第九話 〜冥界に走る一閃の光〜
この作品は東方projectの二次創作作品です
既存キャラとオリキャラとの絡みが多々あります
妖夢に呼ばれて再び客間に来た。既に夕飯はテーブルに置かれていた。メニューはご飯、味噌汁、きゅうりの漬け物、焼き魚。妖夢も同じメニューだ。が、幽々子だけは違った。全体的に量がかなり多い。
「では、いただきましょうか♪」
「あの、その量を一人で食べるんですか?」
「そうよ?変?」
驚く莉音の隣から妖夢が呟く。
「毎日これですよ…」
妖夢が苦労人というのが伝わる。この量を一人で用意するのだから大変なわけが無い。
「さ、早く食べましょ?」
「そうですね。ご飯が冷めてしまいますし」
「じゃ、いただきま〜す」
幽々子に続いて妖夢、莉音も挨拶をして食事を始めた。味付けも良く、とても美味しい。
「妖夢さんって料理上手なんですね」
「でしょう?料理には自信があるんです」
「たまに失敗するけどね。特に朝」
幽々子のツッコミに妖夢は表情を曇らす。
「…あれまだ覚えてるんですか?」
「えぇ。だってお魚が甘いのよ?忘れるわけないじゃない」
「甘い?どういうことですか?」
「あのね〜前に妖夢が──」
「わあぁ!待ってくださいぃ!!」
妖夢が止めようとするが幽々子は動じず話した。朝食の焼き魚に塩ではなく砂糖を振ってしまったらしい。
「ね?面白いでしょ?」
「は、はぁ…」
「うぅ…ひどいです幽々子様…」
相当な黒歴史なようだ。
その後も妖夢の失敗談を幽々子が話したが、莉音は笑っていいのかわからず、結局曖昧な反応をしながら話を聞いていた。妖夢はジワジワ精神的ダメージをくらっている様子だった。
食事が終わり、部屋でくつろいでいると、妖夢に外から声をかけられた。
「莉音さーん。お風呂ができましたよー」
「あ、わかりましたー」
着替えを持って部屋を出る。妖夢に案内されて風呂場へ移動した。
「ここのお風呂は一つなんですか?」
「はい。まぁ、幽々子様と私しか住んでないので」
「なるほど…」
「では、私はお布団敷いてきますね。ゆっくり入っててください」
そう言って妖夢は部屋に向かった。莉音は脱衣場に入って服を脱ぎ、風呂場に入った。檜作りの風呂場で、とてもいい雰囲気だ。
莉音は頭と体を洗い、浴槽に浸かった。窓からは月が見える。綺麗な満月が見える。月を見ながら風呂を楽しんでいると、背後から戸が開く音が聞こえた。見ると、バスタオルを巻いた妖夢が立っていた。
「えっ!?」
「幽々子様に交流を深めなさいと言われたので。女同士ですし、大丈夫ですよね」
桶にお湯を汲み、自分の体にかける。
「ちょっと待ってください!!」
「な、何をそんなに慌ててるんですか?」
「僕男ですから!!」
「えっ!?」
そのままお互いに硬直。妖夢はすごく驚いた表情をしていた。
「え…なんで…」
「なんでって言われましても…」
「でも、もう掛け湯しちゃいましたし…」
「…」
「や、やむを得ません!こちらはタオルを巻いたまま入りますから」
「あ、ありがとうございます…」
妖夢はタオルを巻いたまま湯に浸かった。莉音もタオルを下半身に巻いた。
「あの…本当に男なんですか?」
「はい…」
「…にしてそう見えませんよ」
「そうですか…具体的にどこ辺りが女に見えます?」
「え、えーっと…髪の長さ、ですかね」
「髪…」
「あとは、顔つき…?」
「顔つき…」
自分でおかしいと思わなかった部分が原因であることが分かった。
「紫さんはなんで性別について幽々子様に伝えなかったんですかね…」
「忘れていたんじゃないですか?」
「いや、あの人のことですし、わかってて面白がって教えなかった可能性も…」
「やっぱり紫さんって変な人なんですね」
「変な人…というかつかめない人ですね」
だいぶこの状況に慣れてきて、妖夢とも普通に話ができるようになった。妖夢と話をしながら長湯を楽しみ、上がってからは、莉音の部屋の前で一緒にお酒を飲んだ。
「口にあいますか?」
「はい。美味しいですよ」
「それは良かった。飲み過ぎには注意ですよ」
