子狸ポンキチととけないエリマキ
いつもあったかいイメージの『ぽかぽか森』。
だけどやっぱり冬には雪もつもりますし、寒いのです。
森の動物たちは寒い冬に備えて、準備をしていました。
霜月透子様主催のひだまり童話館だより*「ぬくぬくな話」参加作品です。
既出小説のポンキチくんが登場しますが、前作を読まなくてもお楽しみいただけます。
こだぬきのポンキチくんは、おともだちのキツネのウカミちゃんのおうちにきています。
ポンキチくんは『ころもがえ』というものの、おてつだいをしていました。
夏のふくをしまって、冬のふくを出していきました。
その後、おへやのかたづけもてつだいました。
おかたづけがおわったあと、ウカミちゃんがいいました。
「ポンキチくん。そろそろ、おやつにしましょう。……ここで、なぞなぞです。9回、見てのむものってなーに?」
ぽかぽか森のみんなは、なぞなぞが大すきです。
もちろんポンキチくんも大すきです。
「んとね。こたえはミルクなの」
「せいかーい。さすがポンキチくんね。おやつをもってくるね」
ウカミちゃんは、ほかほかヤキイモがのったおさらと、あたたかいミルクがはいったコップをもってきました。
「わあ、ありがとうウカミちゃん。いただきまーす」
ポンキチくんはヤキイモをほおばりました。
あまくておいしかったです。
ウカミちゃんはミルクをのみながら、ポンキチくんに話しかけました。
「ポンキチくん、今日はてつだってくれてありがとう。まだ時間はあるかしら」
「うん。ぼくはだいじょうぶなの」
「それじゃあ、あたたかいものをいっしょに作ろうよ。ざいりょうは……ここで、なぞなぞです。時計をいっぱいつかうものってなーに?」
「時計? 通り道にならべておいて、歩く時間をはかるってことじゃないよね。えーと……時計、とけいとけいとけい……」
ポンキチくんは、しばらくつぶやいていました。
そして、にっこりわらいました。
「わかった。んとね。毛糸なの」
「せいかーい。いっしょに毛糸のマフラーを作ってみない?」
「え、それってかんたんにできるの?」
「うん。どうぐもいらないのよ。毛糸だけ。ゆびあみっていうやりかたよ」
ウカミちゃんは赤い毛糸の玉と、みどりいろの玉をもってきました。
ポンキチくんは、みどりをもらいました。
「まず、毛糸のはしっこを左手のおやゆびに3回かるくまきつけよう。きつくまくといたいから、かるくまこうね」
「つぎに、毛糸をなかゆびのうしろと、こゆびのうしろにひっかけるの。きつくしないで、かるーくひっかけてね」
「それから、毛糸をくすりゆびのうしろと、ひとさしゆびのうしろにまわしてね」
「つぎは、ひとさしゆびの下の糸(赤い丸)を、ひとさしゆびのうしろにひっかけてね」
「おなじように、なかゆびの下の糸(赤い丸)を、なかゆびのうしろにひっかけてね」
「ここからはおなじやりかたで、くすりゆび、こゆびにもひっかけていくの。その後、毛糸のはし(赤い丸)を手の後ろを通して、ひとさしゆびの前にもってくるの。後は今のくりかえしだよ」
ポンキチくんは、ウカミちゃんのいうとおりに毛糸をゆびにまいていきました。
「なんだか、リリヤンのオモチャみたいなの」
「そうね。作り方はあれといっしょよ。5しゅうやったら、おやゆびの毛糸ははずしていいから」
ポンキチくんは、しばらく『ゆびあみ』をつづけました。
手の後ろの方に、あんだ毛糸ができてきました。
「ウカミちゃん、とちゅうでおトイレにいきたくなったらどうするの?」
「指のところの毛糸に木のえだをとおして、ゆびをはずせばいいよ」
ポンキチくんも、だんだんなれてきて、あむのが早くなりました。
だいたいマフラーらしい長さのものができてきました。
「ポンキチくん、まずはここまでにしよう。毛糸が小指のところまできたら、30センチくらいのこしてハサミで切るの」
「切ったはしを手のうしろからまわしてきて、ひとさしゆびの前の糸に下から通すの」
「その後は同じように、なかゆび、くすりゆび、こゆびの前の糸に下から通してね。その後、ぜんぶの指から毛糸を外してね。さっき通した毛糸の先をひっぱればかんせい」
「できたー。……でもマフラーにしては少し細すぎない?」
「そうね。同じものをつくって、ならべてつなげるの。別の毛糸で交互に通していけばつなげられるよ。あたしは赤いのを三本つくるから、ポンキチくんはみどりのをあと二本作ってね。三本の真ん中の色を交換してマフラーをつくるの」
「うん。わかったの。やってみるの」
「がんばりましょう。ポンキチくん」
こうしてふたりは、ゆびあみをつづけました。
そして、おそろいのぬくぬくマフラーができましたとさ。
イラストはわかりやすくするため人間の手で描いていますが、ポンキチくんの指はもっと短いです。
トイレにいくときには、わりばしとかエンピツを毛糸に通せばよいです。