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異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
新版・第一章
18/29

1-18.整理整頓

目が覚めた、エルが目の前にいる。


「うわぁ!」

なんで?! 生きてる?

いやもともとAI、人の意思を受け継い映像だが・・・。

確かに実在して触れられた存在がまた目前にいる。


はっきり思い出せる。

 肉が溶かされ、崩れ、骨に・・・。

トラウマだ。


「コウめっちゃ勘違いしてたよね。

結果オーライみたいで、そのままにしたけど」

「どういうことだ!」

思わず怒鳴ってしまう。

本当に死んだと思ったのだ。

泣いて喜んでもおかしくないが、通り越して怒りが。


「後で色々説明するって言ってたけど・・・。

実体化とその役割も説明まだだったね。

原理はまたにして、装着者が耐えられる環境かモニターが役割のひとつ。

“炭鉱のカナリア”って知ってるよね」

「有毒な気体に敏感なカナリアを昔炭鉱に連れてったっていうあれか。

カナリアモード、って言ってたな。

しかし、あれはトラウマもんだろ・・・」


「うん、後でコウの意識から見たけど・・・。

リアルなのもほどほどに、っていうか。

瘴気の恐ろしさを実再現しただけなんだけどね。

あとは、科学的に作った実体だから。

多少エネルギーは食うけどリセットすればオーケー。

普通に出たり消えたりしてるから分かってると思ってた。

心配してくれてありがとう、私は悪くないけど」


大体理解できた、最後は余計だが。



「で、俺結講気を失ってた?」

「ううん、倒れたばかりだよ」

そうか、一旦意識が飛んだ、そんな感じか。


まだ周辺はわずかに黒い霧が・・・見る間に消えていく。


バリアと重力調整で守ってくれたのか。

「先に自動で働いてたよ、ガジェット有能過ぎ」


怒りに我を忘れてからの異常な力。

あの時の現象には疑問ばかりだが、戻って報告がてら考えるか。


3時半か、30分も戦って・・・ずっと弾かれていたのか。

恐ろしく長かったような、終わってしまえば一瞬のような。




まずは魔石、というか切断した魔核を探す。

倒した時の感覚を頼りに歩いていると割とすぐに見つかった。


飛び上がって周辺を見渡すが、瘴気はもう消えかかっている。

数箇所、木々が倒れたりで地表が見える。

ほとんど空中にいたんだな。

なんか無意識に戦闘の振り返りと現場検証してるな。

ちょっと自分で笑ってしまう。




そのうちドラゴンが飛んで来た。

紺色の大小2匹、あの母子だ。


母子とも何も言わなかった、魔核を見せるとただ頷く。

《来て》

どちらが言ったのか、2匹一緒に発したのかも。

ついて行く。




人里離れた火山帯。

いや、火山は見えるがまだ遠い。この辺は火山の名残りか。

教科書的に言えばこの辺も活火山なのかもしれないが。


山の七合目辺りか。ドラゴン親子がでか過ぎて感覚がおかしい。

結講高い山というか岩山だ。

洞窟らしき?大穴の中に入ってゆく。

暗い中を進むと、ガジェットが光って照らしてくれた。

そういえばエネルギー満杯か。

エルは俺の肩に乗っている、温かい。




歩みが止まる。

かなり上方に突然明かりが灯った、太陽のように明るい。

恐らくこの場所が最奥だろうか、広くて見当がつかない。

ぱっと見、ドーム球場よりも広いくらい?


