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異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
新版・第一章
14/29

1-14.レベル

覚えている限り、そして途中見つけた全部の酒屋に入る。

わざとらしく「酒盛りだ―」と叫びつつ4~5本づつ買う。

横道へ運び次々ストレージへ収納、10軒近く回った。

身近な娯楽だから店も多いよな。

瓶を返却できるよう店別に分けたが、これ合成材料にできないかな。

やり方がまだ全く分らないが。



やっと狩場へ。

トラウマっぽいが、普通にラージスパイダー狙いだ。

道すがら大事な疑問を。

「剣の“自動再生”ってどうなの?」

みんながどのくらい知っているのか不安だが、せっかく貰ったし。

以外な答えがゼファから返った。


「俺の刀にも付いてるよ。

冒険者デビューに親が鎧と一緒に数十ゴールドはたいて買ってくれた。

数百万円のなんてとんでもないと思ったが・・・。

俺が死ねば元も子も無いんだ、育てた意味さえ無くなるって」

俺のために円換算してくれるのはまあありがたい。

「確かにそうだな」

「おかげで今はかなり返せてるしな。

あっ、肝心の使い方だな。

昨日は砕けたらしいが、普通は折れるものだがな」


(加速中の衝撃は通常と違って物を脆くするの)

「加速のせいらしい、エルが言ってる」

「普通の場合だが、自動再生付きは限界で敢えて自ら折れる。

そうすれば最低のダメージで済むらしい。

折れた部分と一緒に鞘に戻せば数十分で治るんだ」

「おお!」


「もちろん最低限程度の手入れは必要だ。

欠けも修復されるが、そのままだとだんだん痩せ細ってしまう。

多くのものは柄頭(つかがしら)、つまり一番根本の小箱に地鉄(じがね)がセットされてる。

欠けた分はそれで補われる。

買った時に聞いたが、砕けても集めて(つか)に巻いていれば時間はかかるが治るという話だ」

「さすがだな! ありがとう」

確かに根本に箱のようなものが付いてる、ただの飾りと思ってた。


丈夫さは使い方次第かもしれない、シェーンさんも言ってた。

ガンガン突き立てるんじゃなく、まだ難しそうだがちゃんと斬れれば。

刃を見ると以前の“打撃切り用”ではなく、鋭利だったし。

使いこなせれば凄そうだが・・・。


あ、それと・・・。

「味方ってシェーンさんが言ってたけどどういう事だろう」

「凄い人ですから味方も何も」

「雲の上、天上の人よ」

「ギルドのSランクだ、敵も味方も無いさ」


Sランク? 初耳だ。脳内メニューにメモってそのうち聞こう。

(彼は信用していいよ、説明できないけど分かったよ)

意味不明だが・・・ガジェットからの感覚か?

俺自身も同じことを感じたような・・・。




数キロ離れて20程度スパイダーがいる。

進行方向がズレているが他の冒険者もおらず問題なし。

もちろん、あのトラウマ級のようなのもいない。

全員に告げると、バンティが張り切っている。

「見えるとこまで行って一発ぶちこむよー」


実際は一発というより、ファイアアローの少し細かいの多数だった。

自分で驚いている。

「さすがわたし、本気なら全滅ね」


俺たちの場所へ誘導するためのアローは狙い通り。

目前に近付き突撃。

次々瞬間移動するゼファを見ながら・・・

あれ、全滅した。

確かに俺も軽く走って剣も振るには振ったが。

ガジェットは使っていない。


「クモもういない?」

「何も出来ませんでした、二人とも消えてたような」


「あ、そういえば昨日アレ倒したあと・・・みんなも感じたか?」

俺だけじゃないはず。

「ああ、スタンガン・・・棒のショックのあとで確か」

「覚えてないけど、そうみたいね」

「わたしも試したいです、誰か怪我してください」

「おいっ」「ちょ」


「うそです、風魔法撃ってみます、えいっ」

少し離れた場所の木が数十本倒れた。

「今は誰もいなかったけど、気をつけてくれよ」

「そのくらい分かってます!」


(レベル72だね)

え? レベルが分かる?

(存在確認済みシステムの解析はほぼできたよ。

既存の機能調整はデータが取れたことで間もなく終わり。

この世界のシステムは場当たりでずっと調べることになる)

間もなく機能復活?

(以前の機能は戻るよ。

試験機能は更にデータ取って改良するから、緊急時のみね)

ここなら声を出していいはずだが、ガジェット関係は俺だけに話すのは正解かも。


「おい、コウ?」

「あっ、色々解析が進んで以前の機能は戻るって。

自由に飛んだりはできないやつね。

で、今レベル72だと」

「うーん、えっと、それってどのくらいなんだ?」

「あーエル、巨大クモを倒す前は?」

(アルコールでの回復前は解析できてないから)

「分からないそうだ」

俺はなにげに数字に感心したが、ゼファの言うとおりだ。

比較対象が無いとレベル72の位置づけが分かるはずもない。



もしかして、「恩恵」の量は数値として分かるんだろうか。

(うん、量は分かるから数値化もできるね)

なら、次のレベルに上がったら・・・

あ、これは駄目だ、72の途中からになってしまう。

73に上がって74までの「恩恵」必要量が分かれば、これまでの上がり方が推測できるはず。

恐らくゲーム知識でいけばレベルが上がるほど必要量も増える。

正比例ならそれはそれでいいが、無いだろう。

とにかくそれで行ける。

(りょうかい)


ゼファに説明するとすぐに理解した。

残り2人も上がり方については「経験則」と同じと感じているようだ。

今日かなりクモを倒してもほぼ上がらず、俺の経験とも合致する。


しかし、これからそれだけ「恩恵」を得られる魔物は・・・。


忘れないよう、蒸留酒入りのグラスを飲み干す。

(酔えば酔うほど強くなるー)

酔拳じゃないし、酔ってもない。


(ふっかつー!)

