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私が悪女?それぞれの想い

作者: 浅村鈴

私ことフェリシア・モンベルは只今、婚約者から婚約破棄を皆様の前で突きつけられている真っ最中でございます

よくあるお話で御座います


「フェリシア・モンベル! お前とは、この場で婚約破棄だ!!この悪女!」

私に指を差しながら怒鳴っているのは

この国の第一王子のライアン様

金髪碧眼の見た目だけ王子の、頭の空っぽな馬鹿王子


この場は王立学園卒業パーティー

卒業生、在校生、そして卒業生の家族と卒業生である第一王子の両親の国王、王妃、私の両親、国の重役家臣達が集まっていた


そんな中での婚約破棄劇場

この茶番劇お付き合い致しましょう


「なぜ私が悪女なのですか?」


何事もない様に聞いてみる


「実の妹を虐めていて何を言ってる!

俺がお前の妹のエルメスを愛したからって、何故酷いことが出来るんだ!!

お前とは婚約解消して、俺はエルメスを婚約者に迎える!!!」


エルメスの腰に手を回し、決まった!って顔してる馬鹿王子

本当に馬鹿


卒業記念パーティーを滅茶苦茶にされて、卒業生泣きそうじゃない

泣いてる子もいるなぁ


親御さんは怒ってるよ

国王夫妻も怒ってる


馬鹿王子、自分に浸るのも良いけど周り見てる?

頭お花畑 大丈夫?


「ライアン様 結論を言えば、私と婚約解消したいのですよね?間違いありませんか?」


一応聞いてみる


「さっきからそうだと言ってるだろう!!  お前馬鹿なのか?」


馬鹿に馬鹿って言われたくないわ!


「国王様、王妃様 婚約解消をお認め願えますか?」


ニコリと淑女の微笑みと最上の礼をし、国王夫妻を見つめながら確認する


「認めよう」


国王様一言


「フェリシア ごめんなさいね  愚息のせいで」


申し訳なさそうにフェリシアに頭を下げる王妃様


「お母様! 愚息ってなんですか?

それになんで悪女に謝るんですか!?

おかしいでしょう?」


「黙りなさい!」


睨みながら言われた母からの一言に一歩退く馬鹿王子


でもすぐに気を取り直して


「国王が婚約解消を認めたんだ。

これで晴れてエルメスを婚約者に出来る!

エルメス嬉しいだろ! 君を幸せにするよ!」


馬鹿王子が熱弁している


「……です」


エルメスが小さな声で呟いた


「ん? どうした? 嬉しくて声が出ないか? 可愛やつだなぁ 」


デレデレしすぎじゃない?馬鹿王子


「嫌です! 絶対嫌!!お姉様助けて!!!」


「はぁ? エルメス?」


愛しのエルメスの言葉に理解が出来なくてパニックな馬鹿王子


「私は一度でもライアン様を好きだと言った事はありません!何度も違いますとお伝えしました! お姉様に虐められた事なども一度もありません! なのに、なのに…」


エルメスは泣き出してしまった


「え? だってエルメスは俺の話をいつも楽しそうに聞いてくれて、俺に微笑んでくれて、それって俺の事が好きだからだろ?」


「「「     」」」


会場の誰もが声が出なかった。

呆れて・・・


「フェリシアが教室から出てきた後エルメスは泣いていたじゃないか。フェリシアから虐められたからだろ?」


馬鹿の思い込み!


「それは、ライアン様が何度言っても私の体に触ってくるから、 嫌で、 嫌で

お姉様に相談していたんです! 私にはお慕いしている方がいるんです!その方の前でも私を触って 辛くて…」


本当に嫌そうな顔に涙が頬を伝う


「じゃなんで、嫌だっていままで、言わなかったんだ!?」


だんだん鬼の形相になっている。赤鬼だ。


「何度も申し上げました!私には気持ちに応えられないと! 

なのに、ライアン様は全く聞き入れてくれなかったじゃないですか」


エルメスの頬に涙がどんどん流れ落ちる


「ライアン様、あなたは人の話は全く聞かず、自分の都合だけ押し付ける。あなたは王子としての自覚はあるのですか?」


とうとう悪女と言われた令嬢のフェリシアが声を上げた


「当たり前だろ!俺は生まれながらに王子だ! 王になる男だ!!」


顔面ブチ切れながら怒鳴り散らす馬鹿王子


「生まれた時に王子なのは、たまたま王室に生まれただけです。

王子とは王子の品格を学びながら育ち、王になるには皆に認められた者しかなれません。あなたには全ての資格は無いのでは?」


言い放ったフェリシア!カッコいい!


「お姉様の言う通りです。

ライアン様は全く王子としての努力などしてこなかったじゃ無いですか?

そんな人を尊敬など出来ませんし、好きになれるはずありません」


エルメスも涙を拭い、今こそはと言いたい事を言い放つ


「私が好きなのは努力家のマシュリー様です!

ライアン様ではありません!」


どどーんとついでに告白タイムー


「ぼ、僕もエルメスの事が好きです!

