015.はじめてのC
「じゃ、まずはそこの本とってもらえる?」
優里の手が止まる。
目の前には、
「 は じ め て の C # 』
というタイトルの本があった。
「ちょっ……そのタイトルはまずいんじゃないの?」
優里が恥ずかしがっている。
手を止めたままフリーズしていた。
心なしか頬は赤い。
「なんで?」
なんでそう思ったのか分かっているけど、意地悪する。
「なんでって……そ、それを私に言わせる気なの?! どんなプレイよ」
プ、プレイ!ww
優里、動揺しすぎwwww
「……」
俺はものすごく笑いたい衝動に駆られたが必死に堪えた。
「な、なによ」
優里はそれを俺があきれていると思ったと取ったようでうろたえた。
「いや、その勘違い古いから。それに『#』がついてるだろ?」
かわいそうだから教えてあげる。
「それは恥じらいの『きゃっっ』でしょ?」
ぷwぷwぷw
それ、新鮮な解釈www
「そうだな。聞いた俺が悪かった」
でも、『#』ってホントはどんな意味があるのだろうか。
「わ、私、Hなことなんて考えてないんだから!」
ちょっと切れ気味に優里が叫んだ。
やばいwww
切れたら手がつけられない予感がwwww
おkwww
わかったw
「当たり前だよ。これプログラムの本だから」
「え? プログラム?」
優里は落ち着きを取り戻した。
「C#っていうプログラム言語」
C#はマイクロソフトが提唱した言語で、いろいろないいとこ取りをして、生産性をJavaよりもアップさせることに成功したとか、しないとか。
「ふ~ん」
まぁ、理解できないよね。
俺も最初そうだった。
「パソコンにプログラム言語で命令することで、パソコンを文字通り『自由』に使えるんだ」
ものすごい説明的www
ギャグに載せて説明するの無理www
許してww
「あ、さっきの素数か、どうか判定することもできるの?」
さすが俺の優里。
理解度× 群。
「できるよ。やってみる?」
俺は開いていたブラウザを閉じると、開発環境「Microsoft Visual C# 2008 Express Edition」を開いた。
「なんかすごいソフト使うんだね」
ソフトを起動しただけですごい食いつきwww
新規プロジェクトを作り、テキストボックスとボタンを配置する。
「あ、いつも見てるような画面が出来た」
いつも使っているソフトはこういうのを使って作られている。
俺にとっては当たり前のことに優里が感動している姿は俺を純粋だった頃に戻した。
2秒だけwww
「これをダブルクリックすると……」
そういいながらボタンをダブルクリックする。
画面にはプログラムを記入するメモ帳のようなものが表示された。
「ここにプログラムを書けばいいんだけど、今日はこれで終わりにしよう」
俺はプロジェクトを保存した。
「なんで~?」
優里が不満の声を上げる。
「部活の終了時間が来てるし」
外はまだ明るいが時計は確かに19時を指していた。
「もっとやりたかったなぁ」
うはっwww絶倫wwwwww
俺もやりたかった。
「ねぇ、明日もするんでしょ?」
おkwww
明日は最終兵器持参で来る。
任せといてwww
「そうだな。明日もやるか」
そういうと優里はうれしそうな顔をした。
プログラムに興味を持つ女の子は初めてだったから、俺は自分に興味を持ってもらえたかのようにうれしくなった。
「楽しみにしてるね。あ、これ借りてもいい?」
そう言って『はじめてのC#』を手にする。
「いいよ」
オカズに使うなよwww
などと下品なことは考えずに頷いた。
「ありがと。明日までに読んでおくね」
え?
それどういうスペック?
俺でも読み終わるのに1週間かかったwww
優里は本を丁寧にカバンの中にしまった。