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異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
新版・第一章
13/29

1-13.竜騎士(本物)

「まずは俺やゼファのいた世界の話だな。

エル、宇宙連邦の事も全部話していいんだよな?

「もち大丈夫よ!」

「ちゅーれん、ぷー?」

「話しながらそれはまたな」


ゼファが顎に手を当てて考えている。

「まず、頭を空にして受け入れてくれ」

うなずくゼファ。



「俺がここに来るまでの話をする。

色々ごまかしててごめん・・・今から話すことが全て事実だ」


女性陣にまずは、ここと俺達のいた世界の違いを。

宇宙という場所が空の外側に存在する事だけはまず説明する。

伝えるのは難しいが、異世界の存在はゼファを通じ知ってるのが救いだ。


ここでホログラムの登場だ。

これで、バンティとヤリマは夜空の外の世界をイメージできる。

ゼファも宇宙連邦や地球外テクノロジーの存在をまずは信じるだろう。

そもそも、一部だがガジェットの力を見ているし。

難点はまさに “魔法と見分けがつかない” 事だったりするが・・・。



以前とは逆に、画像は地球の公園から空撮画面へ。

更に日本という国の全体、青い海や大陸から球形の地球へズームアウト。

徐々に人類の知る宇宙全体へ。

説明するつもりが、俺まで映画感覚で見てしまった。

まあ、映像そのまま受け入れてもらえれば助かるが。



観測可能宇宙に点在する赤い粒。

俺が受けた説明を彼ら向けに考えつつ話す。


宇宙連邦の存在と行動原則。

敵対勢力、というかある欲望意思の侵攻。

これらは規模が違うだけで、この世界になぞらえて説明できる。

まさに『魔王』の侵略だからな・・・。



そして、連邦未加入の地球への秘密に近い支援。

それがガジェットの機能、いわゆる宇宙テクノロジーである事。


3人の理解にかかわらず、続けて機能の説明を続ける。

理解できなくとも、魔法のような技術の存在を知ってくれればいいのだ。

凄さは伝わっただろう、感知・守備・機動性に関しては。

特にゼファには。



そして、俺が【生きたまま】この世界に飛ばされ今の状況だという事。

信じてくれるか不安もあったが、俺が嘘をつく理由もないよな。

それだけで十分だと分かった。



「ありがとう、最初に感じた違和感が全部解けたよ。

魔道具を操るジャージの剣士か・・・」

「暗記したのでいつでもテスト受けられます」

「がんばれちきゅう、まけるなちきゅう」



「エルまたね」「エルばいばい」

「ばいばーい」

女性達が先に自室へ、軽く一時間は話したな。

明日はゆっくり起き、俺の体調を見て予定は決める事に。


「一緒に酒を買いに行くか? 2人なら自然だからな」

「ああ、助かるよ」

エルは待機状態、呼べば出てくるそうだ。

ガジェットはずっと時計表示されている。


食堂は暗くなり飲み屋になっていた。

度数の高い蒸留酒を2本選び、部屋で飲もうと言い持ち帰る。

グラスもわざわざ2個買った。

通路で全てストレージに入れ、ゼファと別れた。



寝る前に飲んでみる、もしもの酔いに備えエルを呼んでおく。

最近初めて飲み、本来急性中毒等起こしかねないのだ。


「しかし、初日から飲んでたが気づかなかったのか?」

「解析に全リソースを回してて、吸収の再調整ができなかったみたい。

再起動で栄養欠乏が起きて、補充の必要に迫られてやっと気づいたの」

「もしかして地球でも気づいてなかったり・・・」

「どうかなあ」


強い酒だ、グラス数分の一注ぎ、ちょびちょび飲み込む。

「あー、ぜんぜん少ないね。

もう代謝制御も干渉できるから、体には全く影響無いから。

ごくごく飲んでみて、もしものときは吐き出せるし」

なるほど、表示は消えているが今は必要なら使えるのか。

いや、吐いたら大変・・・ストレージで何とかなるか。

グラス一杯注ぎ、一気に飲み込む。


「ふむふむ、食事の比較にならない程効率いいね、すぐ吸収できるし。

満量には程遠いからどんどん飲んでみて。

体の負担を減らせるし、今日の消費分も体に回せそう。

純粋な栄養でね」

舌で苦味は感じるが、ただの水分補給だな。

一本で腹がタポタポになってしまった。


「そうか、いくら酔わなくても限界があるよね。

おねしょしないように、また明日にしましょ」

「しねえよ!」


ストレージに収納すると瓶の僅かな残りとグラスの汚れを分離できた。

汚れはどこかで捨てよう、残りは次の瓶に足す。

超貧乏くさいが、やらずにいられない・・・。



酔ってはいないが、満腹感に満たされ、眠くなった・・・。


夜中、尿意で目が覚めた。

今度はもっと早めに飲もう。




~~~~~~~~~~~~




「ああ、全く問題無いよ。

あのあと飲んだのが効いたみたい。

起きがけにも飲んできた、水分補給も兼ねて」