僕と婚約して下さい!!」


顔を真っ赤にしながら宰相の子息のマシュリーが声を上げた

真面目そうな丸眼鏡君


お!両思いだったんじゃん


「はい!!」


エルメスは涙を滲ませながら、それでも嬉しくて笑顔で答えた


「ふ、ふざけるな!」


あら、馬鹿王子が真っ赤な赤鬼みたいな顔で叫んでる


「・・・⁈」


まだまだ叫び足りないライアン第一王子の口に第二王子がガムテープ貼ってロープで縛ってる


「兄上、もうそろそろ黙ってください

見苦しいですよ」


ライアンの弟の第二王子のサイファだ


「皆様、せっかくの卒業パーティーを我が兄が台無しにして申し訳ない

お詫びにはなりませんが、離宮に新たなパーティー会場を用意しました

皆様で移動して楽しんでください」


丁寧な言葉遣い、丁寧なお辞儀で卒業生、家族などにお詫びをし移動してもらった




「さて ライアンのテープを外してやれ」

王様が動き出した


「サイファ!弟の分際で何しやがる!」


テープを外されたら即座に文句を言い出した


「だまれ!ライアン!! 我が命じた事だ! お前は今から王子では無い! 

王家の席から外す!!」


「な?なんでなんですか?

酷すぎます!」


「酷いのはあなたよ ライアン。

人の話は全く聞かず、都合の良いように受け止めて、周りを傷つけて。

自分の都合で、令嬢方も卒業生やご家族にまで、不快な思いをさせて…

貴方には人の上に立つ事など、到底できませんね」


残念そうに、でも親として怒りを滲ませながら母である王妃がライアンに言って聞かす


「王太子にはサイファを立てる。

ライアン、お前は今後王族ではなくなる。今後どうするつもりだ?」


「そ、そんな・・・。どうしたら良いかなんて・・・」


膝から崩れ落ちた馬鹿王子


崩れ落ちた馬鹿王子の元に1人の少女が駆け寄ってきた


「ライアン様、私は情けない貴方も好きです! 

私と添い遂げて下さい!!

私は後に領主になります。 

一緒に私の領地に行きましょう」


アメリア・カルバール公爵令嬢だ

馬鹿王子が情けなくても良いだなんて

天使ですねぇ


「お、俺で良いのか? もう王族じゃないんだぞ・・・」


全てを失い自信も無くなった王子は自分で良いのか疑心暗鬼になっていた


「構いません  

王子とか関係ないです

私はライアン様が好きなんです。

私が守ります。 

私の側に居てください」


ライアンの手を握り熱い眼差しでみる


「・・・っ! ありがとう」


顔面崩壊で涙を流しながら握られた手を握り返す


ゆっくり立ち上がり二人で城を後にした



「フェリシア嬢、エルメス嬢、息子が迷惑をかけてすまなかった。

お詫びにはならないが、何か希望はあるか?」


国王自ら頭を下げた


「なんでも言ってね。

出来ることはさせて頂戴」

王妃も優しい微笑みを向けた


「では一つお願いがあります。

妹のエルメスとマシュー様の婚約を認めて頂けないでしょうか?

先程2人の気持ちも分かりましたし 」


「「!!!」」


エルメスとマシューが驚いている

まさか国王への願いが自分達の事に


「もちろん認めよう、そして両家には王家から話をして祝いの品も送っておこう」

国王が任せろと


頼みますよ 愛しい妹の幸せが掛かってますからね



「フェリシア、貴方自身の願いは?」


王妃が優しく聞いてくる


「私は・・・。希望はありません。 私は悪女ですから・・・   」


言い終わるか終わらないかで誰かが声を上げた


「僕の妃になって下さい!  ずっと好きでした!!」


「「!!!」」


第二王子のサイファの爆弾発言


この場に残っていた数人が驚きで声が出ない状況

それでも告白された本人は


「私はさっきライアン様に婚約破棄されたばかりの女ですよ?」


私傷物なんですよ。 婚約破棄された女は普通社交界にも戻れないんですから・・・



「兄上が好きだったんですか? 傷ついてますか?」


そう言う傷じゃないなぁ

身体も傷ついてないけど・・・

そんな事恥ずかしくて言えるわけないし



「好きだったわけではありません。 家同士で決まった婚約だっただけですから

だから、傷つきようもありません」


「良かった。

今からでも良いです。 

僕の事を知ってください。 

婚約して、僕の事を好きになれなかったらいつでも婚約解消します。 

大事にします!!」


「………      」


フェリシアは声がです、返事もできず顔を隠してうずくまってしまった


「お姉様!」

心配したエルメスが駆け寄ってくる


「お姉様大丈夫ですか!?」


後ろからそっと抱きしめる


サイファも心配してフェリシアの側に来て顔を覗き込んだ


「そんなに嫌でしたか?・・・。

・・・!!!」


声をかけながらフェリシアが泣いているのではなく、真っ赤になっている事に気が付いた


「…良かった。希望はありそうですね」


サイファがほっとした顔をしてフェリシアの背中を撫でた


「大変なお妃教育に涙した時も逃げ出さずひたすら前に進んでいた貴方を見ていました。弱い貴方も強い貴方も愛してます」


「私が泣いた日には屋敷に必ず一輪の花が贈られてきました。

お城のお庭で花を選んで摘んでいるサイファ様を見かけた事がありました…。 

その日にサイファ様が摘まれたお花が屋敷に届いて、私の事を見てくれている方がいるのだと、安心しました。 頑張ろうと思えました。

私もサイファ様をお慕いしています」


笑顔の花を咲かせたサイファがフェリシアを抱きしめた


それぞれの想いが実りそれぞれの未来に進んでいく。

悪役令嬢などどこにも居なかった。幸せな物語り


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