第七話 〜霊が集う異界〜
この作品は東方projectの二次創作作品です
既存キャラとオリキャラとの絡みが多々あります
今回から冥界、白玉楼でのお話になります
飛び始めてからしばらく経った。が、まだ冥界には入れていない。そもそもどこから飛べばいいのか、目印はあるか、それを聞いていない。幻想郷の空を宛もなく飛び回っていては冥界到達は何日後になるのやら…そんなこと考えながらただひたすらに上へ飛んでいると、急に地面にぶつかった。
「…?」
腹這いの姿勢から立ち上がり、辺りを見渡した。自然豊かで、明るい雰囲気の場所だ。ついに冥界に入ることができたのだ。目の前には緩やかだが、長い石階段もある。レミリアの言う通りならこの先にここの住人が居るはず。莉音は階段を上り始めた。
ふと上を見上げると、白い球体が沢山浮いていた。その球体はただフワフワ浮いているだけ。見たことがない不思議な光景に見とれて歩いていると、階段を踏み外してしまった
「あっ!?」
そのまま前に転んでしまった。幸い倒れた場所は踊り場のような平たい場所だった為、膝を擦りむいただけで大きな怪我はしなかった。
「う…痛…」
立ち上がり、袴や道着をポンポンと軽く祓い、再び歩き出した。今度は前をしっかり見て…
階段を上り始めてからしばらく経った。いい加減足が疲れてきた。そんな時、自分が飛べることを思い出した。なぜ今まで飛ばなかったのか自分でもわからない。飛んでいけば転ばずに済んだのか、そんなことも考えながらトンッと軽くジャンプし、宙に浮いた。少し高度を上げると、池の畔に和風な建物が建ってるのが見えた。あれが次の目的地、そう確信し、建物に向かって飛び始めた。
門の前に着いた。紅魔館のとは違い木製の門だ。鍵は開いている。莉音は門を少し開け、中を覗き込んだ。誰も居ない…というか見当たらない。とりあえず中に入ってみることにした。
「ごめんくださーい…」
そう呟いて門の内側へ。目の前にある立派なお屋敷の前に立ち、大きな声で呼んでみた。
「すみませーん!誰かいませんかー!?」
壁が厚い訳でもなさそうなので声は通ると思ったが、反応は全く無し。留守なら仕方ない。とりあえず引き返そうと思ったその時、後ろから声をかけられた。
「誰ですか?」
「わあぁぁ!?」
驚いて後ろを振り向く。そこには緑の服を着た少女が立っていた。
「あなた、何者ですか?」
「えっと…僕は…」
莉音は紫に課せられた使命について、その目的地の一つがここ、冥界の白玉楼であることを伝えた。
「半人半妖の地位の確立…そのためにあなたは幻想郷を巡っている…と」
「はい」
「半人半妖…なんだか親近感が湧きますね」
「…?では、あなたも…?」
「あぁ、自己紹介がまだでしたね。私は魂魄妖夢といいます。半人半霊です」
「半人半霊!あなたがレミリアさんが言っていた!」
「ん?紅魔館にも行ったんですか?」
「はい。そこで空の飛び方を教わりました」
そんな会話をしていると、お屋敷の方から声がした。
「妖夢〜何かあったの〜?」
「あ、幽々子様」
「あら、お客さん?」
見ると、水色の着物を着た女の人がいた。
「はじめまして。半人半妖の駆雷莉音です」
「あぁ、じゃあ、あなたが紫が言っていた…」
紫から既に話は聞いているような感じだ。
「あの、紫さんとは何か関わりが?」
「えぇ。紫は私の親友よ」
「はぁ。そうだったんですね」
「そうなの。私は西行寺幽々子、ここの主よ。紫から話は聞いているわ。可愛らしい半人半妖さんが白玉楼に来るだろうって」
紫に少しからかわれている気がした。男に対して『可愛らしい』って…
「とにかく、話は中で聞くわ。私についてきて。妖夢、お茶とお菓子を用意してね」
「はい。分かりました」
そのまま客間に通された。テーブルを挟んで幽々子と向かい合わせに座った。
「それにしても、よく冥界に入れたわね」
「レミリアさんに冥界は雲の上にあると言われたので。ひたすら飛んでいたら入れました」
「なんだか大雑把な情報ね…でも、結果たどり着けたし大丈夫ね…」
妖夢がお茶とお菓子を持ってきた。お菓子の量がやたらと多い気がする。幽々子は早速饅頭に手を伸ばした。
「そういえば、あなたが半人半妖なのは聞いているけど、半妖の部分はなんの妖怪なの?」
「雷獣です」
「雷獣…なるほど、結構力が強い妖怪ね」
そんな話をしながらも饅頭を食べるのはやめない。既に三つ食べていた。
「あの、自分自身雷獣がどんな妖怪かよくわからないのですが…」
「あら、そうだったの?」
「はい…紅魔館でも聞きそびれてしまって」
「ふーん。じゃあ、私が説明してあげるわ」
既に饅頭残り二つになっていた。なぜお菓子の量が多いのか少し分かった気がする。
「雷獣は字のごとく、雷を扱える妖怪よ。雷と共に現れることが多いわ。伝説によれば、雷獣の雷の近くにいた人間は気がふれることが多いそうよ。それは雷獣のもつ毒によるものであり──」
幽々子の説明は約十分続いた。莉音は黙って聞き、妖夢は幽々子の横に座りながらうたた寝をしていた。
「まぁ、簡単にまとめると、雷獣は昔の日本の妖怪、雷を扱えるわ」
「ということは…」
「あなたも努力次第では雷を扱えるようになるかもね」
思ったより強力な力な気がしてきた。扱いに気をつけなければ周りに迷惑をかけてしまう…
「それと、雷獣の好物はトウモロコシね」
「?」
聞いたことがない名前だった。
「あら?知らない?」
「はい…」
「じゃあ、今から用意してあげるわ。妖夢」
そう言って隣の妖夢を突っつく
「ふぁう!?起きてまふよ!」
「寝てたじゃない…寝起きのとこ悪いけど、庭の畑からトウモロコシ一つ採ってきてくれない?」
「トウモロコシですか。わかりました」
そう言って妖夢は立ち上がり、刀を一本持って部屋を出た。
「そういえばあなた、身を守る手段はあるの?」
幽々子が尋ねた。
「身を守る手段ですか…特にこれといっては…」
「ふむ…じゃあ、ここで身につけることも決まったわね」
「え?」
「紫に言われたの。何か学習させてから出発させなさいって」
「そうなんですか。それで、僕は何を学べば…」
「んー…妖夢が戻ってきたら教えるわ」
「えぇ…」
莉音の様子を見て幽々子はふふっと笑う。幽々子は皿の上にある最後のお菓子、カステラを口に運んだ。莉音もお茶を一口飲む。部屋を通り抜ける風が涼しい。その風と妖夢が淹れたお茶を楽しみながら妖夢が戻ってくるのを待った。
どうも、作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第七話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。シナリオは浮かぶのに文章力が追いつかない…
さて、今回から冥界でのお話に入りました。この作品での冥界ですが、かなり自然豊かです。暗い空間に霊が漂ってるって訳では無いです。そこで半人半霊の妖夢と亡霊の幽々子に出会いました。妖夢とは半人同士、仲良くやってほしいですね。
次回は白玉楼での特訓のお話になります。先に言いますが、咲夜さんみたいな荒修行をしたりはしません。冥界という異界の地で莉音は無事特訓を終えることができるのか…
次回もよろしくお願いします〜




