第五話 〜メイドの特訓〜
この作品は東方projectの二次創作作品です
既存キャラとオリキャラとの絡みが多々あります
飛べない莉音が冥界に行く方法、レミリアに提案されたのは、飛行能力を身につけてから紅魔館を出発することだった。
「えと…じゃあ、しばらくここに泊まり込みですか?」
「そうなるわね。不満?」
不満、というよりは慣れない場所に泊まることが不安でしかなかった。
「不満はありませんが…」
「ならいいじゃない。じゃあ、決まりね」
半ば強引に決まってしまった。が、結局飛行能力を身につけないと冥界には行けないから、好都合と言えば好都合だ。
「あぁ、それと、飛行能力を身につけるための特訓だけど…咲夜、あなたが教えなさい」
「え?私で大丈夫ですか?」
「きっと大丈夫よ。莉音も咲夜を信用している…そうでしょ?」
「はい」
今のところ、咲夜だけが安心して接することができる人間だ。
「じゃあいいわね。咲夜、明日から初めてちょうだい」
「かしこまりました」
「うん、じゃあ莉音は今日はゆっくり休みなさい。咲夜、後はよろしくね」
「はい。では、莉音さん、私についてきてください。」
咲夜の後ろに続くようにして莉音も退室した。移動中、また無言で歩くかと思ったが、咲夜の方から声をかけてきた。
「もう怖くないですか?」
「あ、はい。もう大丈夫です」
「それはよかったわ」
そう言って微笑む。莉音はその笑顔のおかげで安心できた。
その後は、紅魔館のことについて咲夜に話をされた。紅魔館が広いのは咲夜が空間を拡張したから、というのも聞き、本当に人間か少し疑わしくなったが、自身が人間だというのだから人間なんだろうと考えていた。
そうこうしてる内に莉音が泊まる部屋の前に着いた。
「ここがあなたが泊まる部屋よ」
「わぁ」
中はベッドや机が置かれただけの簡素な感じだ。
「そこの扉の先にトイレや風呂があるわ」
「はい、わかりました」
「夕飯は後で持ってくるわ。後はゆっくり休んでなさい」
そう言って咲夜は部屋を出た。莉音はベッドに座った。
「フカフカだ…」
ボフン、とベッドに倒れ込む。ベッドを知らない莉音はテンションが上がった。今まで床で寝ていたものだから、柔らかいベッドで寝るなんて幸せでしかなかった。しばらくベッドを楽しんだ後、莉音は部屋の中のドアを開けた。向こうには綺麗なトイレと風呂、洗面台があった。風呂の蓋を開けると、お湯が張ってあった。手を入れてみると、ちょうどいい温度であることが分かった。
「ここで体を洗うのかな?」
体を洗ってなかった訳では無いが、風呂は使ったことがなかった。
バスルームから出て、何気なく机を見ると、なにかメモがあるのが目に止まった。見ると、部屋の設備について詳しく書かれていた。そのおかげで莉音は部屋の設備の正しい使い方を知ることができた。
「とりあえず、体を洗おうかな」
莉音はバスルームに入り、服を脱いで湯船に浸かった。温かくて疲れがとれていく。しばらくお風呂を楽しんだ後、替えの服に着替えてバスルームを出た。
くつろいでいると、扉がノックされた。向こうから「咲夜です。夕飯をお持ちしました」という声が聞こえた。扉を開けると、咲夜が夕飯を持って立っていた。
「夕飯を持ってきたわ。部屋の方はどう?」
「とても快適です!」
「それはよかったわ。じゃあ、夕飯はここに置いておくわね。食べ終わったら外のミニテーブルに置いておいて」
そう言って咲夜は夕飯を机に置いた。「明日から頑張りましょうね」と言って咲夜は部屋を出た。
莉音は椅子に座り、早速夕飯を食べた。メニューはご飯、味噌汁、焼き魚、ほうれん草のおひたしだ。どれもとても美味しく、すぐに完食してしまった。
咲夜に言われた通り、部屋の外のミニテーブルに食器をのせ、部屋に戻った。そして歯を磨き、またベッドの上でくつろぎ始めた。単にやることがないのと、ベッドの気持ちよさが合わさって、眠気が襲ってきた。莉音はそのまま眠りに落ちた。
「…さん…莉音さん」
次の日の朝、名前を呼ぶ声が聞こえ、目を覚ます
「んぅ…?」
目を開け、上を見上げると咲夜がいた。起こしに来たようだ。
「おはようございます莉音さん。朝ですよ」
「ふぁう…おはようございましゅ…」
目をこすりながら体を起こす。咲夜はそのまま話を続けた。
「朝食は机の上に置いてますからね。支度を整えたら部屋の外に来てください」
そう言って咲夜は部屋を出る。莉音は朝食を食べ、洗顔等を済ませてから部屋を出た。部屋の外で咲夜は待っていた。