《こんなに明るくしたのは久しぶりね》

《相変わらず片付かないねえ、ママ》

どこの世界も種族も似たようなものかと思いつつ、こっそり見渡す。

手前両側は寝台か、干し草のようなものが敷き詰められている。

母子同居らしく、2つある、もう一箇所は土間のように空いている。

奥はあちこちに雑然と物が積み上がっているような。

これは・・・片付けないとな・・・。



《本当にありがとう。

少し流れが変わってたら・・・。

あなたを脅して、倒されて終わってたわね》

《パパは昔はかっこよかったけど、ああなってからは・・・。

とにかくあの「人」へのヤキモチばっかり言ってた。

わざとだったんだろうけど。

それに、あいつを呼んで戦わせろって言ってた。

だからすぐに言い出せたよね》

《あなたなら私達を殺しはしなかったでしょうけど。

あのまま逃げなかったし》


「もしかして、戦ってるのが思念で見えた?」

《パパがなぜかヤキモチ焼いてたのは感じたけど》

《わたしもそれは分かったわね。

あとは、あなたの凄まじい力と、彼の充実感と消えた瞬間かしら》

「それだけ?」

《彼の思念の強さは感じたでしょ。

他の思念はかき消されるし、感情だけはいつも分かるから》


気にしても仕方無いが、ずっと翻弄されてたのを知られなくてほっとした。

エルが通常思考のブロックはしてくれている、恐らく。


《脅すように戦いに仕向けておいて今更ですけど・・・》

自覚はあるようだ、反社のラベリングは返上してあげていいのかも?

《まずはお礼ですね、全部見てください》




数十メートル離れた山に変わったものを見つけた。

1メートル程の大きな地球儀?の枠だけの物がある。

近づいて見ると、枠は二重で自由に角度を変えて固定できそうだ。

望遠鏡の固定器具のようにも見えるが、中央に何か設置するものだ。

ドラゴンが集めるような物ではない。

「これは?」

《あの人が作ったものよ。何かの方向を示す魔法具らしかったわ。

かさばるから、って真ん中の機械だけ持っていったの》

「方向を示す? もらっていいか?」

《役に立たないけど、あの人の物だから・・・。

あなたならあげてもいいわ、何かに役立つんでしょ》

何かの方向、か。

元の世界を探す機器、なんて都合のいい事は無いだろうが。

「じゃあもらうよ、ありかとう」

面倒なので空間魔法と説明しつつ、ストレージ収納。



金目の物をあげないとお礼にならないから、と財宝コーナーへ。

価値の有りそうなものが山になっている。

これ、山を掘り出すだけで一苦労しそうだが。

「整理するから一旦俺が収納してもいいか?」

返事に一瞬迷ったようだ。

だが、あの父親に勝った俺なら問答無用で奪うことも出来るのだ。

《お任せします》


一度に収納できるか不安だったが、一瞬で全て消えた。

今吸った物はアイテム欄の中の一つのカテゴリーに入っている。

『ツリー』となり縦列に統合されているよう。

袋や箱に入っていない物はすべてばらばらだ。

めちゃくちゃ多いが、意識すれば全て分かる。

不思議だ。


『インベントリ』はこの世界のスキル。

そのはずだが、既にメニューに別枠で統合されていた。

整理するには・・・

考えた途端、一気に種類別に並列に並んだ。

整理終了、後は混ざらないようまたここに並べなければ。


「整理する棚とか箱があれば・・・」

岩の床があちこち、薄い壁に盛り上がった。

どうやら整理するための仕切りだろう、立派な箱だ。

確か土魔法だが、固い岩でも形を変えられるのか。

魔力と技量が相当必要なのかもしれない。

なるほど、この住処もベッドもこうやって作ったわけだ。


面白いことにガジェットと統合したおかげか各品の総量が分かる。

「まだ次の仕切りは待って」

ここに丁度収まりそうなのは・・・容量きっちりじゃなく隙間も考えて。

どの宝石も枠容量未満だが、とりあえず分類不能の物をここに入れた。

俺の知らない物も多いが、ガジェットが地球基準で分類したらしい。

分類不能が最も多いが、もしかして貴重な物があるかも。

その事を告げ、また調べるからと言っておく。


次に多いのは魔石だった。

その次は水晶やラピスラズリ等、小さめの仕切りを作り収めていく。

少ないのは、ダイヤ・ルビー・サファイア・エメラルドだ。

よく知らないが、やはり多分高い物ほど少ないのか。

小さく細かく仕切り、次々入れていく。

あとは金を含む金属や宝石の組み合わせを、うまく重ねつつ並べる。

最後に革袋やケースに入ったもの。

これらは『インベントリ』の注釈によると、組み合わせで特殊な効果を持つものもあるらしい。

はっきり特定できないが、その事は告げておく。

持ち運びに質のいい革袋はよさげ、欲しいな・・・。


「ふう・・・」

山積みなのを分類し置いていった分、使った広さは以前の数倍。

だが、元々ドラゴンが楽々通れる通路があるので問題無い。

まだあちこち山があるが・・・仕分けさせられそうなので知らんふりだ。

大体は一応趣味のもの?というかボロいものらしいし。

ただ、最初に見つけた機器のような物はあるかも。



今日のところは、武器類を見せてもらおう。


武器は最初から立て掛けたり、ある程度整理されていた。

『インベントリ』に一旦全て吸ってみたが・・・。

使用金属は地球で一般的なもの以外「不明」。

機能などは構造で判断するしかない。

あと、付与効果が「自動再生」以外は分からない。

2匹に聞けばある程度分かるはずだが、なにせ種類も数も多すぎる。


俺自身がこの世界のことをもっともっと学ぶ必要があるようだ。

まだ金曜だから5日目か、道は遠い・・・。


ん?

