004.パソコンの使い方は人それぞれ
「そういえば、パソコンは何に使うの?」
パソコンと言ってもピンキリだ。
メールやインターネットが出来ればいいという人も居れば、3Dネットワークゲームがウィンドウモードで4枚立ち上がらないとダメ、という人も居る。
「とにかくはやくてすごいのがいいの」
え? 今なんて?
「いや、何に使うのか教えてくれないと、どんなの買っていいかわからないから、詳しく教えて。プリーズ」
最後のプリーズはblog女王のレイナ風に。
「う~ん。近くのお店の人には自作だね~って言われたんだ」
三島は意地でもパソコンを何に使うか知られたくない様子。
そうだよね。俺も出来ればエロゲやってるって知られたくなかった。
「まぁ、何に使うかは置いておくよ。予算だけでも教えて」
こうなったら、俺好みの色に染めてやるぜ。
……パソコンを。
「えっと40万で足りる?」
な ん で す と ? !
「今、なんて?」
俺は自分の耳を疑った。
光陵高校2年 田代 保。
今だ10万を超えるお金を自分で使ったことはありません。パソコンも親に買ってもらいました。
なのに、一気に4倍だと?!
赤くもないのになぜだ?!
いや、白ならば4倍なのか?!
きっと白スクも普通のものの4倍だ。……いや知らんけど。
「あのね。40万円。足りなかったよね……」
三島は驚愕している俺を差し置いて結論付けていた。
「でも、今出せる精一杯の金額なんだ」
世間知らずもいい加減にしとけ!
と心の中で突っ込みをいれ、俺は正気を取り戻した。
「いやいやいやいやいや、十分」
「ホント? よかったぁ」
っていうか、ホント何に使うの? パソコンを。
ちょっと尋常じゃない興味が出てきちゃったよ、俺。
でも、そこはプライバシー保護条例を守る俺。
聞かない。
「とりあえず一通り見てみる?」
「そだね」
三島は頷いた。
キャラメルマキアートを飲み干すと、俺は三島の分の飲み終わった容器を捨てた。
俺ってジェントルメン。
「ところで一通りって何を見るの?」
さて、ここでパソコンの仕組みを……語らないので自分で調べてね。
「さっき自作がいいって言っていたから、パソコンの部品を見ようかと」
ちなみにモニタなどもあわせると、7つ~10つの部品が必要になります。
待てよ。
「やっぱ、止めようか」
俺は急にテンションが下がった。
「なんで? 面白そうだから見たい」
いや、見るだけならいいよ。
それは俺も反対しない。っていうか自分で提案してるからな。
でも、欲しくなったら買っちゃうでしょ?
そうすると、それを手に持つわけですよ。
CPUとかHDDとかなら、問題ないよ。
でも、ケースとモニタってどうするのさ?
「あのさ、パソコンっていつ必要?」
明日なら全然OKなんだけど。
「できれば今日から使いたいんだ」
無理ポ。
「ダメかな?」
三島は少し屈んで、考えるように俯いた俺を覗き込む。
ちょwww それ反則www
三島の上目遣いと、見えそうな襟首の奥に正常な判断力を失ってしまう。
「おkwww」
逝っちゃった……。