ノエル&アインv.sベヒーモス
ノエルたちの前に現れたのは、体長約10メートル、茶色の毛皮、頭から牛のような角が2本突き出ており、獰猛な顔つきでノエルたちを睨みつけていた。
「…こんなやつがここにいるとは…」
「こ、これヤバイッスよ…コイツは…!」
「あぁ…『ベヒーモス』だな…」
「Sクラスモンスターじゃないッスか!!」
「狼狽えるなアイン!!…ちょうどいい。俺たちの連携の答え、コイツを倒して導き出す…!」
「…やるしか無い…ってことッスか…!」
『ブォオオオオオオオオ!!!!』
ベヒーモスが咆哮し、2人の元へとその巨体に似つかわしくない速度で駆け寄ってくる。
「行くぞ!!」
「了解ッス!!」
突撃してくるベヒーモスにノエルも駆け寄る。
その間にアインが後方から火魔術を撃ち込んだ。
アインが放った火魔術はベヒーモスの頭部に直撃したが、ビクともしておらず尚もこちらに突撃してくる。
「さすがにタフッスね!!」
ベヒーモスの前にノエルが立ち塞がり、ベヒーモスは闘牛のようにノエルを凪払おうと頭を下げた。
ノエルは上空へと躱しつつベヒーモスの首元に剣戟を見舞わせた。
だがその剣戟はベヒーモスの毛皮とはち切れんばかりの筋肉により弾かれた。
「生半可な攻撃では通らんか…!気をつけろアイン!!」
ノエルの反撃にも動じずにベヒーモスは勢いそのままにアインに向かって突撃する。
「轟き貫けぇ!!!!」
魔力を練り上げ、雷魔術でベヒーモスを焼き貫く。
とてつもない轟音が響き渡り、周囲の岩肌から欠片くずがパラパラと落ちる。
焼き貫かれたベヒーモスは雷が効いたのか、突撃を止めているもののアインを睨みつけている。
「効いたッスか…?」
「油断するなアイン!!」
ノエルは動きを止めたベヒーモスに向かって跳躍し、剣で貫きにかかる。
『ブォオオオオオオオオ!!!!!!』
ベヒーモスは再度咆哮したかと思うと、頭の両角にバリバリと雷を纏い、その後ベヒーモスを中心に放電した。
「ぐああっ!!!!」
「…ぐっ……!!」
ベヒーモスの放った雷撃を直撃した2人は顔を歪める。
ベヒーモスはさらにアインに狙いを定め、串刺しにすべく大地を蹴って猛突進した。
「ア、アイン…!!」
「…!!!!」
体が痺れ自由を奪われているアインではあったが、寸前で魔障壁を展開しベヒーモスの追撃を防ぐ。
だがベヒーモスの突進により魔障壁にヒビが入り、今にも砕けそうである。
そこへ体を無理やりに動かしたノエルが剣戟を見舞う。
ノエルの攻撃を煩わしく思ったのか、ベヒーモスはトゲの付いているしっぽでノエルを払い避けた。
ほんの数秒間の事ではあったが、その間にアインは体勢を立て直し、魔障壁が崩れると同時に飛び避けた。
ベヒーモスは勢いを付けすぎたせいか魔障壁を破っても尚止まることなく壁に激突した。
「はぁ…はぁ…ノ、ノエル、助かったッス…」
「まだいけるなアイン?」
「モチッスよ…!!」
アインは再度魔力を練り上げ、ノエルは剣に力を溜めてベヒーモスの動きを注視する。
ベヒーモスは壁に激突したものの、首をブルンブルンと振って2人の方に向き直り、キバを向いて唸り声をあげた。
そしてまた再度、ベヒーモスが今度はノエルに向かって猛突進し始めた。
「貫けぇぇぇ!!!!」
アインの声と共にベヒーモスの前方からトゲが隆起する。
ベヒーモスがそれに気づいてブレーキをかけるも、止まることなくトゲに体当たりした。
『ブォォオオオ……!!!!』
「今ッスよ!!!!」
アインの掛け声がかかるより前にすでにノエルはベヒーモスの懐に入り込み、力の限り剣を突き刺した。
『ブォォオオオオオオオオ!!!!!!』
ノエルの突き刺した剣はベヒーモスの肋骨をすり抜け、脇腹に深く突き刺さった。
ベヒーモスは痛みと怒りで暴れ回り、ノエルは剣を引き抜いて距離を取る。
ノエルに突き刺されたとは言え致命傷には至らず、一頻り暴れたベヒーモスは怒りの形相で2人を睨みつけた。
直後、ベヒーモスの角が光ったかと思うと、ベヒーモスを中心に地面が割れ、2人の足元にも及ぶ。
「…!?これは土魔術ッスか!?」
「上から来るぞ!!」
足元を取られた2人の元へベヒーモスは跳躍して襲いかかる。
慌てて魔障壁を展開するも、ベヒーモスの体重に耐えられずにすぐさま砕け、そのままアインの元へベヒーモスが襲いかかる。
よろけつつも攻撃を躱したものの、ベヒーモスの攻撃はさらに大地を割った。
それによりさらに足元を取られたアイン。
その隙を見逃さずにベヒーモスは尻尾でアインをなぎ払い、直撃したアインは吹き飛ばされた。
「アイン!!」
ノエルがベヒーモスの元へ跳躍し剣で串刺しにかかる。
だがその時、ベヒーモスの角が光ったかと思うと、ノエルに向けて火球が放たれた。
なんとか剣でガードをしたものの、そのせいで勢いを殺されたノエルは逆に宙へ押し返され、上体を起こしたベヒーモスはノエルを叩きつけるように前足で攻撃して吹き飛ばした。