成長
「そろそろいいかしら」
唐木は目を丸くしてひどく驚いていた。
“おい、今こいつ人の言葉喋ったよな?”
「喋ってるというよりあなたが龍語を理解しているだけよ?」
!?
“考えてることがわかるのか?”
「あなたも、ステータスを持っているならわかるわよね?念話を使ったのよ」
あぁ、たしか特殊スキルに念話があったな。
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特殊スキル【念話】を獲得しました。
え?なに、スキルってこんな簡単にゲットできるの?
《アドバイザー》特殊スキル【スキルスチール】の能力です。
スキルスチール...なんそれ?
《アドバイザー》視認したり、体に受けたスキルをLv.MAXの状態で獲得することができます。
それってチートじゃね?
《アドバイザー》チートです。
あ、そこまで答えてくれるんだ...。
「あのー、そろそろ放置されると私悲しいんだけれど...」
あ、すまん。考え事してた。
「ふふっ、いいのよ気にしないで」
“あ、どうも。”
「それより驚いたわ。龍語を理解してるみたいだし、1歳なのに自我もしっかりしてる。人間ってこんな物なのかしら?」
“いや俺だけだと思う”
「そう?まぁいいわ!私の寝床にいるのは、不思議だけれど責任持って育ててあげるわ!」
!?
“おいっ!ドラゴンなんでそうなる!?”
「なんでって、その赤子の姿じゃ生活もなにも生きることすらできないでしょ?」
“そりゃそうだけど、なんでドラゴンなんだよ”
「ドラゴン、ドラゴンって私にはテュムートって名前があるのよ?でもお母さんって呼んで欲しいかしら!」
おいこのドラゴン、キャラがブレブレじゃねーかよ。
とてもじゃないけど伝説の古龍には見えねーよ。
「どう?私に育てられてみる?」
どうって言われてもそれしか生きる方法ないよな。死ぬか生きるかの二択じゃねーか。
「どうなのよ?どうするのよ?」
“じゃあお願いするわ”
「ふふっ!決まりね!もうすぐ衰弱で死んじゃうから最後にもう一度子供を育てたかったのよね!」
“もう一度って、他にも子供がいるのか?”
「ええ、いるわよ。この世界にあるドラゴンは全て私が育てたもの」
称号スキルの【龍の母】ってそーゆーことか...。
「人間の子は初めてだけど、やれるだけやってみるわ!」
“ぶっつけかよ!怖いわ!”
だめだ俺もキャラがブレブレになってきた...。
“そのでかい体で、どう育ててくれるんですかね...”
「人の形になればいいのよ」
すると目の前が光り一人の女性が立っていた。
白銀の髪に、白い肌、紅の目をした30代くらいの女性に見えた。
「ふふっ、この姿も久しぶりね。若い時を思い出すわ」
“さっき衰弱で死ぬって言ってたけど人間年齢的には何歳なんだ?”
「80よ」
“もうお母さんよりお婆ちゃんじゃねえかよ”
「あら失礼ね。食べちゃうわよ?」
“冗談じゃすまねーからやめてくれ!”
「そろそろ、その姿じゃ過ごしにくいでしょ?少し成長させてあげるわ」
“グローション”
ドラゴンがそう唱えた瞬間、唐木の体は眩い光に包まれた。
光が止むとそこには、5歳ほどに成長した唐木が立っていた。
主人公の対応力がすごいですね...。(笑)