007.デートの翌日にまたデートと言うフラグ
俺と優里は部室にいた。
まずは俺の宝物の受け渡しからだ。
これはスムーズに行った。
っていうか別段何をされたわけじゃなかった。
隠し場所から取り出され写メを取られただけなのだ。
「ども」
はい、ここで疑問。
「エロゲとか、俺の電話番号・メアドとか誰に聞いたの?」
すると優里は部室の奥で本を読んでいる月詠 真知子を指差した。
俺の個人情報っていうかプライバシーはただ漏れですな。
「真知子。おまえな……」
俺が真知子を責めようと口を開くと、優里が俺の口に手を当てた。
やわらかい感触が俺の唇を通して伝わる。
「真知子を責めないで。私が無理矢理聞いたの。ね?」
ね?(ハート)
はい。もう責めませんとも。
「IC。真知子は無罪放免。そうしよう」
それより、今日は日曜日だというのに真知子はなぜここにいるのだ。
やっぱ、ひとり暮らしで部屋には何もないから、いつも学校に居るのだろうか。
しかも、宇宙人に違いない。
「ところで優里」
呼び方を変えてみた。
ちょっとドキドキ。
俺は優里の反応を待つ。
「なに? 保」
ちょwww
た・も・つ・はぁと
優里も呼び方変わってるwwwwwww
「何に使うのか教えてくれるって言う話」
教えてくれるとは思えないが、一応聞いてみる。
「あ……うん。じゃ、屋上行こうか」
そういうとちょっと恥ずかしげに俺を見る。
屋上行こうか、だと?
なぁ~にぃ。
男は黙って
「はやく行こ」
脳内でくだらないギャグを再生しているうちに優里はすでに部室を出ていた。
「あわわ」
俺は変な声を上げながら優里の後を追う。
それを見て真知子が「くすっ」と笑ったような気がした。
追いついた俺は優里の横に並ぶ。
しかし、なぜ屋上なのだろうか。
あえて言えばこういう統計もある。
告白の場所に選ばれる確率は23%。第3位。
確率は主観的なものだが、この場合、この23%は信用していいんじゃないかと思う。
優里は昨日の俺のクレバー&クールな一面の上に自作パソコンの機材を全部運ぶというホットな魂も見ているのだから無理もないこと。
「屋上だと誰にも話、聞かれなくても済むでしょ?」
自作パソコンは俺を釣るためのネタだったんだろ?
40万かけた……ネタに40万ってどんだけ金持ちwwwwww
俺、一気に鬱。
屋上に出ると日差しは容赦がなかったが、それを緩和させてくれるような少し強めの風が心地よい。
前を歩く優里のスカートがバタバタバタとなって、ほんの一瞬だけ太ももがあらわになった。
「風、強かったね」
俺は慌てて目線を外すと、フェンスのほうへ歩いていく。
「いい天気だな」
梅雨入りしたよな、などと思いながら、背伸びをする。
こうしているとエロゲをやっているのはバカらしくなる。
家に帰ったら2つ終わらせてから外に遊びに行こう。
いや、だってお昼に出たら日焼けしちゃうでしょwww
「今から教えてあげるけど、ひとつだけ約束して」
優里は口の前で人差し指を立てる。
「保にだけ教えてあげるんだから、誰にも言っちゃだめだよ」
2人だけの秘密なんだから。
と脳内補間してみる。
「約束するよ」
マジで誰にも言わない覚悟ができた俺は正にジェントルメン。
「じゃ、こっち来て」
優里はおいでのジェスチャーをする。
俺が近づいていくと、今度はナイショ話のジェスチャーをした。
俺が耳を優里のほうへ向けると優里は俺の耳に手を添えた。
優里の吐息が耳に掛かるほどの距離に近づく。
心拍数が急激に上昇していく。
もう呼吸が止まるんじゃないかってぐらい……いや、心臓が勝手に止まるんじゃないかってぐらい。
あ、言いすぎですね。
「じゃ、言うよ。一回しか言わないからね」
準備おkな俺は即時に頷いた。