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【完結】理不尽に殺された子供に転生した  作者: かるぱりあん
第9章 ウィンディア防衛戦
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ガンベルv.sスヴェン

「くそっ!痛ってぇ…!…っておいおい、マイナの野郎、本気になってんじゃねぇか!!俺が着く前にそいつ殺すなよ!!」


 アインに返り討ちにされ、ズーグにより治療されたスヴェンが再度アインにリベンジするべく駆けていた。



 が、スヴェンの行く手を阻むべく、そこへ1人の獣人族が立ち塞がった。



 虎の獣人族、ガンベルである。



「あぁん!?なんだてめぇ!!わざわざぶっ殺されに来やがったのか!?今の俺はかなり気が立ってっからなぁ!!」


「貴様の相手は俺だ!!これ以上貴様らの好きになどさせん!!」


「ハッ!言うねぇ…!獣風情がイキがりやがって!後悔したって知らねぇぞ!!」


 スヴェンは既に抜いていた剣を手にガンベルに向かって駆け出した。


 ガンベルは既にいくつもの戦闘により生々しい傷を負い、身につけていた鎧にもいくつもの爪痕が残されていた。


 だがそれはスヴェンとて同じ。

 アインにより負わされた傷は完治しておらず、火傷の痕がいくつもあった。



 ガンベルは手にしている薙刀で迫り来るスヴェンを薙ぎ払った。


 スヴェンは跳躍してその攻撃を躱すも、火傷の痛みで顔が歪む。


「…ってぇ、なぁ!!!!」


 文句を言いながらガンベルへと剣を見舞う。


 薙刀の柄で攻撃を受け止め、力任せにスヴェン事いなした。


 その際、ガンベルの傷から血が噴き出る。


 いなされたスヴェンは受け身を取ったが、激痛に思わず膝を付いた。


「…てんめぇぇ…!!ぶっ殺してやる!!!!」


 顔を赤くし目を血走らせ、烈火のごとく怒りに満ち溢れたスヴェンは怒りで痛みを押し殺し、ガンベルに剣戟を見舞った。



 薙刀相手では間合いでは相手に利があると判断し、手数で勝負に挑んでいた。



 スヴェンから繰り出される無数の剣戟によりガンベルの鎧があちこち剥がれ落ち、肉体にいくつも切り傷が生じた。


 ガンベルも反撃に出るも、その薙刀は虚しく空を斬るだけだった。


「はっはぁ!!くそ獣風情が!!てめぇの攻撃なんざ当たるかっつぅんだよ!!!!」



 ガンベルはやや大きめに薙ぎ払い、スヴェンと距離を取らせた。


 だがそれは一時しのぎでしかない事はガンベルとて理解していた。



「はぁ…はぁ……そろそろ…ぶっ殺してモンスターのエサにしてやるよ…!!」


 怒りで激痛を押さえ込んだスヴェンが意を決し、ガンベルへ向けて地を蹴って一瞬で懐に入った。


「死ねぇぇ!!」


 スヴェンの繰り出した攻撃は、ガンベルの腹部を貫いた。


 貫かれた箇所から血飛沫が舞い、ガンベルも堪らずに吐血した。


「ごはっ…!!」


「はっはぁ!!ざまぁみろ獣がぁぁ!!!!」


「はぁ…!はぁ…!口うるさい小僧が…」


 ガンベルはスヴェンを睨みつけた。


 その目にはまだ闘志が漲っている。



 ガンベルは体に力を入れた。



「諦めの悪い獣め!!やっぱてめぇらの脳は獣とおんなじ……ぬ、抜けねぇ!!」


 ガンベルを貫いた剣を引き抜こうとしたスヴェンだったが、強靭な筋肉により剣を押さえ込んでいた。



 スヴェンは武器を手放す事になるが、一度手を離して距離をとるべきだったのだ。




 怒りで半ば我を忘れていたスヴェンだが、突如(こめかみ)に鈍痛が走る。


 ガンベルが握っていた薙刀の石付側の柄でスヴェンの右の(こめかみ)を殴打したのだ。


 それによりスヴェンは脳震盪を起こし、視界が定まらなくなった。



「死ね!!」




 目眩を起こしながらもスヴェンが最期に見たのは、散々見下していた獣人族の者が、ゴォッ!!という轟音と共に自身に薙刀を振り下ろす光景であった。

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