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異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
新版・第一章
17/29

1-17.死地

この回はかなりの加筆修正をしています。( 2020.7/3)


《いってらしゃい》

《パパ強いから頑張ってね!》


なんだこれは。

まるで出勤するサラリーマンだな・・・。

パパってのはドラゴンのパパの事だが。

「気を抜いちゃダメだ、気を抜いちゃダメだ、気を抜いちゃダメだ!」

「1000ゴールド融資濃厚ね」

反社の一員は近いのかもしれない。




マジに瘴気が濃くなっていく。

ドラゴンゾンビらしき黒光点を目指している。

黒光点って意味不明だろうが、黒く光る?からそうとしか言えないのだ。

脳内で、目に見えるのとは違うからな。


半分ほどの距離でもう一度バリアの瘴気防御を確認する。

さっき出来た、空間の余裕のある体表モードは「鎧モード」と名付けた。

そのまま最大加速で体を動かしても体に触れる事は無い。

出来過ぎのテクノロジーだ。

手のひらと周囲だけは密着状態で、そのまま剣を持ち攻撃できる。


俺のテストでこのガジェットシステムが組み上げられているような気も。

今は深くは考えない、仕事を終えなければ。

命懸けの。




見えてきた。

全長軽く100メートルはあるんじゃないか、でかすぎ。

ドラゴンっぽい形に見えないが・・・。

目を凝らすと真っ黒な塊がなんとかドラゴンと分かる。

黒というより闇だ、光を吸収してるような。

(その通りみたい)


エルは瘴気防御の確認であえて一旦実体化。

邪魔にならないよう、また姿を消す。

瘴気は問題無い。

安心して戦えそうだ。


更にゆっくりと飛行し近づく。

剣を抜いておく。

どきどきしつつ、そのままかなり近づいてしまった。

全く反応がない、こいつのはずだが?


《人の子か》


素の俺なら心臓が跳び出しそうなほど驚いただろう。

剣を抜いてから、自然に心身の充実を感じていた。

『剣技』が自然に発動しているのだろう。

念の為、再度心で詠唱する。


さっきの母子の事を言おうと・・・。


《うむ、信を得たか・・・しかし・・・気に入らん》


思考ブロックが通じてない?

なんだ、嫉妬が伝わってくる。

俺関係無いぞ!

昔の男、人間に向けた嫉妬だ!

しかし、本当にゾンビか? 全然ゾンビっぽくない思考じゃないか。


《ぬし、今はまだ弱いのう。もったいないのう》


くっそ、そんな事は分かってる。

ここまで、今の強さまで到達できたのはガジェットのおかげだ。


もう色んな意味で引き返せない・・・

エル、こちらの思考はできるだけシャットアウトしろ。

(もうやってる)

よし、ガジェットの力をフルに使って一気に行く。


「剣技!」

きっちり言葉でも詠唱。

加速は60%を示している、最高記録だ。

実際どれだけ速いのか・・・とにかく全力で突っ込む。

頭の後ろに弱点の光点が見え、剣を振りかぶり真っ黒な体内へ。

バリアは完璧だ。


一瞬後、肉の塊にぶつかる衝撃。

実体が無いんじゃなかったのか。

カロル達にも実際の事は分からなかったらしいな。


なんとか剣が折れなかったのは助かった。

剣を続けて振るが何度でも確実に弾かれる、斬れない。


《ぬしのちからは剣か。ならば、なぜ正しく使わぬ》


確かに練習不足だ。決定的に。

ああ、加速でも声は聞こえるな。

テレパシー、念話だからか・・・。

どうでも良いことが頭に浮かぶ。



ゼファに習った型を思い出す。

思い直し、力を込めて剣を振る。

弾かれる。


落ち着け、敵をよく見ろ。


首がうねっている・・・、加速状態で見ているからか。

鞭のようにしなり、急所を避け、弾き、受け流しているのだ。

なぜかそれらは自然に理解できた。

デカグモに比べれば遅いはずの相手に、以前どころでない加速が通じない。

狙いは逸らされ、弾かれる。


物理防御とか、剣が通じない可能性は予想していた。

だが、これは・・・それとは次元が違う。

受付けないのではなく、受け流しているのだ。

加速で恐ろしいほど素早く動く俺に対して。

反撃してこないのは不気味だ・・・。



「殺して欲しいんじゃなかったのか!」


《弱き者に討たれるわけにはいかぬ》


プライドの(かたまり)か。

そういえばこのしゃべり方、娘も使っていた。

父親を真似たんだろうか・・・またどうでもいい事を・・・。


剣を振りまくるがまた弾かれる。

疲労の限界・・・。

撤退するべきだ。


《ならん。(かな)わねば逃げるなどと、甘すぎるわ。

決するまでは絶対に(のが)さん》


思考ブロックできないっぽいな。

それとも動きで分かったか、こいつの強さなら有り得る・・・。


加速のまま、全力で離脱。

突如目の前に黒い塊が現れた。弾かれる。


逃げる。

が、その先々に現れる。

ゼファのように素早く動いているわけではないようだ。

恐らく転移のような能力か魔法のように見える。



ぶつかる勢いに任せ、最後の意地でがむしゃらに弱点を狙い剣を振る。

握力が限界だ。

剣の重みで弾かれ・・・なんとか離さなかった。

この剣だけは手放すわけにはいかない。



弾かれる勢いのまま地表に叩き落された。

木の枝がバキバキと折れ、なんとか緩衝バリアで軟着陸・・・

と思った場所から黒い塊が見えた、腕?

