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異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
新版・第一章
2/29

1-2.魔王

エルさんが戻ってきた。

最初に会った人間の方だ。



「えー、あー・・・改めましてようこそ、宇宙連邦臨時支部へ!」

「あ、はい、こちらこそ」

何か言いたかったんだが・・・やはり思い出せない。

それより俺がここへ来て、「エージェント」にされた意味、そっちだ。



すぐ横には妖精のエルがいて思考は筒抜けのはず。

という事は、本人にも伝わっているな。

あ、一瞬裸のおしりを思い出し、踏みとどまった。

危ない危ない。

人間のエルさんが顔を逸した、耳が真っ赤だ。

これは間違いなく同時に伝わってるな・・・。


改めて見ると、彼女は普通に日本の美人OLさん?という感じ。

20歳くらいか、少し明るく染めた感じの髪。

背は俺とほぼ同じ、少し低いか。

おっと、聞くべき事は・・・。



大きな立体映像が現れた、宇宙の映像っぽい。

綺麗で思わず見入る。


いつのまにか体育館とかで使う折りたたみ椅子が真後ろにある。

「どうぞ」と言われ座る、彼女もだ。

妖精だけはずっと空中だ。


数メートルの映像、宇宙全図か。

正確な宇宙全図があるのかは俺も知らないが、多分そうだ。

全体も銀河と似た楕円形。

徐々に速度を上げつつどこか一部へズームインしていく。

最後に拡大されたのは地球だった。

「結構宇宙の知識はお持ちでしたね。

質問があればご遠慮無くどうぞ。

では本題、今の現実を説明します」



最初の映像に戻った。

今度は見やすいようにか、画像が小さくなった。

赤い粒子が地球のある銀河の反対側に広がっている。


「この赤い点は ∇∇∇ と呼ばれる集団です。

魔王軍とでも呼べばいいかと思います。

説明は、まずは大きな視点での我々と彼らの立ち位置からです」


最初の呼び名は聴き取れなかった。

『ウジャラピチュ』に細かいノイズが入った感じだが、まあいい。

恐らく順を追って説明すべきややこしい事情がありそうだ。




「・・・宇宙の外から来ているように見えますが?」

「後にも説明しますが、地球で未観測の情報は教えられません。

存在を明かすことだけが許可されたのでご勘弁を」


「じゃあ最後にまとめて訊くので。メモがあります?」

スマホは見当たらないし、手書きが早いだろう。


「てのひらを前に出してください」

何のためか分からず思い切り手を突き出す。

メモ帳とペンがいきなり現れ、ペンを落としかけ掴む。


まず話を聞くだけ聞こう。

何らかの異常事態、・・・らしいな。



「我々宇宙連邦は原則全て、法による秩序に従います。

まだ未熟な文明、惑星には干渉しません、というかできません。

助けることはできないということです」


ん、話がおかしくないか?

