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異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
第二章
24/29

2-1.この世界の「神」

「コウと同じ? 転生者、いや転移・・・?」

「いやゼファ、時期的におかしい」

シェーンさんはずっとこの世界にいるはず、知る限りだが。


「まずは落ち着いてください」

シェーン審議官のきっぱりとした言葉に俺たちは黙り込む。


シェーンさんのガジェットは肘の上だ。

筋肉を締め付けるからか、バンドは無く直接張り付いているようだ。



「皆さんはコウさんの事情をどれ程?」

「伝えられることはほぼ全て言いました。そうするしかなかったんで」

「責めるのではないですよ。

説明のために把握しておきたかったのです。

全員に話すべきか、そしてどこまで話すべきか、答え次第なので」



シェーンさんが続ける。

「まずとりあえず答えておきます。

転生と言われているものは経験していません。

ずっとこの世界の人間です、私の記憶にある限りですが」


記憶?

ああ、記憶が無いだけで転生しているというのもあり得るな。

そんな事言ったらきりがないんじゃ・・・。

そこまで考えるって、流石(さすが)といえば流石かな?




「では、このまま皆さん全員にお話させていただきます。

 話せることは非常に限られていますが。


 私の立ち位置と、なぜこの科学魔法具を得られたかですが。

 その前に、世界の仕組みと私達Sランクの関わりからになります。


 この世界には様々なギルド、組合が存在しお互いを守っています。

 異種ギルドは縦の繋がりで、ある程度の庇護と支配の関係にあります。

 その頂点が冒険者ギルドなのです。


 かつて戦争を起こそうとした国ははことごとく滅ぼされましたね。

 この事は歴史で知られる通り、あえて広められたのです。

 恐れる事で平和が保たれるように。

 皆さんご存知の通りです。



 これ以降の事はあなた方だけにお伝えします。

 大丈夫だと確信しますが、絶対に口外無きよう。

 この魔法具関係者だけに明かすことを許されていますので。



 冒険者ギルドは世界情勢を管理しているとも言えます。

 世界の要所に配置されたSランクが支配者たちの動きを見ています。

 それぞれSランクは管理者へと世界の情勢や不穏な動きを報告します。


 世界の仕組みを司る神のような存在、それが管理者です。

 管理者は、定められた約一万年後の危機に備えてずっと動いています。

 私など想像もつかぬ、世界の仕組みがずっと整えられているのです。


 わかりやすい例は、先程の戦争を起こそうとした者たちですね。

 戦乱が起これば多くのものが失われます、人の繋がりもです。

 そうならぬよう、来たるべき危機へ備えるよう、世界は守られています。

 管理者によって」



管理者とは、この世界の実質的な“神”ということか。



「では私の話になります。

 私を見出し任命したのは副管理者というべき方です。


 隠居されていたそうですが。

 今回の件を聞き、居ても立ってもいられずに復帰されたそうです。

 本来はありえない2人目の管理者です。


 本来、一万年後とされて・・・いや決定している世界の危機。

 それが100年後程度に早まってしまったと言うのです。

 ですが、この報せをもたらしたのは異界の者達なのだと。


 いまのところ、管理者2人の意見は対立しています。

 単に見解が異なるだけなのですが。

 元々の管理者には受け入れ難いのは確かでしょうね。


 私はAランクの「竜騎士」としてそこそこ知られてはいたのですが。

 一年ほど前、例外的Sランクとして任命されました。

 名目はロライナ支部のSランク審議官としてです。

 魔物討伐に加わるSランクはまれですが、私の場合はそれが命令でした。


 やる事は、ロライナ周辺の冒険者の見守り。

 代理としてこの魔法具を付けて。

 これの宿す魔法は、攻撃には劣るものの衝撃的でした。

 仕事の方は漠然とし過ぎていて困りましたが・・・。


 ですが、見事に副管理者の思惑通りになったわけです。

 きっちり魔法具の所持者、あなたが頭角をあらわしたのです。


 後はドラゴンの事が気になるとも言って・・・

 私としたことが蛇足でした。


 こんなところです」



「おとうさん・・・」

ユイだ。


副管理者と呼ばれる老人のイメージ。

老人という言葉はふさわしくないか、顔に刻まれた皺が凛々しい。

シェーンさんの思考が何で・・・いや、これはユイのものだ。

俺が覗こうとしたわけじゃない。

ユイの思念が余程強烈だったのか、飛び込んできた感じだ。


「ありがとう・・・わざと教えてくれたのね。

見えた・・・勝手に見てごめんなさい」

「やはりそうでしたか。

今更教えたことで意味はないのに・・・本当に、とんだおせっかいです」


ユイの一見訳の分からぬ言葉と、それに納得するシェーンさん。

うちのメンバー3人には意味不明だな。

分かったのは俺だけだ。


みんな聞きたいのだろうが言葉が出ない様子。

先にとりあえず俺の聞きたい事、聞くべき事を脳内メモに従い聞こう。



「科学魔法具というのはこの世界の科学と絡めて概念を示したんでしょう。

我々仲間や、話に出た異界では“ガジェット”と呼びます。

シェーンさんがこの“ガジェット”を付けたのはいつなんですか?」

初めて直に「シェーンさん」呼びしたが、もういい頃合いだろう。


「審議官・・・Sランク就任時ですね」

「一年前?」

「そうですが」

(え? そんな)


どういうことだ。

恐らくシェーンさん自身は起きたことをそのまま言っただけだろう。

記録しておく。

(メモメモ)



「妖精の()()()()()は一緒では?」

「本来は一緒と聞きましたが、教育?ですか、その時間が無かったそうで。

代わりにガジェット・・・でしたね? これが文字で色々調べてくれます」


ああ、ここでは回線ダウン状態、自律システムのみだ。

なので半端に人格をインストールはしなかったのか。

ならば隠す必要はないようだ。



エルがあらわれた!