空中へと弾き飛ばされる。

意識と連動するはずの重力制御はこの衝撃には無意味だった。

剣がこのままでは危険・・・空中でなんとか納刀。


まだおそらく空中、上下も方向も分からない。

瞬時に逆方向へ飛ばされるのはすさまじいショックだ。

かかるGは加速で軽減・・・あまりされなくなった。

脳内で加速の数字は見えるが30%に落ちている。

耐えられる限界に自動で合わせて下がっているらしい。


体もぐるぐると回転するがままだ。

クッションのような緩衝バリアが無ければとっくに意識を失い、いや衝撃と打撲で死んでいる。


また弾き飛ばされた。

いつまで続く。


意識があるのが不思議だ。

そうだ、ガジェットに守られている。

(コ…解析…)

《半端よのう・・・》


何を言っているのか、エルは何かをしてくれている。

だが、恐らくこのままだ。

このまま俺はぐるぐると回転し続ける。

今の状態で生きてるなら、餓死までこのままか。

ああ、その前に糞尿まみれだな・・・。



いつのまにか体の回転が止っている。

弾かれ続ける衝撃は感じているが。

(コ…)

ああ、エル、そうかありがとう。

だが、向きが安定しただけだ。


そういえば母子ドラゴンは来ないな、良かった。

彼らを傷つけたくはない。


何かに、誰かに・・・頼ってばかりだったな。

俺自身のちからなど何もない。

スキルもそうだ。


すべてが。


《少し(ちご)うておるな》



木の枝をボキボキと折り地上に落ちた。

今度は弾かれなかった。

いつの間に噛みつかれている。


自動で「鎧モード」のバリアは円形になっている。

ガジェットも加速中なので高速で変化してくれた。

恐らく死ぬことはない・・・。


嘲笑。


ガジェットでこんなに微妙な感情が?

いや、念話で伝えて来ている。


なぜこれほどの(あざけ)りをぶつける?

最初弱いとか言ってたが、少なくとも武()と感じたのに。

違った、ドラゴンか。



噛みつかれたままの小康状態が続く・・・

いや、馬鹿な。

漆黒の牙の先端がバリアに・・・

目前の空気がどす黒い。


何? どういう事?

エルが実体化してる。

「カナリアモードでチェック中」

何を言ってる、俺は『剣技』でまだまだ耐えられる。

「生き残るために考えて! モード継続」


「剣技! エルお前は中に戻れ!」

「ちゃんと説明・・・・・・」




エルの肉体が・・・


グズグズに腐って?骨だけ残し崩れた。


骨も崩れて消えた。


うあああああああああああ!


・・・


・・・


大事なものが。


いや、いちばん大切な ひと だ。





・・・おまえは


・・・おまえは!


許さん!



ふらふらと剣を抜き・・・

体は飛ばされまくったショックでおぼつかない。

だが、怒りで良くわからないが何かが違う、変わった。


俺の中で。

体も。



瞬間背後へ跳び退いた。

同時にドラゴンゾンビの歯がぶつかるように噛み合わされた。



脳の裏側のメニュー画面。

今更確認して何になるのか。

いやいつもと違う、変だ。


  全機能無効

  『剣技』全発動



《そ な た の 真 の 全 力、 受 け よ う ぞ》


最後の力で跳ぶ。

以前ガジェット停止時に試したより遥か高く、遠く、速く。


弱点表示は消えたが、赤い核が・・・

見える。


俺の体が、…(ちから)が戻り…エネルギーに溢れている。

それは剣までも波及している。


だから恐れなかった。

跳ぶ事を。



まず左へと跳んだ。

右翼を切り落とし・・・

落ちなかった。


翼は中空で全方向に隕石のように飛び散っていった。

空の彼方、あるいは地中のどこか、吸い込まれ消えた。



《良い剣じゃ。これなら・・・


 満足じゃ》



着地の瞬間。

目前にいきなり転移・・・突っ込んで来やがった。

反射的に剣で受け、ドラゴンゾンビの頭部が一刀両断される。


魔核に剣がぶち当たる。

とんでもない抵抗が腕に。

剣が・・・その前に腕が折れるかもしれ・・・。


剣が輝いた、ように見えた。

エネルギーの奔流?


抵抗が無くなった。

ダメか。




核は二分され左右に飛んでいた。


そしてヤツは・・・

尻尾の先まで、計算していたかのように突っ込んで来る。

全て切断した。


全方向に飛び散って消えていく、無数の暗黒の塊。




全て消えた。

終わった。


 バリア 自動

 重力制御 自動


何かに支えられるかのように、ふわりとコウは倒れ込んだ。

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