第四話 〜紅い屋敷の不思議な住人達〜
この作品は東方projectの二次創作作品です
既存キャラとオリキャラとの絡みが多々あります
「…」
莉音は無事に最初の目的地、紅魔館に到着した。真正面から見るとかなり立派に見える。そして、ルーミアに言われた通り、門番に要件を伝えようとしたのだが。
「スー…スー…」
「…寝てる?」
門の前にいたのは緑の服をオレンジ色の髪に少女。立ったまま下を向いて寝ているようだ。
「門番さん…なのかな?」
門番が居眠りしていて大丈夫なのか、とも思ったが、それより不安に思うことが莉音にはあった。
「この見た目…何の変哲もないただの人間じゃ…」
人間だとしたらあまり傍には居たくない。別の住人を探して中に入ろうと思った時、その少女は目を覚ました。
「んお…あっ!咲夜さん!?寝てませんよ!!」
どうやら寝ぼけているようだ。しかし、すぐに思考を戻す。
「あれ?咲夜さんじゃない?あ、お客さんですか?」
「はい、半人半妖の駆雷莉音です」
「駆雷莉音さんですね。あ、私は紅美鈴。妖怪です」
紅魔館の門番、美鈴が妖怪であることを知り安堵する。
「で、今日は紅魔館に何か用事ですか?」
「はい、実は…」
莉音は紫に課せられた使命について話した。
「ふむ、半人半妖の地位の確立…それで幻想郷を巡る…と」
「はい。その最初の目的地が紅魔館なんです」
「なるほど、わかりました。この件をお嬢様に伝えてくるので、ちょっと待っていてください」
そう言って美鈴は紅魔館の中に走っていった。お嬢様ってことは、ここの主?じゃあ、吸血鬼って女?等と考えているうちに美鈴は帰ってきた。
「お待たせしました!」
「!?は、早いですね…」
「えぇ、お客さんを待たせる訳にはいきませんから。では、お嬢様の所に案内しますね」
どうやら中に入れるようだ。美鈴の後ろに続いて莉音も歩く。
中は絨毯が敷かれており、豪華な雰囲気だ。窓は確かに少なかったが、火が灯された燭台が並んでるおかげで暗くはない。そんな中を美鈴の後に続いて莉音は歩く。上手くやれるか、無礼を働かないか、そんな不安な気持ちもあった。そのせいか、移動中は終始無言。美鈴と話す余裕なんて無かった。
そして、大きな扉の前で美鈴は止まった。
「この中にお嬢様が居ます。入る準備はできてますか?」
「ハ、ハイ…ダイジョウブ…デス…」
「緊張でガチガチじゃないですか…深呼吸して気分を落ち着けましょうか」
美鈴に言われた通り、莉音は深呼吸をした。少しだけ気分が和らいだ。
「ふぅ…ありがとうございます。落ち着けました」
「それはよかった。では、入りますよ?」
「はい」
美鈴は扉をノックし「美鈴です。お客様を連れてきました」と言うと中から「入りなさい」と返答があった。そして扉を開けた。広い部屋の奥にある椅子に一人の少女が腰掛けているのが見えた。
美鈴に続いて中に入る。そのまま真っ直ぐ歩いていき、少女の前で止まった
「あ、あの…半人半妖の駆雷莉音といいます…よろしく…お願いします…」
「ごきげんよう。私がこの紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ。あなたの事情については美鈴から聞いているわ」
そう言うと、レミリアは立ち上がった。
「立って話すのもなんでしょう。こっちで座って話しましょう」
レミリアに導かれ、窓際の丸テーブルの方に移動した。窓際と言っても、カーテンが閉まっている為、外の景色は見えない。
レミリアと莉音は椅子に向かい合うように座った。
「美鈴、後はいいわ。あなたは門番の仕事に戻りなさい」
「はい、かしこまりました」
そう言って美鈴は退室した。レミリアと二人きりになり、莉音はガチガチに緊張してしまう
「…そんなに緊張しなくてもいいわよ。なにも取って食ったりはしないわ」
「ハ…ハイ…」
これではないけないと思い、莉音はゆっくり深呼吸した。気分が落ち着いたところでレミリアから声をかけられた。
「大丈夫?話せる?」
「あ、はい。大丈夫です。すみません」
「じゃあ、早速だけど、質問いいかしら?」
「はい。なんでしょう」
「あなたがこうなった経緯、後は…あなた自身のことについても話してくれる?」
「はい、わかりました」
莉音は昨日の夜のこと、自信が雷獣との半人半妖であること等を話した。
「大体分かったわ。半人半妖の理解を求める…ね」
「はい。そうやって半人半妖が幸せに生きていけるようにしたくて…」
「なるほどね。それにあなた、人間が怖いって…」
「はい…」
「どうして?」
「よく思い出せないんですが、過去になにかされた気がして…」
「ふむ…ま、ここならほとんどが人外だから大丈夫よ。安心しなさい」
ほとんど?
