表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の宇宙連邦?剣士  作者: 炉里邪那胃(惰眠狼)
新版・第一章
10/29

1-10.それぞれのスキル

ゼファのこちらでの生まれは中層の家庭だったそうだ。

父は木工職人で学校にも通えた。

かなり恵まれた方だそうだ。


喧嘩は滅法強かった。

素早く、ほぼ怪我もせず、待ち伏せられても必ず撃退した。

それらっていちいちスキルっぽい感じだな・・・。


貴族のツテも無く、騎士になる事は考えなかったそうだ。

友人からそういう貴族社会の事情をたっぷり聞かされたそうな。

完全実力本位の冒険者を目指した。

そもそも、生まれた瞬間からそう思っていたのだ。

剣の道場にも通った。

まがりなりにも、剣の鍛錬はずっと続けたようだ。


やがて実際冒険者となったが・・・。

誰も信用せず、転生スキルを最大限利用し単独で地力を上げた。

一人では危険? いや、ある意味逆。

冒険者になり、片腕を失い帰って来た先輩がいた。

彼に冒険者の世界の裏側を聞かされたのだ。


やがて外れ者のバンティとやリマを入れ、大事に育てた。

やっと今回、コウのような才能を潰さぬよう拾い上げたのだ。




それから、『剣技』の話へと。

地味だが本質を表すような名称。

これを自ら獲得できる者がいるらしい。

達人と呼ばれるような人達だ。

ギルドでは『剣技』持ちは残れれば大成すると言ったが実は逆だ。

剣を極め、肉体や感覚の強化にまで至ることが元々の『剣技』だ。


それを生まれながらに持てるのが転生者という存在なのだが・・・。


転生者の貰うギフト、つまりスキルは容量が一定分しか貰えない。

だが、転生の担当おねえさんはマニュアル依存である。

「強力なほど容量が大」という定型文しか教えてくれなかった。


膨大な種類の中に混ざった『剣技』というスキル。

多くは単純そうな名前なので無視してしまう。

『剣技』を持つ者がレアな理由だ。


ヤリマが言ったように、ゼファには「転生者の繋がり」がある。

この世界に生まれればあちらの文化を語ることはもう意味が無い。

なぜか一部の人気アニメの同好会や同人誌はあるそうだが・・・。

メインはギフトスキルの情報交換。

それにより、スキルの隠れた情報や使い方を知ることもあるらしい。




現に、俺自身2つしかスキルは持っていない。

ガジェットのおかげで、効能を知るというチートが使えたのだ。

ストレージ(インベントリ)の「複製」機能は聞くまで忘れてたが。


ゼファの話は、『剣技』の本質を少しでも伝えたかったからだろう。

俺は【剣の技術と肉体強化】と知って、総合力重視で選んだが。

容量が満杯だったのは『インベントリ』のせいと思っていた。

両方多い可能性もあるが。

特に『インベントリ』は見逃せなかったんだよな・・・。




ゼファが続ける。

「『剣技』は話として知っていたし、凄さはある程度は予想はしてたが・・・。

恩恵だが、ゲームとかのレベルで例えればコウは俺らの三分の一も無いはず。

それなのに・・・。

俺の切れ味重視の剣ならともかく、市販の西洋剣で魔物一刀両断だからな。

寸止めとか決めてなかったから、ラッシュされて焦ったよ。

朝もだったが、俺はいつも詰めが甘いな。すまん」


「いや、ヤリマがヒールで分かったらしいが実質ダメージ無かったし。

スポーツもろくにやったこと無くて、剣の試合なんて初めてで。

最後は調子に乗ってた、アレが来るのは分かってたのに」

「『剣技』は肉体強化も凄いよな、俺の『頑強』形無しだ」


「それ・・・バラしていいのか? 話で予想はしてたが・・・」

「この話を始めた瞬間から言うつもりでいたよ。

一緒に戦うのに、庇うべき順位にも関わる大事なことだ。

あとは『迅速』な、見た通り瞬間的な速度強化だ。

ただし、感覚で修正はできるがほぼ決めた動きにならざるをえない」


俺も言っておくことにしよう。

「持ってるのは『剣技』と『インベントリ』、あ、簡単にストレージでいい。

誰かに『弁当なんとか』って言われそうだし。

2つで打ち止めだった」


「いんべんとーってちゃんと言いましたよ!」

「言えてないしー」




話は長くなったが・・・

思わぬミスというかアクシデントをきっかけに結構色んな事を聞けた。

お互いに大事なスキルの内容まで教え合った。

転生・転移者同士ならではの事だ。

たった一日だが、少なくともゼファとは結構打ち解けたかもしれない。