何だ、と思うとメニュー画面だ。

ついさっき言ったのに早過ぎ。

待ちに待った復活のはずだが・・・。


今は4人全員で戦わなければ意味が無い。

一人だけ強くなることも可能だが、そんなしょうもない事はしたくない。

皆には大きな恩がある。


「エル」

(なに?)

「こういう場所ではややこしい話以外声出そうよ?

要するにめんどくさいんだが」

『たしかにー』

空中から声がする、姿を投影していないだけか。

『というわけで、機能復活です』

「結講飲んだしな」

「おめでとう」「よかったです」「やったね」

「ありがとうみんな」


「取り敢えず通常使うのはレーダーだけだな。

夜寝る時は宿の、そうだな、百メートル以内になんか来たら教えて」

なんかっていうのはもちろん赤光点だ。



それから少し考え、俺は決断した。

そんな大した事でもないが。

「皆に聞くがオーガーの特徴って分かれば教えてもらえるか?」

「まさか?」

3人とも同じ反応だ。

「デカグモを倒した時だけど、俺も皆も相当上がったはず。

少なくとも全員レベル72以上は間違い無い。

今勝てるかはともかく、今後いずれは戦う相手だと思わないか?」


皆考えている、相当強くなった事は感じているからな。


「死んだら終わりなのです」「うんうん」

「・・・一気にBランクの『炎魔剣』を超えた可能性か」


「俺がここへ来た初日の話だ。

もうすぐ日が暮れて宿に泊まる金も無かった。

さっそくゴブリンやコボルトを探した、レベル1の状態でだ。

バリアがあったからだ、加速も使ったが。

3匹狩れたが、死ぬことが無いと確信してたからできた。

今日も同じ事だ」



オーガーは人間より少し大きいの灰色の猿で、姿は小型のオークっぽい。

とにかくスピードとパワーがシャレにならないという。

ぶつかられたり、腕の一振りで人間は千切れ飛ぶ。

その上、知能が有るらしくずる賢い。

そんなところらしい。


細かな作戦を考え話すと全員納得してくれた。

要するに、安全にオーガーが相手できるか確かめるだけの事。

大丈夫なら次の段階へ進む。


念の為もう一杯飲んでおく。

加速は念の為25%まで確認済み。


「じゃあ行ってくる」

「無理するなよ」

他の2人は黙っている、なんだかんだで心配そう。


斜め上に重力調整、ある程度上がったら水平移動に調整。

速さは大して必要無い。

オーガーエリアへ入る冒険者はこの辺にいないのて見られはしない。

仲間もレーダー範囲に入れつつ、オーガーらしい光点を探す。

強さで見当はつくはず、一度確認すれば次は完全に分かる。

まどろっこしいのでレーダー範囲を一気に広げる。

いた、ほぼ等距離で点在するようだ。

最も近い一匹に軌道修正、マップはそいつの場所より若干広めに。


見えた。

「剣技!」

加速25%、バリアは安全重視の縦の楕円形で様子見だ。

着地、突進してきたがバリアにも触れさせず避ける。

あ、加速があるからな、徐々に下げよう。





「おーい!」

帰ってきた、お客さんと一緒に。


「ほ、ほ、本当に言った通りでしたね」

「よし、気を抜くなよ!」

「いけどりー」


「弱点はいつも通りだから!」

光点が見えている。


俺はオーガーを後ろから羽交い締めにして一緒に連れてきた。

問題ないという判断だが、気は抜けない。

魔法使いは体当たりでやられかねない。


バンティの前にはゼファ、俺はヤリマの前に着地。

「剣技」を再度無言詠唱、ゼファと俺の中央にオーガーを突き飛ばす。

上からの炎矢(ファイアアロー)聖電撃(ホーリーボルト)がヤツを掠める。

避けたが逃げる気はないようだ、さっき追いかけっこで勝っているし。

魔物のくせに覚悟は決めてるのか、何か狙ってるかも。


ゼファが瞬間移動し斬りつけた、反応できない。

それだけで充分だったようだ。

「ありがとう、最後は任せる」


オーガーは(かが)みつつ俺の横を抜けようとする。

やはりな、後衛狙い。

加速無しでオーガーが「普通の」速度になった。

剣を居合のように抜いた。


オーガーの首が飛んだ。

※酔拳:「酔八仙拳」などに代表される中国武術。

 実際は酒に酔って使うことは無く、あたかも酔う形態を模したもの。


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