敵出現BGMが俺の脳内で流れる。


「こんにちは、妖精の()()()()()のエルです」

放っておいて次の質問へ。



「核心ですが、シェーンさんがおっしゃった通りそのまま言い換えます。

管理者は神であって何でもできるという事ですね」

「ええ、まあその通りです」


「ユイの父親の話を聞いて、この世界にも『勇者』がいたんだと思ってました。

恐ろしいほど強かったというんで。

それにしては自由で、ドラゴンと子供を設けるってどうなんだ、と。

前の“神”、つまり管理者のおそらく気まぐれだったんでしょうね。

何かの計画とも思えなくもないですが」


俺の近くにユイを居させるため、というのは出来すぎだろう。

当時は宇宙連邦の存在も知らなかったはず。

いや、神だから・・・きりが無いな、やめとこう。


みんなもやっとさっきのユイの言葉の意味が分かりうなずいている。



こちらからも必要な事は言っておく。

宇宙などの概念については聞く限り知らされてないはず。

話の基準が「この世界」だからな。


「俺、私達・・・」

「普段の話し方でどうぞ。

公式の場でさえなければ面倒ですからね」


「俺はその危機を宇宙連邦という組織から知らされたんです」

宇宙についてはあえて説明せず、固有名詞として言っておく。

危機の期限は100年後と、大きく差があるが・・・。



ん、ガジェットが1年前、そして魔王侵攻の期限数年が100年?

エル、ガジェットを地球に配り始めたのは?

(大体コウに渡す1週間前?

急を要するところにはアバター機能無しか、後付けだったけど)


エルはこれでも支部長だっけ、間違いないだろう。


少なくともガジェットの件は明らかにズレがある。

可能性は、時間が一気に経過・・・



 いや待て、1週が1年だと仮定する。

 1年365日を7日で割ると52.142857…。

 100年を同様に約50で割れば2年。

 2年は短く見積もってるが、明日にもありうるのだから妥当か。

 一致する?

 いやいや都合が良すぎ・・・。



しかし・・・時間が一気に経過という方が不自然だ。


その他の可能性は?


エル、ここが一年前に宇宙の『魔王』の危険にさらされたとしたら場所は?

(地球の観測可能宇宙域の外ね。

そもそも地球のガジェット配布は例外中の例外、他ではあり得ないよ)



「何か疑問でも?」

「コウどうした?」


「あ、すみません。

なあゼファ、転生前に流行ってた物って何?

変なこと聞いてごめん」

「いや、別にそんなに嫌な思い出でもないし。

意味無いからと思ってたから話さなかっただけで、いつか話すよ。

ラノベだな。あ、マンガだがヨンデーの『無職転生』が話題だったな」


馬鹿な!・・・いや 大 当 た り か。

『無職転生』は連載して半年ちょっと。

確か、初期の神回「一日6回ジョブチェンジ」でブレイクした。

その頃ということは・・・ほぼ半年。

ゼファは20歳だから・・・50で割れば146日、5ヶ月弱、ぴったり。



いや、おかしい。

「転生者」はどこでも、とは言わないが結構いるらしい。

スキルの情報交換やコミケっぼい同好会での繋がりもある。

そこで、時間差について話さないはずがない。


「時間経過がおかしい・・・よな?」

「ああ、もちろん。

転生者は“女神のタイムラグ”って呼んでる。

このおかげで、本物じゃないがマンガや小説も楽しめる」


「待て、法則性は分かるはずだよな!?」

「ん、たまに50分の1の速さでどうのって言う奴もいるが。

もしそうだったとしても何の意味がある?

“タイムラグ”でマンガの続きが読めればそんな事どうでもいい」


なるほど、もしこの「時間差」が彼らに問題があるなら調べるはず。

どうでもいい事だから気になどしない、か。

感覚的に“タイムラグ”ということになってしまった。



おそらく確定だと思う。

ここの時間の速さは地球の50分の1。



そういえば、『魔王軍』の侵攻を説明した時もその時期の説明はしなかった。

「間に合うようように地球に帰りたい」なんて一言も言ってない。

言葉でのコミュニケーションは難しい。


というか、時間の流れが違うなんて思いつく人間はいないよな。

実質連続しているので、一章の続きとするか迷いました。

ですが、この世界のサポーター、シェーン審議官が絡むことで事態は転換する事になりそうです。


第二章スタートです。



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