてこられたのだ。」


「そそそ、そんな…ぼ、ぼぼ、僕なんてぇ……」


「相変わらずですねぇ。ま、安心してください。そうはなりませんよ。それよりも、モーロック。消臭薬を。」


「…唯唯諾諾。」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ここッス!ここでいきなり箱が光って消えたんッス!」



 ノックスたちはアインが見張っていた受け取り場所に足を運んでいた。



 衛兵たちに状況を確認しても、アインと同じ答えが返ってくるのみであった。



「…ノックス様。アインは少々抜けている所がありますが、感知スキルに引っかからずに通り抜けられたとは思えません。」


「ああ。」


「なので、何かしらの方法でスクロールを召喚したのではないかと。」


「……………」



 ノックスが考え込んでいる所へ、ノアがニオイを嗅ぎながら王国の外側へと歩き出す。



「ミャウ!」


「ん?ノアちゃん、なんッスか?」


「ミャウ!!」


「まさか、ニオイを辿れるのか?」


「ミャウ!!」


「マジッスか!ノアちゃんすげーっ!!早速犯人の元へ向かうッスよ!!」


「少し待てアイン。」


「へ?」



 ノックスは顎に手を翳しつつ考える。




(ここの受け取りに関してはある程度の予想はつく。


 他の3箇所の受け渡しには人質を利用。転移のスクロールを貼らせ、そこへ魔力を注いだ。


 魔力を注がされたのは人質本人だろう。


 となれば、この場所も同じ手筈。


 それにノアが嗅覚で辿れるということは、ここに来てスクロールを貼り付け、魔力を注いだ者がいたということになる。


 それが『固有魔法』だとするなら想像は着く。



 が、腑に落ちない。



 ここまで周到なら、何故ニオイを残した?



 3日前の誘拐の時でさえニオイは残さなかったというのに。



 ふむ。



 考えうる答えは1つ、か。)



「…ノックス様、どうかされましたか?」


「おそらく罠だ。」


「へっ?わ、罠…?」


「奴らはニオイで俺たちが来るよう仕向けている。」


「え!?マ、マジッスか!?」


「おそらくこのニオイを辿った先には賊がいるだろう。」


「罠だとするなら、わざわざそこへ飛び込む必要も無く、衛兵たちに行かせるのも良いのでは無いでしょうか?」


「…いや、俺が行こう。ただし、俺とノアの2人でだ。」


「え!!?罠だってとこにノックス様1人で行っちゃうんッスか!?」


「力不足ではありますが、我々も必ずやお力に!!」


「奴らの魂胆が見えない。それにおそらく……」



 ノックスは一呼吸し、2人を見やる。



「この誘拐事件は教会の手引きの元、俺をおびき出すための作戦だ。」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「リームス様、失礼ながら、今回なぜこんな回りくどい事を?」


「おや?エンリ。私の策にご不満でしょうか?」


「そういう訳ではございません。本当にこれで、ズーグ様を屠ったという輩が現れるのか不安でして。」


「ふむ……まぁ、よいでしょう。まだその者が来るまで時間がかかるでしょうし、あなた方にも聞かせておきましょうか。」



 リームスの話にエンリ、モーロック、クーロが耳を傾ける。



「エンリ、アナタを連れてきた理由は察しが着きますよねぇ?」


「はい。私の固有魔法、『千里眼』でしょう。」


「その通りです。では、モーロックは?」


「…完全隠密。」


「その通り。アナタの『透明化』であれば、見えないだけでなく、あらゆる感知スキルをすり抜けられますからねぇ。クーロは言うまでもなく、戦闘要因です。」


「ぼ……ぼぼ……僕なんて……」


「今回、我々の目的を達するにあたり、一番の障害。それはなんだと思いますかぁ?」


「この国の衛兵どもでしょうか?」


「その通り。一人一人の強さは大したことはありませんが、数が多すぎます。これだけの数の衛兵の目を欺きつつ目的を達することなどできません。

 なので、あのような下等な賊を利用したんですよ。」


「それには理解できますが、その後は何なのでしょう?」


「私はねぇ、ズーグを屠った者は、おそらくウィンディア国民では無いと踏んでいるのですよ。」


「…なぜです?」


「12使徒の緊急招集があった時よりも前にですね、デュバルがロンメアにちょっかいを掛けたらしいのです。彼はその事をひた隠しにしていますけどねぇ。」


「えー!!ほ、ほほ、ほほほ本当ですかぁ!?」


「ロンメア国内にいる魔族を暗殺しようとしていたらしいんですが、戦果報告をしなかった事から返り討ちに遭ったんでしょうねぇ。ふふ…」


「…では、リームス様はその返り討ちにせしめた者が、ズーグ様を屠ったと見ているのでしょうか?」


「ウィンディアにそれだけの実力者がいるなど聞いたこともありませんからねぇ。」


「…ロンメアの実力者となると…噂に聞くザリーナでしょうか?」


「それはどうでしょう?私も彼女の噂は耳にしたことがありますが、そこまでの実力者とは到底思えませんねぇ。」


「では何者が!?」


「答えを急いではいけませんよぉ?私はそこで1つ仮説を立ててみました。」


「……仮説……?」


「ズーグを屠った者は、かなりのお人好しか、もしくは『魔族』だと。」


「「「!!!!」」」


「ふふ……面白いですねぇ……!!仮にこの仮説が正しいのであれば、あの予言が正しかったという証明にもなるんですよねぇ…!!」


「…ま……魔族……」


「おっと、話が逸れましたね。仮説を元にすれば、今回の誘拐の件に関しても、必ず首を突っ込んでくると思いましてねぇ。特に、『魔族』であれば、『教会』である我々が関わってるともなれば、放置はできないでしょう。」


「…相手が魔族かもしれないというのは分かりました…では、相手がこちらの罠に気づく可能性は?」


「当然、大アリでしょう。むしろ、そのくらいは見抜いてもらわなければねぇ。もし見抜けなかったのなら、それだけの相手だと言うことですよ。ふふ…」


「てててててことは!!ぼ、ぼぼぼ僕がその魔族とたたたた戦うんですかぁ!!?」


「いえいえ。クーロ、あなたが戦うのは別の人たちですよ…」



 そう言い放つとリームスは白い歯をチラつかせてニヤリと笑った。

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