012.未遂
すると龍造寺が俺にかぶさるように顔を覗き込んできた。
ちょwww顔近いwwwwwww
コツン……。
龍造寺は自分の額を俺の額にくっつけた。
「熱はないみたいだな」
うはww
みwなwぎwっwてwきwたwぜwwwwwwwwwwww
もう核分裂級に体温上がりまくり。
もう我慢できないwww
抱いてwwwwwwww
「貧血って可能性もあるからな。しばらく見ていてやる」
女の子に看病されてるwww
ディス ・ イズ ・ お と こ の ロ マ ~ ン !!
龍造寺はベッドの横に座ると、半身になって俺の頬に手のひらを当てる。
優里の手と同じぐらいやわらかい感触が伝わってくる。
「ちょっとザラザラしてるな。無精髭はちゃんと剃った方がいいぞ」
彼女の手が少しだけゾリゾリしている感触を楽しむように優しくなぜる。
ちょwww
龍造寺と絡むと賢者モードになるwwwwww
俺、自重wwww
ちょっと気持ちよくなってきた俺は目を閉じた。
龍造寺はしばらく撫でていたが、俺が寝たと思ったのか手を止めた。
誰もいない保健室。
その空気はすっと静か。
龍造寺の息遣いが聞こえてくるようだ。
「……おまえは知ってるのか。私が運命的な出会いをしたということを……」
独り言のように呟いた。
その声はいつものような威圧的な調子ではなく、流れるような歌声を思わせる。
2人ともしばらく静かにして動かなかった。
俺は段々と眠くなっていく。
横に座っている龍造寺の体温がちょうど良く、深い眠りに誘う。
うとうとしていると、急に龍造寺がモゾモゾと動いた。
何か周りの様子を伺っているようだ。
「だ、誰もいないな……」
誰もいないことを確認している。
その直後、俺の顔を照らしていた明かりが遮られ、暗くなったのがわかった。
……。
……。
……。
な、何の間だ?
俺が理解しかねていると
ガラガラガラ!!!
保健室の扉が開く音がした。
「ひゃう!!!」
龍造寺が変な声を上げ、ベッドから飛び降りる。
誰が入ってきたのだろうか。
トコトコと足音がする。
コツコツじゃないから保険医の先生じゃないな。
藤沢先生はいつもハイヒールだし。
「あれ? 慶子。何してるの?」
どうやら優里が入ってきたようだ。
どうして優里が?
3Pフラグ成立?wwww
「優里か……」
先ほどの慌てぶりはどこ吹く風。
龍造寺は落ち着いてしゃべっている。
「コイツがな具合が悪いというので少し見ていてやっていたのだ」
「え? そうなの? 朝は元気だったのに……」
心なしか優里の声が沈んでる。
「学級委員のお前が来たのだから、もう私がここにいる必要もないな」
そういうと龍造寺は歩いて出口のほうへ向かっていったようだ。
「よろしくな」
「あ、うん……」
何をよろしくするのか、いまいちわかっていないようだ。
っていうか、龍造寺、無茶振りw
扉の音がして龍造寺が出て行くのが分かった。