番外編二話 〜雨の日駆雷兄弟〜
この作品は東方二次創作作品です
今回はオリキャラのみでの絡みです
秋の昼下がり、外は雨がしとしとと降っている。
「雨、止まないね」
「今日はずっと降ってそうだね」
どんよりと曇った空を見上げながら莉音とセンは静かにそんな会話をした。
「何しよっか。雨降ってちゃ外では遊べないし…」
「うーん…あ、囲碁なんてどう?」
「いいね。じゃ、準備するね」
「はーい」
莉音は物置から囲碁盤と碁石を持ってきた。向かい合うように座布団を置き、碁石の入れ物を座布団の横に置いた。センはお茶菓子とお茶を持って戻ってきた。
「お茶しながらやるの?」
「あれ?途中でお菓子食べながらやらないっけ」
「それ将棋じゃない…?」
「あ…」
「でもまぁ、こういうやり方もいいかもね」
莉音はセンからお茶を受け取り、座布団の上に座った。センも莉音の向かいに座る。
「五目並べでいいよね?」
「うん」
ジャンケンで先攻後攻を決めた。センが先攻だ。黒の碁石を囲碁盤の上に置いた。続いて莉音も続けて白の碁石を置いた。
「…」
「…」
別に何を賭けている訳でもなく、ただ暇つぶしとして囲碁をしている。しかし、集中するとお互いに無言になってしまう。用意したお茶菓子にも手を伸ばさず、二人は碁石を並べていた。静かな部屋には外の雨の音と、碁石を囲碁盤に置く音だけが響いていた。
「あ…」
「はい…僕の勝ちだね」
莉音の白の碁石が五つ並んだ。
「うー…でも、惜しいとこまでいってたのになぁ…」
「どうする?もう一回やる?」
「やる!」
二人は碁石を入れ物に戻し、再びジャンケンして先攻後攻を決めた。次は莉音が先攻だ。また静かになる部屋。でも、囲碁をするには適した環境だ。
「む…」
「次は僕の勝ち〜」
次はセンが勝った。
「うぁー…これでお互い一勝一敗だね」
「うん。あー…ちょっと疲れたね」
「だね。お菓子食べながら休憩しよっか」
莉音とセンはお茶菓子をつまみながら外を眺めていた。
「ねぇ、なんか雨って落ち着くよね」
「うん?まぁ確かに、このくらいの雨ならいいかもね」
「雨の音とか…すっごく落ち着く」
センは立ち上がって縁側の方へ歩いていった。莉音も何となく、センの隣へ歩いていった。
「前にね、華扇さんの所に居た時なんだけど」
「うん」
「雨の日が楽しみでさ、雨降ってるのに気づいたらすぐ外に出ちゃってたんだ」
雨を眺めながらセンは話を続けた。莉音はセンの横顔を見ながら話を聞いていた。
「雨の中駆け回って泥まみれになったけど、それも楽しかった。家に戻ると華扇さんがタオル持って待っててくれたの」
ここまで話して、センは莉音の方を向いた。何か言いた気な目をしている。でも莉音はセンが言いたいことは何となく察していた。
「出たい?外」
「え…?」
「外出て前みたいに雨の中遊びたい?」
「…!」
考えを見透かされたセンは目を見開いて固まった。
「いいよ。遊んでも」
「で、でも…服汚れちゃうよ」
確かに道着は銀色、袴は水色だから泥の汚れは目立つかもしれない。道着袴は洗濯が難儀だからあまりしつこい汚れは付けたくない。だからといって裸で遊ばせるのも心配だ。
「…あ、そうだ」
「ん?」
「ちょっと待ってて」
莉音はタンスの中を漁った。そして奥の方にあった寝間着を取り出した。今は着ていないが、綺麗な状態だ。それを持ってセンの所に戻った。
「これなら汚れてもいいから、これに着替えて」
「本当!?ありがとう!」
センは道着袴から寝間着姿に着替えた。莉音が縁側の戸を開けると、センは外に出た。そして振り向く。
「本当にいいよね?どんなに汚しても?」
「うん。いいよ」
