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010.人生を教えてくれるもの

 鬼ヶ島の鬼に共感する日が来ようとは想像もしていなかった俺は無事自宅に付くことができた。


 ――タタタタッタタ~♪


 自室にダンボール箱を運び込むと同時にメールが届く。


 見覚えのないアドレスだ。


 なになに?


 ryuzoji……って龍造寺?


「龍造寺だ。


 今日はやられたよ。


 まさかあのプレッシャーをはねのけて普通の問答をするとは。


 だが、次回はないと思え。


 私も自分の甘さを恥じ、修練をつみなおす


 (うんたらかんたら、あと省略)』


 誰に聞いたの?


 と思っていたらまたメールが届いた。


 着信音が鳴る前にメールを開く。


「先に謝っとくね。ごめん』


 相変わらず色気のないメールは優里からだった。


 ブルータス! お前もか!!


 きっと優里が龍造寺に告げ口したに違いない。


 真知子に続く裏切り(というほど信頼を得てはいないが)


 俺の精神は崩壊から2歩ぐらい手前の位置にまで進んでしまった。


 ここはあれだ。


 精神をどうにかするしかない。


 エロゲだ。


 エロゲで精神を静養するのだ。


 ……どちらかと言えば興奮しそうだけど、いいよ。エロゲだから。


 そう思い立つと俺はダンボール箱を開封し、中から一番楽しみにしていたエロゲを取り出した。


 俺はあまり直接的なエロは好みではない。


 萌え中心のほうが好みだ。


 パッケージを開けてCDを取りだ……CDは?


 あるべきところにCDがなかったのでパッケージを逆さにふって見た。


 やっぱない。


 嫌な予感がした。


 あの『先に謝っとくね。ごめん』の意味するところはこれだったのか!


 ちょっwww ひどすぎwwwwww


 当然、全部のパッケージからCDが抜かれていた。


 ダンボール箱の底に封筒があった。


 かわいらしい女の子の字で「保へ」と書いてある。


 すごいところにラブレター発見!


 これは優里の字じゃあるまいか。


 早速開封してみる。


「昨日はパソコン作るのにつきあってくれてありがとう。


 感謝しています。


 でも、このゲームは没収というか破棄させていただきました。


 男の子がこういうゲームを必要としているのは知っていますが、ちょっと数が異常すぎて気持ち悪いです』


 あれ?


 目から水があふれて止まらないよ。


 俺は手紙の続きが読めなくなってしまった。


 ここまではっきり書かれてしまうと、何重にもガードされているトラウマに茨の鞭のようなウィルスが侵入してしまう。


 特に優里のようなカワイイ女の子なら破壊力は3倍、いや4倍だ。


 でも、男の子だもん。


 泣かないもん。


 手で『水』をぬぐい、まだ続いている手紙を読む。


「もし今後必要だったら、私に相談してください』


 え?


 それって?


「あなたは私の尊敬する人なので』


 おお、今まで役に立ったことなんてなかった『天才プログラマー』っていう称号も無意味じゃなかった。


「ちょっとだけなら』


 ドキドキ。


「許してあげます』


 


 キタ━━ヽ(゜∀゜)ノ ━━!!!!


 キタ━━\(゜∀゜)/━━!!!!!


 キタ━━\(^◇^)/━━!!!


 キタ━━(≧∀≦)ノ━━!!!!!


 キタ━━ヽ(≧∇≦)ノ━━!!!!!


 キタ━━┌(_Д_┌ )┐━━!!!!


 キタ━゜+.(・∀・)゜+.゜━!!!!


 


 優里ルート攻略間近じゃね?


 あ……便箋が2枚あるよ……。


 オチ見えてね?


 そう思いながらも2枚目の便箋を取り出す。


「ゲームのほうだよ。念のため書いておきます』


 そうですよね~。


 俺もそうなんじゃないかって。


 分かってましたよ。……欝だ。


 俺は苦労して運んできたエロゲの箱をしまいなおすと、部屋の片隅に置いた。


 集めるときの苦労を考えると、例え空箱でも簡単に捨てることはできない。


 一般の人はエロゲに偏見があると思う。


 所詮、性欲の捌け口としか思っていない人が大半であることも事実だ。


 しかし、エロゲから一般の家庭用ゲームになったものも沢山ある。


 今は有名なゲーム会社でもエロゲを作っていたところは沢山ある。


 光栄とか、エニックスとか。


 そういう有名な会社だって作っていたのだ。


 エロゲだからと言って、そのゲーム性やストーリー性を正しく評価しないのはいかがなものなのか。


 声を大にして言うと、変態なので考えるだけに留めておきます。


 つまり俺が言いたいのは、俺はエロゲで感動して人生を学び、進路について真剣に考えるきっかけを貰っているのだ。


 選び方さえ間違えなければエロゲでさえ良い教育材料となるのだ。


 まぁ、何にでも言える事だけどな。


 中国人だから自己中とか、韓国人だから日本人嫌いとか。


 そういう傾向があることは認めるが、最終的にはその人の本質を見極める必要があるのだ。


 日本人だから挨拶する、なんてことが絶対でないのはよくわかっているはずだ。


 エロゲから人の本質を見極めるという話に至るまでの華麗なる論法。


 さすが天才プログラマー。


 俺、イケテネ?


 ……。


 ……。


 ……。


 さて寝るか。


 しかし、エロゲしないとやることないな。


 それはそれで問題ある人生のような気もするが、きっと気のせいだな。


 寝よ。



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