試し斬り
翌朝。
今日も今日とて鳥のさえずりで目を覚ます。
この暮らしも4年経過すれば慣れたものだ。
今日の目的。
それは、作成した武器の確認である。
木の実と干物で朝食を済ませ、昨日完成させた刀とナイフと槍を携え、モンスターを探し出す。
拠点を出てしばらくするとクマのモンスターと遭遇した。
前世のクマとは違い、しっぽが長く、トゲがいくつも突き出ている。
刀の出来を確かめるべく、刀を構えて対峙する。
クマのモンスターはグルルルと唸ったかと思うと咆哮し、一気に距離を詰める。
巨体に似つかわしくなくすばやい。
前足から繰り出してきた攻撃を後ろに飛び退いて躱す。
クマはその後も勢いを殺すことなく体当たりを仕掛けてくる。
真横に飛び避けたノックスに対し、今度は尻尾で追撃。
血飛沫が舞う。
が、それはクマ自身の尻尾を刀により切断されたためである。
「切れ味は問題ないな。」
ノックスにより切断された尻尾の痛みでクマはのたうち回る。
その後、怒り狂ったかのようにノックスへと猛攻を仕掛ける。
ノックスはクマから繰り出される猛攻を躱しつつ距離を取り、右手を突き出して
「弾けろ!」
と唱えた。
クマ目掛けて火魔術が放たれ、クマの顔の前で火魔術が炸裂し、眩い閃光がクマを襲う。
『ぐぎゃううぅぅぅぅぅ!!!!』
この火魔術は殺傷能力こそ無いが、目潰し効果がある。
目の前で弾けた火魔術により、クマは両目とも閃光により視覚を奪われた。
自身の前足で目を抑えつつも、もう片方の前足や先の切断された尻尾をブンブンと見えない相手に向けて振り回す。
その合間を掻い潜り、ノックスはクマを袈裟斬りにした。
刀は見事にクマを袈裟斬りにより両断せしめた。
ドスゥゥン、とクマが崩れ落ちた。
「出来に関してはまずまず、か。」
ナイフに持ち替えて手早く解体する。
このナイフも石器に比べてスルスルと肉を切り分けてくれて、解体速度もかなり早まった。
ノックスは水魔術によりクマの亡骸から血抜きを施す。
抜いた血を操って土器に入れ、ゴクリと飲む。
大事な塩分だ。
残った血をツボに入れ蓋をする。
残った肉と皮は吊るして干しておく。
刀の切れ味を実感出来、あらためてあの気配がする場所へと向かうことにした。