以前の酒など入ったツリーに革袋が増えている。

説明に「(C)ドラゴンの宝物袋」となっているが、紛れ込んだか。

中身無しなので、黙って何かに使わせてもらうか。




《あなた・・・整理してくれるのは嬉しいし申し訳無いくらいだけど。

お礼をいい加減、選んでくれないと》

「ああ、武器は勉強不足だから()()にする」

母ドラゴンであるカロルの目がキラーンと輝いた。マジ輝いた。

()()にするのね、ふふふ》

意味不明ながら、背筋に寒気を感じつつ謝礼を考える。

そうだ、エルの言う一億円で手を打って舎弟関係になるか。

勿論ドラゴン2匹が子分だ。

(ナイス!)

エルいたんかい! ってずっと肩に乗ってたか。


「じゃあとりあえずで1000ゴールド、って価値が分からんな」

()()()()()、ね》

またカロルの目がキラーンと輝いた。

いやいや、こっちは搾り取る気満々の発言だぞ。

マンガ的には「計算通り!」のアクションだが。

こっちでは意味が違うのか?

それとも何かされるのは俺? あり得ない。


《この子が今の相場知ってるわ。換金し易い物を選んであげなさい》

《はーい♪》

楽しそうだ。


魔石だとかさばる。

持ち運びできても、いちいち換金に手間がかかる。

貴族などはプラチナ貨で高額の取引をするそうだ。

だが金庫に入れたり用心して隠すのでかっぱらうのが難しいそうだ。

かっぱらうのか、まあそんな気はしてたがドラゴンだから当然か。


宝石類は自然のものがほとんどで、長い年月をかけ集めたものだ。

高額な商品を買うのに使え、単純に換金可能で怪しまれにくい。

使ってる本人の話なので間違い無いようだ。

結局、ダイヤなどの宝石類をくれた。

一気に収納。

大事な財産のはずだが、2匹とも目を輝かせている?



《じゃあ、この子の名付けをお願い》

《決まりなの》

強い父親を倒したからか、恩人だからか。

決まりなら・・・。

《ちょっと待って》


娘ドラゴンが人間のドレスを咥えて戻ってきた。


一瞬後素っ裸の女の子が現れ、その前にドレスがヒラリと落ちた。

うわっちょっと、生はいくら何でも耐性が・・・。

元ドラゴンの娘、間違い無い。

人の姿で町へ行くって言ってたし。


たまらず一旦ドレスをストレージへ。

「あっ・・・そんなに見たいなら・・・。いいよ」

念話じゃなく普通にしゃべってる。


自分の着替えの要領でドレスを着せた。

ふう・・・。

娘は呆気に取られつつ「さすが」と感心している。


背丈も顔も15歳くらいか、この世界初の黒髪・・・

じゃなかった。藍色に近い、鱗の色だ。

かわいい。


俺の好きなタイプは芸能人ではカスミちゃんだが。

この子はスッキリした顔立ち、ユイちゃん似だな。

芸能界デビューできそうなかわいさだ。

ああ、初めての日本人顔。

惚れてしまいそう・・・?

カスミちゃんは姉ちゃんとか色々あったからな。

やっばりガッ○ーはかわいいよな。

・・・何考えてるんだ俺は。

しかし、かわいいものはかわいい。


「名前を・・・お願いします」

「あ、じゃあユイで」

即断だ。


《よかったね、おめでとう》

(やったね、名付け親!)

「ありがとう、今からユイと名乗ります!」


エルは普通にしゃべろよ。

(邪魔しちゃ悪いから)



《それでは、娘をお願いしますね》

「お願いします、コウ様」


俺の名前言ったっけ、ああ聞かれてたか。

そんな事よりだ、これって?


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