涼みながら雑談をしていると、妖夢が幽々子に呼ばれたのでそれでお開きになった。莉音も寝る準備をして、明日に備えて寝ることにした。
次の日、白玉楼の庭で妖夢と莉音は特訓を始めた。
「手に妖力をまとめて打つ…って感じでいいのかな?半妖なら」
「とにかくやってみます」
妖夢に言われた通りにやってみる。しかし、雷は打てず、静電気くらいの強さの雷が出ただけだった。
「まだ雷は微弱ですね。でも、特訓を積めばきっと上手くいきますよ」
「はい!」
莉音は妖夢の言葉を信じ、ひたすらに特訓を重ねた。
そして特訓開始から一週間…
「なぜ…」
「私にもわかりませんよ…」
あれから進歩は無かった。あらゆる方法を試したがそれも効果は無かった。
「才能無いんでしょうかね…」
「しかし、半分は雷獣ですし…雷は出せるとは思うんですけどね…実際微弱ですが雷出せてますし」
「じゃあ何が…」
二人で悩んでいると、幽々子が声をかけてきた
「それ、右手でやってるからじゃないかしら」
「え?」
「幽々子様、それはどういう…」
意味が全くわかっていない二人に幽々子は説明を始めた。
「莉音、あなたは半人半妖でも少し特殊なの」
「特殊?」
「えぇ。人間と雷獣の力が混ざりきってなくて、半々に別れているの。つまり、体の左右で雷獣としての力に大きな差があるのよ」
「そんなのって…」
「私も初めてよ」
「でも、なんで半々で力が違うってわかるんですか?」
「あなたから感じ取れる妖気は左半身からの方が圧倒的に強いのよ。だから、今度は左手でやってみなさい。やり方は今まで通りにね」
「わかりました」
半信半疑だったが、とりあえずやってみることにした。左手に妖力を集中させ、一気に放つ。
「はぁっ!!」
すると、眩い光と共に一閃の雷が白玉楼の庭を横切った。
「…」
莉音も妖夢も唖然としている。
「ほら、できたじゃない」
「あの、幽々子様、庭が…」
「気にしないの」
そう言って幽々子は莉音の方を向く。
「莉音、合格よ。この威力なら、そこら辺の妖怪から身を守るには充分だわ」
「こんなに大胆に使っていいんですか…」
「いいじゃない。あなたの力なんだから。男の子らしく豪快に使っちゃいなさい」
「あっ!幽々子さんは性別間違いませんでしたね」
「えぇ。だって、あなた達のお風呂でのやり取り聞いてたから」
「えっ!?」
「はっ!?」
半人の二人がほぼ同時に驚く。
「ゆ、幽々子様…盗み聞きとははしたないですよ…」
「聞こえてきちゃったから仕方ないわ」
「そんなに大きな声で騒いでいない気が…」
「あーはいはい莉音、無駄なこと言わなーい」
「やはり盗み聞きを!?」
「妖夢、今夜は寝る前に怪談聞かせてあげましょうか?」
「う…」
「莉音も」
「えっ!?」
「ふふっ…冗談よ、冗談」
半人二人を制すると、幽々子は話を続けた。
「ま、そういう訳で、あなたは明日ここを出ることになるわね。次に向かう場所は把握できてる?」
「確か…永遠亭…って書いてあった気がします」
「あぁ、そこね。なら、竹林の中にあるわ。竹林を探して飛べば早いわよ」
「竹林…ですか」
「えぇ。でも、迷いやすいから気をつけるのよ」
「はい…」
迷いやすい、この言葉に少し不安を覚えたが、今の自分は飛行もできるしそう簡単には迷わない。そう思っていた…
どうも、作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第九話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。修行回…というよりは日常回な気がしてきました…
今回は白玉楼でのお話の続きでした。修行よりは幽々子と妖夢との絡みがメイン、妖夢とは半人同士仲良くして欲しいんです。幽々子には軽く振り回される感じになりました。
そして遂に雷の扱いを習得しましたね。半身で力が違うというのは無理あるような感じがしましたが…まぁ、雷獣ですし…
次回は永遠亭道中のお話です。迷いの竹林の中にある永遠亭を目指して莉音くんは竹林内を歩きます。無事にたどり着けるのか…次回もよろしくお願いします〜