いや、確認はとりあえず最後まで聞いてからまとめて、だ。


「ですが、例外的措置もあります。

法を外れないよう配慮しなければならず限界がありますが。

ある方々、種族の判断です。

それがあれば秘密裏に動く事もあるのです。


私達連邦の重要な判断はその方々が行います。

その方々は無私・・・利益を一切求めません。

全ての思考を明かしてくださり、我々の意見も受け止めて納得出来るまで話し合ってくださいます。

ですから、今にも滅びそうなあの方々を我々は援助し、守っています」


俺はメモに書きかけた『ある種族』への疑問を横線で消した。

まずは信じておこう。



「重要な判断とは地球の連邦加盟も含まれます。

言った通り、まだ機は熟していません。

これからのあなた方次第であり、期待しています。

それで、他の判断は当然ながら法に基づくわけです。

連邦加盟なら正式に援軍を派遣しますが、地球には無理です」


でも現時点で情報を教えてくれて。

放置はせず、何かの方法でこっそり援助するつもりなのか。

メモに書き込む。


「下手に兵器を貸し与えるのは愚の骨頂なのです。

加勢したとして、地力が低いとバレれば際限なく攻められます。

逆に怖いのは援助の影響です。

異文化により、未成熟な地球が、地球で無くなってしまう事です。

残念ながらそれを狙う者もいます、だからこその法遵守です」


矛盾だ。

メモの「放置しないのは?」の部分に丸をつける。



「敵の『魔王軍』ですが。

母星の『王』の欲望のみが侵攻理由と思われます。

占領後の資源採取、更に占領の際の陵辱・虐殺も同じ欲望です。

彼らの意識は『王』の一部あるいは同一と考えられています。

戦って利が無いか、疲弊するばかりと分かればもう来ません。

こんなところでしょうか」



一通り終わったようだ。

先に、メモしていないが単純なことを訊く。


「価値無しか占領不能と分かった時点で星ごと消されたりは?」

「さすがですね、想定通りの質問です」

想定通りなのにさすがってどういう事だ・・・。


「そんな事をすれば、こちらも遠慮なくぶっ放せますから」

なるほど、核兵器のような、多分それ以上のものがあるのか。


「敵の本星に攻撃は無理なんですか?」

「守備が厚く困難なのもありますが・・・。

あの方々から止められています、何をもたらすか予想不能なのです。

『王』自体が未だに不明なのですから」


「やつらはいつ頃来るんです?」

「現時点では不明ですが数十年以内には・・・今日かもしれませんし」


最後に、メモした最も不思議な事を尋ねる。

「これが最大の疑問です。

助けられないはずの地球をなぜ放置せず、何をするんでしょう?」



女性がボソボソ呟くと周囲が白い壁に包まれた。

隠蔽?


「最大の理由は・・・あなただから話すんですよ。

ここに奴らが来るのは、味方のある種族の兵器誤作動が原因です。

我々にも責任の一端があるんです。

誰もが予想しなかった時間軸・・・あっ、今のは無しで。

あなたは忘れるぅ~忘れるぅ~」


何だ今のは。

はっきり覚えてるし、ギャグか?


「・・・

そして最大の理由は、あの方々からの秘密裏の司令です。

あなたは特別の存在だそうです。

これは絶対に口外しないでください。」


さっきより長めに、再び女性がボソボソ呟き、壁は消えた。



『手は出せないがあくまで自力で(?)戦えるように』

というのが説明最後の質問の「答え」でいいのか。

「特別の存在」って?

いや、もう答えてはくれないか。



「えーと。

突然拉致されたことについてはそれどころじゃなさそうなんで。

変な組織じゃないみたいで良かったです」


やっと言えた、なぜか一番に言うべきこの事が言い出せなかった。

心無しか、さっきまでと変わっていつも通りの思考ができている気が。

何かがクリアになった。


「あ、その件では大変ご迷惑を」

「最初の感じでいきません? 妖精の感じで」

「あ、あれは妖精になりきりませんと・・・交代しますね。

ずっと一緒になるのでよろしくお願いします」


いや、多分こういうプレイ(ゲームの話ね)が好きそうだ。

最初の様子でバレバレだ。



「君の正式名称は何なの?」

「妖精型チュートリアルアバターだよー!」

一転してノリノリじゃないか・・・。


「忘れてた。

敵の事だけど。

実は、細胞や金属の組成や基礎科学が地球と驚くほど似てるの。

多くの星や文明が出会えばいつかは起こりうる事だけどね」


「まさか同族?」

「それは有り得ないはず。

生命体の形態は全く違うし、向こうが文明も遥かに進んでるし。

数百億光年以上を移動してる事でも分かるよね、双川さんなら」


「コウでいいよ、エル。めんどいだろ」



「これが敵だよ」

最後に敵生命体の実物大ホログラムを見せてくれた。

貴重なデータらしいが、特別だからか。


幅5メーター位のカニ(タラバ?)に頭が更に付いている。

ただし全体が黒っぽい。

「同形のロボットや別型のもいるから」

それじゃ何でもありだろ・・・。




時刻を見るとまだ夕方4時半か。


電車賃を支給され、駅までの手書きの下手くそな地図を貰う。

ナニコレ、宇宙連邦との落差がひどい・・・。

ちょっと安心した気はするが。



この建物は本当に人が居ない、まさかエルさんだけか?

建物を出る。

5時前だからか外のオフィス街に人は歩いていない。



また違和感。

意識が狭まったような。

建物を出る前くらいからだ、時計――ガジェットのせいか。

まだ馴染んでない?




誰も居ない公園を横切る。

何気なくレーダーを見る。

人が密集しているのは駅か。


ん、逆側に赤い光点が移動してる、何か悪意のある存在だ。

なんとなく分かるが強さも半端ない。

レーダーが突然意識でき、確認してしまったのはこのせいか。



公園の向こう側!


更にそっちの空から何かたくさん落ちてくる。

連続して爆発音と光が。

爆風。


やっと足が動いた。

あそこに飛び込んでも大丈夫なはずだ。

走る。

せめて、一人でも救助を。出来ることを。


走りながら思った。


まだ早い、早すぎるよ。

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