2-2.□□□□□者
題名は文字化けではありません。
後半で同じフレーズが出ますのでご参考に(謎)。
地球の7日がこちらでは1年。
帰れるかは分からないが、そのためのトライの時間はあるのかも?
この話の流れでは、はっきりと気づいた仲間はいないだろうな。
きちんと説明するべきか、それとも今は特に何も言わないほうがいいのか?
俺達の会話の意味はともかく、話が進まないな。
シェーンさんが流れを戻す。
「続けてもいいでしょうか?
肝心な事、私のこれからの役割を説明しなければなりません」
「ですね。横道に逸らしてばかりですみません」
「いえ、何か重要な意味があるのではと思いましたが・・・。
ともかく未確定なことが多いですが言っておきます。
まず、例の100年後説が確定するまでは目立てません。
他のSランク達に『不穏な動き』と報告されかねないからです。
それまでは通常業務をこなしながらの援助になります。
とりあえずはドラゴンゾンビ討伐報告をどうするか。
どう口裏を合わせるか、ですね」
もう俺の方針は決まっているが、とりあえず聞く。
「そして・・・
100年後説が確定したとして、管理者がどうするかです。
副管理者は信頼できますので悪い事にはならないと信じますが。
いずれにしても、何があろうと私はコウさんを助けます。
最初にお会いした時、“これ”でそうしなければと感じました」
シェーンさんは肘を持ち上げガジェットを示す。
「分かりました。よろしくお願いします」
ギルドに逆らっても助けると言われ、きちんと感謝したいが言葉にならない。
ドラゴンゾンビの事は決めている。
姑息に誤魔化すことはできる。
だが結局困るのは自分、周囲に迷惑もかかる
ドラマや小説で一番嫌いな展開がある。
正直に説明せず、誤魔化し続け泥沼にはまっていくという話だ。
見るとイライラして途中で見なくなってしまう。
リアルも同じと思う。
自身のミスで大事になっても、それをきちんと説明することが最善策だ。
出来ずに過ぎてしまった事もあるが・・・それでは後悔しか残らない。
俺のポリシーを貫こう。
もちろんガジェットについては全員と口裏を合わせることになるが。
『剣技』持ちの俺がデカグモ討伐を経て、こうなったのはある意味必然。
出来過ぎだが。
まあ、これで心配の一つは片付く。
そういえば『時間の流れの違い』も同じだ。
いつかはきちんと説明しなければならない。
「エル、ちゃんと皆に分かるように言葉で話そう。
シェーンさんにもみんなにも申し訳ないからな」
エルとユイ以外は不思議そうだ。
ユイも話は聞いてはいないはずだが?
生まれてずっと念話を使い、聞き流しっぽい事ができるのかも。
俺たちが雑音と会話を当たり前に聞き分けるのと同じに。
「俺たちは管理者については神という表現で十分理解できました。
むしろシェーンさんの方が俺たちの概念で知らないことが多いはず。
それも含め、何気なくエルとだけ話したり考えたりしてしまってたんです。
エル、これからもう一度すべて説明したいが駄目なことは先に教えてくれ」
「あのこと、言葉が消える内容以外はおーけー」
時間の流れについては・・・あ、ちゃんと言葉にしよう。
「この世界と、俺のいた世界の時間の流れに差があるのは確定だと思います。
俺はずっとあっちに戻るつもりなんで重大事なんです。
みんなは『そういうもの』とだけ思ってくれれば。
今回はそれも加えての説明です」
ゼファのような「転生者」にとってはここも地球も現実だ。
だがここでしか生まれ育っていない人間にとっては?
俺にとっては地球が現実、この意識の差はどうしようもない。
「エル、ここと地球・・・元の世界のことです、の相関関係は不明だよな」
「うん、何も」
「最初から話します。
まず、俺は『宇宙連邦』という団体に拉致され・・・招かれました」
改めて思えばそれが始まり・・・話を続ける。
地球から全宇宙図、『魔王軍』の光点の説明は同じだ。
バンティとヤリマの時より念入りに、「宇宙」の大きさなども説明。
言い表しようがないが、画像が広範囲になる時一旦止める。
順に「何百、何千、何万倍以上」などと繰り返し言う。
これで、とてつもなく遠く広い、とだけでも分かってもらえれば。
ここと地球との関連は・・・
とりあえずは並列する2つの世界ということにする。
ただし、時間の流れが違う。
ガジェットが一年前に手に入るのはありえず、地球での一週間前だったこと。
危機の期限の差についても言う。
これを根拠に『ここの時間速度は50分の1』だと断定しておく。
ここから見れば地球が50倍時間が速いんだが。
俺が少しでも早く戻りたいということも忘れず言う。
説明に時間はかかったが、なんとか終わった。
ドラゴンゾンビまで全て。
ヤリマとバンティのように、シェーンさんにも現実を受け入れてもらうだけだ。
俺自身、改めて説明しながら思ったのは・・・。
あちら、つまり地球が本命でこちらは限定された世界では? という事。
いや、こちらでも迎撃準備が進んでいるらしいから俺の思い込みかも。
でも、どこからどんな風に魔王軍はここを攻める?
