刀鍛冶
ここ『悪魔の口』は昔にあった大地震の際に形成された大地の裂け目。
その大地震により周辺の国々に甚大な被害を与え、海を隔てた国にも津波による被害をもたらし、大陸には南西から北東にかけて巨大な亀裂を生じさせた。
その長さは全長およそ700キロ。
東京と広島間ほどの距離があるほどの巨大な亀裂だ。
幅は地表部分は平均して500メートル。
『悪魔の口』の底だと600〜700メートルほど。
ノックスが転落させられたのは南東の端。
転落させられてから4年目、今ノックスは北東に向けて拠点を移している。
なぜ移動しているかというと、最初にいた場所でのレベルやスキル上げが頭打ちになってしまったのだ。
今はノックスのレベルは217。
スキルも剣術5、槍術5と徐々に上がっているものの、それに見合うモンスターがいない。
あれからも危うい戦闘はあったものの、魔力枯渇に陥るようなことは無くなった。
そのために今は北東へ100キロほど進んだ場所で拠点を構えている。
仕組みは不明だが、北東へ進めば進むほど生息しているモンスターが強力になっている。
ここへ拠点を移してはや3ヶ月。
手にしている武器は石器で作った槍や剣であった。
ここにきて石炭や鉄鉱石を見つけた。
最初のうちは鉄鉱石をそのまま炉に入れて鍛冶をしたのだが、鈍しか出来なかった。
鉄鉱石といえども鉄の他に余分な物が混じっているからである。
なので1度鉄鉱石を完全に融解させた。
ドロドロに溶かすまでかなりの量の石炭を必要としたので、魔法に切り替えた。
火魔術を一点に絞り温度を上げる。
鉄鉱石はやがて至る所が融解し始めた。
スポンジのように穴だらけになった鉄鉱石であったが、さらに火魔術により温度を上げる。
鉄を完全に溶かしきる頃には魔力制御のスキルが7にまで上がっていた。
鉄鉱石から鉄を取り出せた後にようやく刀作りだ。
前世にインターネットで見た動画を思い出し、炉に入れて熱を加えては金槌で叩く。
何度か折り返し鍛錬をし、刀の形に引き伸ばす。
最後に川辺から取ってきてあった泥を刀に盛り付け加熱。
そして水につけて急冷。
ここにきて3ヶ月。ようやくノックスはまともな武器の作成に成功した。