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魔法少女☆岩田さん  作者: 山田ミミィ
3/3

第三話ツインテール女

たぶんこの辺だと思うんだけどなあ。

つーか風呂に入りてえんだよなあ、昨日借りとけばよかったなあ、すげぇ良い人達だったしな。にしても地球の暑さは異常すぎなんだよ、スーツで来たの失敗だったかもなあ。

つーかこの岩田沙恵ちゃんって子本当可愛いよなあ、子供の頃アイドルやって今三十歳半ばくらいだろ、女優とかになってんじゃねーかな、まあそう考えたら結構いいマンションに住んでらっしゃるかも知れないしなあ。まあまたは金持ちと結婚して子供がいてみたいな感じかもな。まあ頼みにくいかったら諦めて他あたろう。

にしても全然無いな、この辺の高級そうなマンション回ってみたんだけどどれも名前が違ったんだよなあ、もしかしたらもうちょい安めのマンションなのかもな。いやでも権藤パレスって名前だしなあ、確かパレスって宮殿きゅうでんって意味だろ、だったら絶対高級マンションしかないだろう。

「あのすいませんが、オッサン何してはるん?」

んっ?何か知らない女に声をかけられたから振り向いてみたら、髪をツインテールにしている子供だった。そう最初は思ったがよく見たら結構大人だった三十歳前後かな?アパートの階段途中から話しかけられたんだが、何故最後まで降りてこない。

「何か?」

「オッサンさっきからこの辺うろちょろしてるやろ、ウチの子供達が怖くて家出られへんいうとるんやけど」

何だこいつの喋り方何か偉そうだな、手すりに腕を乗っけて話す感じも何か偉そうだ、貧乏そうな服装のくせしやがって、まあ顔はよく見たらすげえ可愛いとは思うが残念ながら俺はロリコンではないからな、まあそっちがそう来るなら、こっちだって魔の星の大王だからな、偉そうにするのは負けないぞ。

「知らねーよ、俺はただ宮殿を探していただけだ」

どうだ偉そうだっただろ!びびったか!

「宮殿探してるってアホなんかオッサン、頭でも打ったんちゃうか?まーえーわとにかくうちの子供達が怖がってるから、どっか行きーやー、もし行かへんのやったらシバくで」

アホ!この俺がアホだと!こいつ何て生意気なんだ、いいか地球人の分際で、俺は魔法が使える魔の大王だぞ、お前らごときに使わないでおこうとは思っていたがお前みたいな奴は絶対に許せん、俺にアホと言ったこと一生後悔させてやる、くらえ俺のミラクルスペシャルファンタスティックビームを!

「はー!!」

はっ!?出ない!ビームが出ない!何故だ?何故ビームが出ないんだ?魔法が!おかしいぞいつもだったら簡単に出るはずなのに!

「どないしたん急に?オッサン病院行った方がええんちゃうか?」

何故だ?まさかこの俺の強烈なパワーでも地球では魔法が使えないのか?魔の星の大王として情けない。

「大丈夫かオッサン顔色悪いで、てか何か落としてるで、何これ?」

そう言ってこのクソ生意気ツインテール女は階段から降りてきて私が落としたものを拾ってくれたのだが、私はそれどころではなかった。どうする?私が魔法が使えないということは、探している六人の女の子達が魔法なんて使えるはずが無いじゃないか、歳を取ったが私は魔の星の大王なんだぞ、古くは魔法を最も器用に使えた事から王家となったと言われている一族なんだぞ、その血を引き継ぐこの私がこんな状態になってしまうなんてどうしてだ、どうする魔法を使えないんじゃ息子を止められないじゃないか。

「何や住所書いた紙か、もしかしてオッサンこの権藤パレスってとこ探してんの?」

「そうだ」

「ここやで、目の前」

「はっ?」

「202号室はうちの隣の家の人やな」

俺は正直驚いていた、魔法が使えなかった衝撃も大きかったが、権藤パレスがこんな貧相な建物だったことに俺はもうパニックだった。

でも仕方ない行くしかないか、正直俺は何かの間違えであって欲しいと心から願っていた、何故ならこの子供の頃の写真から想像すると岩田沙恵ちゃんは相当な美人になっているはずだ。そんな美人がこんな貧相な宮殿に住んでいるなんて想像が出来るわけないじゃないか。

「オッサンさっきから顔色悪いけど大丈夫か?」

こいつまだいたのか。

「おいお前!」

「なんやオッサン急に偉そうになったな」

「お前の隣の住人は美人か?」

「いやあんま会ったことないしなあ、それに会うときはマスクとメガネしてるからわからへんわ、あっでも服は正直ダサいな、何か変なオーラでてるしな」

「まあでも女なんだな?」

「せやで」

「旦那とか子供とかは?」

「いや会ったこと無いな、まあたぶん独身やと思うであの感じやと」

やっぱり違うんじゃないか?今の話だと独身で服もダサくて変なオーラまで出てるんだろ、絶対違うだろ。でもとりあえず確かめてはみるか、まあ可能性は低いと思うが。

とりあえず私はこの偉そうな女の横を通って階段を登り202号室のインターホンを押してみた。しかし全く反応が無かったので、三回連続でポンポンポンと押してみると中から音がしたような気がした。そしてガチャッと鍵を開ける音がしてギィーと鈍い音をたてて玄関のドアが小さく開いたので、全力で笑顔を作った。