異世界物の魔王のイメージがちらつくが打ち消す。
(そういうのアリだとマジワケワカメね)
表現古いな・・・。
あまりにも情報量が多かったかも。
シェーンさんはしばらく腕を組み考え、やっと口を開いた。
「最初から途方も無い規模の話についていけるか心配でしたが・・・。
結局は2つの世界、いや私達がどう決断するかということですね。
時間についても驚きですが、コウさんが地球という世界に戻れれば・・・。
これはとんでもない幸運では?
可能な限り戻れるように考えて協力します」
「ありがとうございます。
いえ確かに、時間が遅いのは幸運ですが。
地球では“恩恵”は存在しません、ストレージや剣技も無くなるかも。
もちろん今の進化したガジェットは大きな助けになるでしょうけど」
ストレージ(インベントリ)についてはもちろん説明済みだ。
「そのガジェットの事ですが・・・。
最初は同じ繋がりを持つ懐かしさが大きかったんですが。
あなたの物は私のとは違いますね。
今日会って、あなたの方から魔素の動力変換方法を受け取りました。
そちらには劣るようですがある程度自由に、自動化もできるようになったと。
コウさんのは特別製なのでは?」
「待ってー! ダメー、その事は」
慌てるエル。
バラしてるようなものだと思うが・・・。
冷静になれ、妖精のようなもの。
「2つしかここにはないので、特別うんぬんは言えないと思います」
エルはほうちされた。
「コウさん、あなたが特別なのはガジェットだけでは無いのでは」
いや、そうじゃないと言ったんだが、確信してるのか。
「私に絶対ドラゴンゾンビ討伐は無理でしたし、断るしかありませんでした。
神・・・副管理者の意志なのか。
『剣技』に何かあるのか。
いや、あなた自身でしょうか。
分かりませんが、でなければ不思議な事が多過ぎます」
エルが何かパニックだ。
怪しすぎるからとりあえず消えとこうよ。
あっ素直だ、消えた。
俺が□□□□□という事っぽいが・・・めんどいな、これ。
他に『剣技』や管理者の意思についても言ってるし問題無い。
慌て過ぎだ。
討伐報告の前に、シェーンさんから念の為の注意が。
これからはこのような密室での長い面会は避けるようにする。
多くの職員がいる、変な風に上層部に伝えられる可能性もある。
今日はドラゴンゾンビの討伐詳細が長かったという事にする。
ボロボロになりつつ、疲労困憊で絶体絶命の時『剣技』が輝いた、と。
それに似た英雄伝説があるらしい。
ドラゴンゾンビ討伐自体が常人の想像外だ。
特におかしいと思う者はいないはずだと言う。
まずは討伐報告を済ませる。
ラミアさんを部屋へ招き入れてだ。
騒がれたくなかったので黙っていた、という事で言い訳しておく。
シェーンさんにデカグモの襲来原因を説明したのはラミアさんも周知。
なぜそんな事まで分かったかと問い詰められ、白状したという事に。
「それでコウさんがあの時何か変わったような、凄みを感じたんですね」
「ええ、凄い“恩恵”でした・・・」
一旦、魔核というか魔石を見せる。
ほぼ同じ巨大な石が半分ずつ、改めて見ると綺麗だ。
記念に持っておきたいし、必要時には売れるし、とお願いしてみる。
巨大な物だが、魔法袋という持ち運び手段を持つ俺ならありだ。
というか、何としても持ち帰りたい・・・。
1つは一応ギルドで研究者に見せるが、片方は持ち帰りオーケーになった。
ラミアさんの権限もあり、それでいいという。
この人って何者だ・・・。
ともかくこれで存分に合成できる、助かった。
受付フロアに戻る。
ここから事務所側の階段を登れば図書室だ。
「本を読む時間は大丈夫か?」
動いてないと腹時計も狂うらしい、ゼファが聞いてきた。
中庭の見える窓はあるが、外はかなり曇っててずっと暗いし。
ガジェットを見て3時半と告げる。
既にシェーンさんは素っ気ない素振りでワイバーンで飛び立った。
雨だと帰りが大変そう、雲の上を飛べるのかな?
ああ、バリアが使えるのか。
さあ、本の続きを消化だ。
合成を極めないとな、まあできるだけだが。
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