「では、中庭に移動しましょう。そこで特訓しますので」
「はい。わかりました」
莉音は咲夜の後ろについて歩き出した。莉音にとっては広すぎるお屋敷、誰かの案内が無いと迷子は必至だ。
そして紅魔館の中庭に出た。花壇の花は綺麗に咲いており、手入れもしっかりしてある。真ん中には噴水がある。
「ではまず、どれくらいできるのか知りたいので、自分なりの飛び方をしてみてください」
自分なりの飛び方って…さっぱり分からなかった莉音は、とりあえず「飛べる…飛べる…」と心で念じ、ジャンプしてみた。が、飛べるわけなかった。
「うーん…まさか全く分からない…ですか?」
「はい…すいません…」
「じゃあ、初歩的なところからね。体が浮く感じを、想像できる?」
「…頑張ってみます」
とにかく体が浮く感じを想像してみた。が、体験したことがないので曖昧な感じになってしまう。
「なんか…曖昧な感じです…」
「なるほど…やっぱり体験が一番ね」
「え?」
どういう意味か聞こうとしたその時、いきなり周りの景色が変わった。中庭から紅いレンガの床に…さらに後ろには大きな時計もある。困惑する莉音を見て咲夜は言った。
「あぁ、まだ言ってなかったわね。実は私時を操れるの」
「時を…操る?」
「えぇ。と言っても停止がほとんどだけれど。今は、時を止めて、あなたを紅魔館の時計台に移動させたわ」
咲夜の「時間を操る程度の能力 」で時を止め、莉音を担いで時計台に移動したのだ。
「で…なぜ時計台に?」
「私はさっき、体験が一番って言ったわね」
「…まさか」
「ここから飛び降りてみなさい」
困惑しつつ莉音は端に行き、下を見下ろした。結構な高さがあり、落ちたらただでは済まない。
「…正気ですか?」
「これが最適よ?」
「そんな…」
咲夜は莉音に歩み寄り、真後ろに立った。
「怖いなら私が押してあげましょうか?」
「!?」
なぜそんな余裕のある表情でそんな恐ろしいことが言えるのかわからない。
「死んじゃいますよ!?」
「大丈夫よ。死にはしないわ」
「なんでそんなこと言えるんですか!?」
「うーん…メイドの勘?」
「巫山戯てるんですか!?」
「私は至って真面目よ?さ、早く飛びなさい」
「嫌ですよ!!だってこの高さ、絶対ただじゃ済みませんよ!!」
「つべこべ言わないでください」
「いやいや!本当に!お願いしますどうか別の方h…」
莉音が必死に説得する中、咲夜は莉音の胸を強く押した。莉音の体が宙に投げ出され、そのまま落ちていく。
「わあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
後ろ向きで落ちていく。未だに何が起こっているかわからず、ただ絶叫するだけだった。このまま落ちたら確実に死ぬ、そう思っていたが、地面に着くスレスレで莉音が感じたのはただ置かれる感覚だった。打ち付けられるわけでもなく、軽い衝撃が背中を襲っただけ。
「はぁ…はぁ……え…?」
体を起こすとさっき見た光景が見えた。つまり、また時計台の上にいたのだ。
「ね?死ななかったでしょう?」
咲夜が声をかけてきた。莉音が地面に打ち付けられるスレスレのタイミングで時を止め、また時計台に運んだのだ。
「で、どう?浮く感覚はわかった?」
「いえ…正直全く…」
「なら、もう一回ね」
「え!?」
どうやらこれを繰り返して感覚を掴むようだ。特訓に耐えれるか、初日から不安になってしまった…
どうも、作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第五話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。今回の件できっと咲夜さんは莉音くんをいじることに面白みを感じてしまった…かも
今回は紅魔館での特訓の話でした。飛行能力を身につけるために咲夜に特訓をつけてもらう莉音。だが、時計台から飛び降りるというハイリスクな方法に、初日から不安をおぼえてしまいました。サラッと恐ろしい方法を提案し、意見を求めない咲夜、似た人いたなぁ…意見は求めないおじさん…() ちなみに、紅魔館のメンバーは誰も莉音が男だと思ってません。女として見ています。いやぁよかったね、お風呂みんなが使う大浴場とかじゃなくて。
次回は特訓の続きです。無事に生きて飛行能力を身につけることができるのか…さらに、莉音が男であることが意外なことで紅魔館に知れ渡ります。みんな大好きEXボスのあの方や動かない大図書館も出てきます。次回もよろしくお願いします〜