「どうもこんにちは」

そう挨拶した先にはもの凄いしかめっ面の女性が立っていた、マスクはしていなかったが大きなメガネをかけていて髪の毛はボサボサ、もちろんノーメイクだろう、年齢は四十歳前後くらいで、上は青い服を着ていてローマ字でヨコハマと書いてある、ヨコハマ?何か最近何処かで聞いた気がするなあ、それとそのヨコハマの反対側にBと洒落た感じで大きく書いてあって、その下に22と番号が書いてある、何かのスポーツのユニホームか?とりあえず年季の入った服な感じだな、そして同じくズボンも年季の入ったピンクのジャージだ、もう結構ボロボロだ。やはりイメージと違った、写真と目の前の女性を何度も比べてみるが絶対に違うなこの人は岩田沙恵ちゃんでは無いな。

「あの何ですか?」

「あの、すいません間違えました」

違っていたみたいなので謝って戻ってきた、さあどうするかどうしようか?やはり何処かに権藤パレスという高級マンションがあるはずだ!そこを探すしかないな。

「オッサンもう用事はすんだんか?」

まだこの偉そうなツインテール女がいるな。

「どうやら人違いだった」

「そうなんか?もしかしたら203号室の人かも知れへんで、確か女の人やったし」

「本当か?」

「何で嘘つかなあかんねん」

「美人か?」

「わりと綺麗な人やった気がするけど」

「いくつくらいだ?」

「まだ二十代やと思うで、知らんけど」

今は三十歳半ばくらいとは思うが、この可愛さを持っているなら二十代に間違われてもおかしくないな。よしとりあえずインターホンを押してみるか。ピンポーンっと、そして押して直ぐに玄関が開いた。

「どちら様でしょうか?」

そう言って出てきた美女は見た目は二十代前半、まあエステとか行ってたら全然おかしな話では無い。

「あのどちら様でしょうか?」

あっいかんいかん思ってたより胸が大きかったので思わず見惚れてしまっていた、でもさっきの女よりは可能性があるな。

「あのすいませんが、こちら岩田沙恵さんのお宅でしょうか?」

そう言うとその女性は髪をかきあげニコッと笑ってこう言った。

「違いますけど」

その瞬間私の後ろでツインテール女の笑い声が響いたので思いっきり睨んでやった。

「確かお隣の方が岩田さんだと思いますよ」

「まさかそんなわけないですよ」

「えっ、でも挨拶に行ったとき岩田ですっていわれてましたし」

いやでもさすがに写真と全然違ったぞ、この写真は幸せオーラの塊みたいな目をしているが、202号室の女は死神みたいな目をしていた、どう考えても同一人物とは思えないがどうする?

「あの?もういいでしょうか?」

「あっ!大丈夫です、ごめんなさいね、すいません」

そういって巨乳ちゃんがドアを閉めたが、正直魔法使えなくていいから今の子を誘っても良かったな、しまったわ、っていやいや何を俺は馬鹿なことを思ってるんだ、地球人が滅亡させられるかも知れないんだぞ。こんなところでオッサンがオッサンらしくなってどうする、俺はこの地球を救わなくてはいけないんだぞしっかりしろ。

「やっぱり202号室の人やないか」

いつの間にか後ろにツインテール女がいた、何て嫌な女だ胸もぺちゃんこだし。

「この写真を見てみろ、同一人物と思うか?」

「誰やねんこれ?オッサンロリコンやったんか?」

「違う!人の話しをちゃんと聞け!この写真がこの202号室の女の子供の頃の写真と思うか聞いてるんだ」

そう伝えるとツインテール女は即答した。

「絶対ちゃうやろ!だって子供の頃の写真は幸せ感半端ないで、もし同一人物やったとしたら相当な不幸でも無い限りあーわならへんやろ」

初めてツインテール女と意見が合った。私も全力でそう思う。

とか202号室の前でツインテール女と二人でワーワーしていたせいか、202号室のドアが開いてしまった、そしてさっきの不幸そうな女が顔だけを出して、

「あのうるさいんで静かにしてもらえます」

そう言ってもの凄い怖い顔をして睨んできたので、私は巨乳ちゃんのいる部屋に飛び込みたかったが、足が震えて動けなかった。確か地球には鬼という架空の生き物がいるらしいが、きっと今目の前にいるボサボサの髪の毛でメガネをかけた女が鬼だと言われたら俺は全力で信じるであろう。それくらい恐怖だった。

そんな地獄のような雰囲気の中、何も出来ない私を見かねてかツインテール女が震えながらナイスな質問をしてくれた。

「あの、い、岩田さんですか?」

「はいそうですけど」

やはり巨乳ちゃんの言っていることは本当だったみたいだ。だが岩田沙恵ちゃんなのかはわからない。

「あの岩田沙恵さんですか?」

私は違いますという答えを求めて、言った。でも世の中そんな甘くは無いのだ。

「そうですけど、何か?」

ただまだ同姓同名の可能性がある、もしかしたら漢字が違うかも知れない。

「あのこの写真って岩田さんの子供の頃の写真でしょうかね?」

震えながら質問した。この答えで全てのピースが揃うであろう。

「そうですけど、何で持ってるんですか?私の写真」

衝撃だった、このめちゃくちゃ可愛い女の子が二十年の時を経て、こんな風になってしまうなんて、いったい何があったらこんな不幸な顔になるんだ。いったい何が彼女をこうさせたんだ?きっと茂さんも今の岩田沙恵ちゃんを見たら悲しむだろう、いったいどうしちまったんだ!もう私はパニックだよ!パニック過ぎて、

「いやいやいや!そんなわけないでしょ!このめちゃくちゃ幸せそうな女の子がめちゃくちゃ不幸そうな貴方と同一人物なんて、あり得ないでしょ、証拠はあるんですか?証拠は?」

と、思わず言ってしまった。そして私はこの後岩田さんの力んだ顔を確認したのち顔面左側に強烈な刺激をくらってしまい、気を失った。



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