お互いに気持ちを落ち着けてから、再び寸止めの対練へ。

ちなみに先程最初に使った『迅速』は手加減したので俺に受けられた。

なので、二度目の中段突きは要治癒覚悟で本気だったそうだ。


今も木剣同士打ち合っているが、切れ味重視の剣なら欠けてしまう。

また実際の戦闘では初撃以外、受けたり避けたりというのは有り得ないという。

うまく鎧が機能しない限り、一撃で戦闘不能か絶命するのが常なのだ。

実力差があれば特に。


そこはまずは置いておき、総合的な動きに慣れる事がメインだ。

剣の型や捌き方は入門経験のあるゼファが改めて教えてくれるそうだ。






「ほんとにラッキーだったわね。

正直、会う前から不安だったし、道具が壊れて自信が無いって、どうなるかと」

バンティだ、正直に言ってくれて助かる。


対練が終わり基礎的な型を習った後は、皆と同じように装備の汚れ落としや剣を含む毎日の整備など、一緒にいるだけで何でも分かった。

剣の基本整備は教えてもらったが、ゼファのは特別には必要ないらしい。



今は4人で夕食のテーブルを囲んでいる。

Cランクパーティーともなると、軽く挨拶はされるもののすぐ側に陣取るものはいない。

ここが決して大きくない町ということもあり、それなりに尊敬されるランクだ。


最初の乾杯の一杯だけは付き合うことに決めた。

昨日知ったが、リラックスし正直な言葉も出てくるようだ。


「ラッキーなのは俺の方だよ、本当にありがとう。

マジ落ち込んで何をしていいか分からなかったんだから。

アレの凄さも自覚なかったし、べんとう入れの事も助かって夢みたいだ」

『アレ』と『べんとう入れ』は何となく決めたスキルの暗号だ。

ヤリマのお手柄だが、本人は嫌がってると思う。

実際明日から本当に「みんなの弁当入れ」としての役目を果たす予定だ。


「何書いてるんです?」

「質問したいことを思いついたらメモしてる。

うちの田舎の常識でどこででも聞くとまずそうな事もあるし。

休みにでも本のあるとこに行くけど、聞くのが早いだろうし」

さっき『神に感謝』と言おうとして、色々あるとまずいのでメモった。

あ、魔物の肉の事を聞こうと思ってた。

これは気軽に聞いても大丈夫だろう。


「いつもギルドが買い取ってくれる魔物の肉ってなんか特別?」

「強い魔物ほどアレに効くって言われてますよ。

買うのはほぼ貴族や金持ちですけど。

特に美味しいわけではないですが、ドラゴンとかだとこう、グワッと」

握り拳をぐぐっと持ち上げるヤリマ。

「あっこれは医術で習ったのを真似ただけで。

男性器がこんなになるなんて知りませんから」

なるほど、余計な常識も沢山知ってて頼りになりそうだ・・・。


「ドラゴンは知性もあると言われてて、魔物と区別されるけどねー」

「ですね、魔物と言うと怒られる事もありますね。信仰対象ですんで。

あ、あと貴族は単にスケベなだけでなく、子を残すのも仕事らしいんで」

後は例によってかっこいい冒険者の噂に終始した。

ゼファは対練のことを考えているのか無口だ。


ステーキはいつも付いているようで、やはりうまい。

一杯だけ飲み、リラックスして楽しむのもいいな。

肩肘を張りすぎていたかも・・・。





一人の部屋。

彼らくらいになると余裕もあり、一人の時間も持つようにしているらしい。


横になる前に、ジャージは着たまま収納、寝間着に早着替え。

昨晩思いついたが、2回目にして着る方も成功だ。

それはいいが、『複製』の事が気になる。

恐らくだが「無」からのコピーは無理だろうな。

原料次第で・・・ジャージ型の鎧とかできるんじゃないか。

想像は広がる。


ベッドに横たわるとエルの事をどうしても思い出す。

ガジェット、というよりエルの存在が大きかった気がする。

ぽっかり穴が空いたようだ。

『剣技』で前に進む目処(めど)が立ったからでもあるが。

自分自身、現金なものだと思うがそれが現実だ。


エルに会うためにはガジェットの修理か充電(?)が必要だが。

いや、それよりも元の現代に帰れれば済むんだ。

まずはそのための前進、具体的には有名になることか。


他には・・・色々な地域に行って・・・。


いや、そのためにはまず。

知識か・・・

■「読みました」の一言でいいのでツイッター感覚で感想くださいw

とりあえず ブックマーク してもらえれば無上の喜びです!

いくつでもいいので★よろしく

           ↓  ↓  ↓

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