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002.生まれて初めての女の子からのメールはレベルアップ音とともに


 校門を出た辺りだろうか。


 ――タタタタッタタ~♪


 俺はまた一つレベルアップした。


 胸ポケットから携帯電話を取り出し、届いたメールを確認する。


 ちなみにドラクエのレベルアップ音をメールの着信音にすると、楽しいのは俺だけ?


 メールは見知らぬ人からだった。


「三島です。


 明日の10時に秋葉原電気街口改札で待ってます。


 来なかったら、部室にあったあなたの宝物はもう戻ってこないものと思ってください』


 ご丁寧に写メまでついている。


 そこには俺が苦労して集めたエロゲのパッケージが写っていた。


 三島、恐るべし。


 なぜエロゲの隠し場所がわかったのだ。


 ……今から取り返しに行くか?


 いや、それでは向こうの思う壺のような気がする。


 明日、パソコンを買うのに付き合ってやれば返してくれるだろうか?


 俺は三島の意図を汲みかねていた。


 しかしメールには返答するのが人間としての礼儀。


「テロには屈しない。


 だけど、パソコン買うのにつきあったら、本当に返してくれる?』


 強気なのか弱気なのか分からない……思いっきり弱きのメールをした。


 すぐにメールが返って来る。


 いつも思うが、すぐメール返って来るってことは携帯もってスタンバッってるの?


「約束するわ。じゃ明日』


 簡潔な内容のメールだった。


 もうちょっと女の子らしいメール送ってきてくれても。


 そう思いながら俺は三島のメールアドレスをアドレス帳に登録した。


 人生初の女の子からのメールが脅迫メールというレアリティ高い経験をした俺は家に帰るとクローゼットを開けた。


 パソコン買うだけのことで、俺をわざわざ指名するのだ。


 きっとこれはフラグがどこかで立ったに違いない。


 明日はもう全部のフラグを立てるつもりで行こうじゃないか。


 よし。


 明日はお気に入りのチェックのシャツとジーンズは封印だ。


 いかにも、というのは避けよう。


 俺はクローゼットからそれらを除いてみた。


 かなり殺風景な感じになったが、いくつか残っている服がある。


 まずは大きく胸に『塩』と白字でかかれた黒いTシャツ。


 これは却下だな。


 飯野氏だったら喜びそうなデザインだが、明日は一般人の女の子相手だ。


 ……一般人の女の子?


 俺はメールの中で1つひっかかっていることがあった。


 なぜ『電気街口』なのか?


 普通、中央口を選ばないか?


 まぁ乗る路線によって変わるから一概には言えないな。


 淡い期待は抱かないようにしよう。


 今はそれよりも明日着ていく服だ。


 残りは黒いYシャツに黒いズボンだった。


 今は日中30℃を超えるような夏の近い日だ。


 死ねる。


 確実にな。


 どうするか。


 平成の孔明の異名を持つ藤田さんに聞いてみるか。


 俺は携帯電話を手に取った。


「ということなんですよ。どうしたらいいと思います」


 俺は藤田さんに相談した。


「久々に相談してきてくれたと思えば、そんなことか」


 流石は平成の孔明。


 すでに策はあると見た。


「私の持っている服を貸してあげようかとも思った。だけど、君は磨けば光る。あっという間に私なんか超えてしまうだろう」


 流石だ。


 俺のやる気を出す作戦だ。


「だから、今回は貸さないことにするよ。幸い明日は曇りだ。黒い服でも支障はないだろう」


 え?


「黒いシャツにズボンで行けば、相手の子は君の意外な一面を発見することになり、一石二鳥だと思う。検討を祈ってるよ」


 藤田さんは言うだけ言って電話を切った。


 俺は思わず電話番号を確認する。


 間違いない。


 一流企業に転職してから随分性格変わったな。


 俺の選択肢はほぼついえた。


 黒い服で行くか、チェックのシャツで行くか。


 ……考えているうちに俺は馬鹿馬鹿しくなった。


 あんまり服って関係なくない?


 エロゲでも着替えてないし。


 きっとフラグとは無関係な選択肢だ。


 俺はそう思って服のことは置いておくことにした。


 次はパソコンを選んだ後のことを考えるか。


 やっぱ、メイドカフェか?



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