「おい、一応聞くが大丈夫なんだよな」

「解析を速く済ませたいし、いざという時に備えたいんだ。

聞いたとおり、『代謝制御』もあるから全く問題無い。

まだ貯められる全体量の1%にも満たないそうだ。

体に負担が来ないよう、今まで切り詰めてたんだな」

(そうそう)


「夜だけじゃ駄目・・・なんだよな?」

「一気に飲むと腹タポタポになるからな。それが難点だ。

他の補給源が見つかるまで、ちょこちょこ飲み続ける事にするよ。

酒屋を知ってたら教えて、分散して大量に買うから」

(ナイス!)


他の2人はあの後の事を知らず顔を見合わせていたが、気づいたよう。


エルに目覚ましも頼まず、バンティが起こしに来るまで寝たので昼前だ。

体調の悪さは一時的だったようで、睡眠も十分で更にばっちりだ。

ただ時間的に半端でどうするか迷う。


「まず飯を食うか。

昨日の今日だがギルドの情報も確認しよう」

リーダーのゼファが判断した。

頼りになるがどこか抜けてることもある。

まあそれを言うなら全員か。

俺がチャンピオンかもしれないな・・・。



ぎりぎり昼前にギルドに着いた。

貼り出された情報を見ていると昨日の『竜騎士』メンバーが入ってきた。


「コウさんおはようございます!」

きょうつけ(気をつけ?)の姿勢のチルだ。

もう昼なのに芸能人か。

キラキラした目で真っ直ぐ見てくる。

どう見ても男だからな、体型が。まあ、美少年系だが。

「・・・おはよう」


聞くと、ゆっくり寝てると時間が惜しいから、狩場で飯を食うそうだ。

早く起きろ!

全員良さげな装備なんだが。

オーク1匹で1日10シルバー(約2万円)、4人ではぎりぎりか。

で、よく聞くと実は儲けの大半は商隊の護衛だと言う。

感知で迂回出来て楽だそう、回避率100%で実入りは良いと言う。

昔の事は知らないが、今は半引きこもり集団といった所か?

「いつ『竜騎士』になるんだ?」

「あくまで『竜騎士』はもくひょー!ここころざしはたかく!」

文字数とか、数多くのツッコミを我慢。




「呼びましたか?」

男が職員のいる仕切り内から出てきた、ラミアさんが追ってくる。

帽子にマントで装備は隠れている、渋いが結構若そうだ。

「ごめんなさーい!」

チルの姿があっという間に消えた、さすがアサシン。



「一応竜騎士です、ワイバーンですが」

彼の見る方向、中庭にそれらしき黒い生き物がいる。

首が長めで胴体はでかい馬くらいの竜だな。

「チルさん達が話してたので待ってられたんですよ。

ロライナ支部から駆けつけて来たシェーン審議官です」


「早速魔物は拝見しました。

あ、倒したのはあなたで間違いないですね?」

「はい、コウです」


「しかし・・・驚きですよ。

足の切断面や大きさから少なくとも数百歳の“エルダー”クラスですね。

“アーク”以上がデーモンスパイダーと言われんですが、それ以上です。

ドラゴンと比べれば硬さで劣っても速度は相当勝るはず。

例外的に無試験でAランクを認めたい位です。

クラス報奨も間違い無いですが、都合上待って頂くことになります。

それより、今回の予想外の出現に調査団が組まれるはずです。

是非協力願います」

「ええ、可能な限りは・・・」


「そうだ、剣を失ったそうですが」

鞄から何か取り出す。

手品のように伸びる、魔法鞄だ。取り出したのは剣。

結講沢山の人が見てるんだが。

「剣は使い方次第です。

これは死蔵してたもので、自動再生程度しか付いてませんが。

末永いお付き合いの印に」

思わず受け取るが、昨日砕けた剣よりも二回り程大きい。

『剣技』があれば問題無い、というかこの大きさ・重さがしっくりする。

「でも、こんなものをどうして俺、私に」

「私は味方、とだけ言っておきます。

ではまた」


シェーンさんはすぐに引っ込み、ギルド内部へ消えた。

彼は直近の大ギルド――馬車なら数日かかるが――にいる幹部であり試験官でもある超有名人だった。

魔法鞄など普通だし、ワイバーンで飛び回るのもいつもの事だそうだ。



コウ達を遠巻きに見るものは多い。

だが実際近づく者はさっきのチルやギルド職員くらいだ。

誰にも邪魔されず颯爽とギルドを出る。


「しかし、ラッキーだったな。いや、コウの功績を考えれば当然か」

「驚くばかりで何と言えばいいのでしょう」

「よかったねー」

(この人ちょっとキャラ被り・・・)

「そうだエル、レーダーだけいつも普通に使えないか?

それと、仲間内ではこんな感じで話すよ。

分かりにくいからな」

(人がいるときはこっちはこのままね、しっかり補給よろしく!)

「レーダーが使えるようになった、ゼファ被っててごめん」

「稼ぎや安全に関わるからな、俺は他に集中できる。頼んだぞ」


ストレージ内でグラス一杯蒸留酒を注ぎ、鎧の胸から取り出す。

一気に飲み干す。

「酒屋にも寄らないとな」


まったく、おかしな冒険だ。

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