「あの、ほとんどなら…人間が居ないわけではないんですね…」
「一人ね…」
そんな話をしていると、扉がノックされた。扉の向こうから「咲夜です。お茶をお持ちしました」という声が聞こえた。レミリアは「入りなさい」と答えた。すると扉が開き、一人の少女が入ってきた。少女はこちらに歩いてきて、ティーセットで二人分の紅茶を淹れた。
「あの、この方は?」
「メイドの十六夜咲夜よ」
メイド服を着た銀髪の少女、十六夜咲夜はお辞儀をした。それを見て莉音も立ち、咲夜にお辞儀をした。
「半人半妖の駆雷莉音です…こんにちは…」
「初めまして。メイドの十六夜咲夜と申します」
お互いに挨拶をした後、レミリアに声をかけられた。
「…彼女よ?」
「え?」
「私がさっき言った人間、それが咲夜よ?」
「…え」
今まで出会ってきた妖怪も妖精も人間のような見た目をしていたから咲夜も妖怪だと思っていた。が、違った。彼女が紅魔館唯一の人間だったのだ。
「あ…う…」
知らないうちに体が震えだした。遠い昔に見た光景が脳裏をよぎる。
「莉音…?」
「莉音さん…?」
咲夜とレミリアが心配して声をかけるが、莉音には聞こえなかった。
「やだ…やめて…」
莉音は咲夜と距離を取ろうとしてか、後ずさりをした。そして頭を抱え、うずくまる。
「お願い…お父さんを…お母さんを……」
「莉音!!」
大声で呼ばれ、莉音はハッとし顔を上げる。そこにはレミリアがしゃがみながら莉音を見つめていた。
「安心しなさい。あなたが過去に人間に何されたかはわからないけど、咲夜はあなたに危害を加えたりしないわ」
「…え?」
「信じて。咲夜は、いや、紅魔館の住人はあなたに危害を加えないわ」
主が言うなら本当なんだろう、そう思い、莉音は立ち上がって咲夜の方を向いた。
「あの…ごめんなさい…急に取り乱したりして…」
咲夜は軽く首を横に振った。
「謝らないでください。仕方ないことです」
咲夜は優しい笑みを浮かべた。そのおかげで莉音は大分落ち着くことができた。
レミリアに「まだ話があるから」と言われ、莉音とレミリアは再び席についた。咲夜はレミリアの横に立っている。
「まぁ、これであなたの課題が一つ見つかったわね」
レミリアは莉音が持っていたリストを見ながら言った。
「課題…ですか?」
「えぇ、それは人間恐怖症の克服。じゃないとあなた、人間の里に行ったら精神的に参ってしまうわ」
「え…人間の里?」
レミリアがリストを見せながら「人間の里」と書かれた所を指さした。
「ま、里に行く頃には今よりはマシになってるかもしれないけどね。」
「?」
「気にしなくていいわ」
レミリアはリストを莉音に返した。
「あとひとつだけ聞いていい?」
「はい。大丈夫です」
「あなた、飛べる?」
「え、いや、飛べません」
「…じゃあ、次の目的地に行けないじゃない」
「え!?」
「あなたのリストを確認してみたら、次の目的地は冥界よ。冥界には飛んで行くのが最適なのよ」
いきなり大きな壁が立ちはだかった。というかなぜ当然のように飛ばないと行けない場所を目的地にしたのか…あの賢者は本当に変人さんだと確信した。
「そんな…どうすれば…」
「手段はあるわ」
「え!?」
レミリアの言葉に莉音は驚く。飛行以外の手段があるのならば是非使いたいと思っていたからだ。
「その手段って、一体なんですか?」
が、帰ってきた答えは予想外のものだった。
「ここで飛行能力を身につけてから出発することよ」
どうも、作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第四話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。なんか話数を重ねるごとに内容が長くなっている気が…
今回は紅魔館のメンバーとの絡みがありましたね。さらに、莉音の過去もほんの少しだけ見えましたね。両親が絡んでくるようです…
次回は紅魔館で莉音くんが頑張ります。飛行能力を身につけるために特訓します。果たして無事飛行能力を身につけることができるのか…?
次回もよろしくお願いします〜