そう言うとセンは目を輝かせて庭を走り回った。莉音はその様子を見つつ、センが脱いだ道着と袴を畳んでおいた。多分、昔雷獣の姿の時にやったように遊びたかったのだろう、寝転がったり走り回ったり、楽しんでいるようだ。莉音はふと、濡れたまま家に入れるのもあと片付けが大変だと思い、タオルを取りに向かった。
(センは寒いの大丈夫なのかな?あんなに濡れても平気なんて)
莉音は実は寒いのは苦手だ。冬は布団から出るのが億劫になるくらい。幼少期もそれは変わらなかった。
(冷たい秋の雨の降る中走り回るなんて僕にはできないな…)
そんなことを考えながらセンの居る所まで戻る。まだ雨に濡れながら遊んでいる。飽きもせずに雨の中を駆け回っている。その様子を見ながら昔の事を思い出していた。
(この家に住む前は…冬はかなり寒かったなぁ…)
莉音が幻想郷巡りに行く前まで住んでいた森の中の小屋。冬以外は住みやすく快適だった。だが、防寒性が皆無に等しいあの小屋では雪が降るとどう頑張っても寒さから逃れられなかった。多分その生活を続けたことも莉音が寒さ嫌いになる要因だったのかもしれない。
あの小さな小屋は雨の音もよく響くものだった。莉音はその音が好きだ。雨の音を聞きながら眠る、それが莉音なりの雨の日の楽しみ方だ。
だから今、かなり眠い。何にもしてないでただ雨の音を聞いていると眠たくなる体になってしまった。
(ちょっとだけなら…)
センが飽きて家に入ると言う前には目を覚ますだろう。そう思いながら莉音は座ったまま眠りについた。
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「…ちゃん…お兄ちゃん…」
「ん…?」
莉音が顔を上げると、そこにはびしょ濡れのセンが立っていた。
「あ、もう家入る?」
「あ、うん」
「じゃ、体拭くからここに座って」
莉音は立ち上がり、自分が座っていた場所にセンを座らせた。
「ひょっとして寝てた?」
「うん。ちょっとね」
「何にもしてないと暇だもんね」
「それもあるけど、雨の音聞いてると眠くなってくるから」
「それ、僕もわかるかも」
寝間着越しに肌が見えるくらい透けている。あまり生地が厚くないから仕方はないが、本当に寒くないか心配だ。
「そう言えば、センは寒いの平気?」
「これくらいなら平気だよ」
「強いなぁ…」
「お兄ちゃんは寒いの苦手?」
「苦手。冬はあまり外出したくないね…」
「なんか意外。お兄ちゃん寒いのも大丈夫だと思ってた」
「寒いのはダメなんだよ…」
センの寝間着を脱がせてタオルで包んだ。着替えてきな、とセンに声を掛けた。センはタオルを巻いたまま部屋に戻った。莉音は寝間着を絞り、洗面所の桶に入れておいた。居間に戻ると、センはいつもの道着袴姿で居た。
「なんか、走り回ったら眠くなってきちゃった」
「じゃあ、一緒に昼寝するか」
「うん…」
センは眠そうに目を擦っている。莉音は押し入れから二人分の布団を出し、床に敷いた。布団を敷くとすぐにセンは布団に倒れ込んだ。
「くあぁ…おやすみ…お兄ちゃん」
「おやすみ、セン」
余程眠たかったのか、すぐに寝息を立てて眠りについた。莉音はしばらく雨の音を聞いていた。前の小屋より広いこの家だと、聞こえる雨の音は小さい。でも、むしろその方がいいかもしれない。静かな部屋に響く柔らかな雨の音、莉音はその音を聞きつつ、睡魔に身を委ねた。
東方雷双歴番外編二話を最後までよんでいただき、ありがとうございます。今回は雨の日なお話でした。センが雨を浴びたくなるのは、雨の日は雷も鳴るから好きって感じです。雷の音を聞きに外に出るうちに雨に当たるのが好きになったようです。莉音は濡れるの嫌ですけどね()
実はこの番外編では、書きたい話の内容がまだまだあるんです。宅飲みの話、お風呂の話、ちょっと遠くに散歩する話etc.....これからもこの義兄弟の日常の中のあることに焦点を当てて書いていきますよ〜
次回もよろしくお願いします〜




